サイエンス

テレビ周波数帯で干渉せず無線通信する技術と装置の実証実験に世界初成功

By INCITE

情報通信研究機構が、テレビを放送している周波数帯を使った無線通信の基地局装置と加入者局装置の開発とその実証実験に、世界で初めて成功しました。ネット全体の通信量は2016年までにエクサバイト、ゼタバイト級になるとシスコシステムズが予測を立てており、有事の際の通信回線確保も課題となっている中で、その助けとなりそうな技術です。ちなみに、トップ画像はイメージであり今回の装置とは関係ありません。

プレスリリース | テレビの周波数帯を利用する国際標準IEEE 802.22地域無線システムの実証実験に成功 | NICT-独立行政法人 情報通信研究機構
http://www.nict.go.jp/press/2013/01/23-1.html



総務省のほか、連邦通信委員会(FCC)、英国情報通信庁(Ofcom)といった各国の通信事業の監督官庁では、すでに割り当て済みの周波数帯で、一次利用者の既存の業務への影響を回避しつつ周波数を二次利用する「ホワイトスペース無線通信システム」の検討が進められています。この動きの中で、アメリカでは無線LANとはまた異なる、遠距離をカバーする中長距離地域無線(Wireless Regional Area Network:WRAN)が検討されていて、IEEEがホワイトスペース利用通信システムの標準化としてIEEE Std. 802.22-2011(IEEE 802.22)を発行しました。

今回、情報通信研究機構(NICT)と日立国際電気では、このIEEE 802.22に準拠した基地局装置と加入者局装置を世界で初めて開発して、MAC層ソフトウェア、干渉回避用ソフトウェア、及びIP通信用ソフトウェアを実装しました。


その上で、アイ・エス・ビーが提供しているホワイトスペースデータベース(一次利用者と二次利用者の干渉を計算し利用可能な周波数を通信機に知らせるもの)に接続、テレビ放送の周波数帯(470MHz~710MHz)で一次利用者に影響を与えない周波数帯を自動選択し、無線通信ができることを実証しました。

使用された基地局装置・加入者局装置のプロトタイプ


基地局装置から加入者局装置までの通信速度は最大20Mbps程度で、通信エリアは10km~30kmほど(IEEE 802.22標準化では10km~40kmを想定)。イメージとしてはこんな感じ。


今後は、技術の拡張を想定して国際標準化活動を推進していくとともに、商用化に向けた無線機開発を進めていくとのことです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
日本初、KDDIと海上保安庁がコラボして作った船上携帯電話基地局の開設試験を密着取材 - GIGAZINE

3万6千km上空の人工衛星と地上を結ぶ巨大アンテナ群、山口衛星通信センター潜入レポート - GIGAZINE

総工費360億円、23Tbpsで通信が可能な全長9000kmの光海底ケーブル「SJC」の製造工場&敷設船見学レポート - GIGAZINE

インターネットを支える光ファイバーケーブルを海岸から陸揚げする現場潜入レポート、これが日本と東南アジアを結ぶ巨大海底光ファイバー網「SJC」だ! - GIGAZINE

通信速度が約27倍に高速移動中の電車の中でもアップする新技術登場 - GIGAZINE

光ファイバーのない地域でもワイヤレスで100Gbpsの通信速度が可能な技術を国防総省が開発へ - GIGAZINE

螺旋状ビーム通信技術により通信速度は2.5Tbpsに達し、将来は帯域問題に悩む必要がゼロに - GIGAZINE

「なぜ無線通信で用いられる周波数帯域は2.4GHzなのか」調査中の学生の前に立ちはだかった最後の巨大な壁 - GIGAZINE

in ハードウェア,   サイエンス, Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.