日本は普及率最低、子どもの携帯電話・インターネット利用状況
アメリカの非営利団体「Common Sense Media」の調査によると、0歳から8歳までの子どもたちのインターネットに費やす時間が、本を読む時間の約3倍となっているそうです。
この調査ではさらに、かなりの低年齢層にまで携帯電話やタブレットの普及が始まっていることが示されており、アメリカではすでに「生まれた時からスマートフォンが身近にある」という新世代のデジタルネイティブが生まれつつあるようです。
Study: Children spending more time with screen media than books
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第3回「子どもの携帯電話利用」に関する調査 : gooリサーチ
◆アメリカにおける低年齢層への携帯電話の普及
「Common Sense Media」の調査では、0歳から8歳までの子どもの約53%が、スマートフォンやタブレットに触れたことがあるとのこと。また、スマートフォンなどのデバイスを子どもに持たせている親の中で、約20%が、子どものためにアプリをダウンロード購入したことがあると答えています。
0歳から8歳までと言えば、日本では小学校低学年までということになりますが、53%もの児童がスマートフォンなどに触れたことがあるというのは驚きです。翻って、日本の状況はどうでしょうか。
◆停滞する日本での低年齢層へのスマートフォン普及
下の図は、2011年2月に発表された総務省による「青少年のインターネット利用環境実態調査」の結果で、携帯電話、パソコン、ゲーム機の所有率を並べたもの。小学生の携帯電話所有率が約20%と、上で述べたgooリサーチの結果とやや開きがあります。調査年度は平成22年度9月1日~9月20日。
同調査では、携帯電話を持っていると答えた対象者にその種別も質問しており、小学生で「スマートフォン」と答えた者はゼロだったとのこと。携帯電話の主流がスマートフォンへと移行している昨今ですが、低年齢層へのスマートフォン普及は停滞しているようです。
◆日本の子どもによるインターネット利用は先進国中で下位に
下の図は6歳~9歳の児童に関するインターネットの利用状況を示したもの。カナダやアメリカ、イギリスなどでは「子ども向けSNS」の利用が極めて高い数値を示しているのに対し、日本ではメールの利用がかろうじて他国並みで、その他は軒並み最低ラインの数値となっています。
◆高校生になるとインターネット利用が中心に
低年齢層では低い割合にとどまったインターネット利用状況ですが、高校生に対する調査では、最も多くの時間利用する媒体のトップにインターネットが来ています。高校生になると、インターネットとテレビ以外の媒体に触れる時間は1日0分~15分が過半数を占め、もはやこの2つの媒体以外ではこの年代に情報を届けるのが難しい状況にまでなっています。
日本では「学校裏サイト」や「出会い系」などによって、低年齢層のインターネット利用は弊害の面が強く報道されています。しかし他国の状況と合わせてみると、インターネットの利用が低年齢層において極端に低く、中高生で急に普及していく現状は、むしろいびつと言えるでしょう。思春期を迎える中高生で初めてインターネットに触れるのではなく、小学生のころからネットの世界に親しみ、その特性を理解することが、今後の世代にとっては必要なのではないでしょうか。
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