ゲーム

6人の偉大なゲームデザイナーたちが持つ偉大な映画監督たちと同じ能力


ゲームが世界中に普及し、ゲームタイトルが作品として認められるようになったことで、名作を生み出すゲームデザイナーの名前も広く知られるようになりました。

海外のゲームサイト1UP.comによると、「メタルギア」シリーズで知られる小島秀夫や、「スーパーマリオブラザーズ」「ゼルダの伝説」の生みの親である宮本茂など、ゲームの世界を押し広げた偉大なゲームデザイナーは、ジェームズ・キャメロンやスティーブン・スピルバーグのような偉大な映画監督と同じ能力を持っているとのこと。彼らの間にはどんな共通点があるのか、作品の映像とともに見ていきます。


When Great Minds Think Alike: Six Game Designers and Their Cinematic Counterparts from 1UP.com

1.任天堂の宮本茂スティーブン・スピルバーグ
マリオとET、リンクとインディ・ジョーンズなど、魅力的なアイコンを作り出す能力


宮本茂は、1985年に「スーパーマリオブラザーズ」、翌1986年に「ゼルダの伝説」を開発。いずれも25年以上経ってなお人気の衰えないシリーズとなり、両シリーズの主人公であるマリオとリンクは、どちらもゲームの世界を代表するキャラクターのひとつとなっています。下のムービーは、「スーパーマリオブラザーズ」。

スーパーマリオブラザーズ ワープ無しノーミスクリア(1/4) - YouTube


対するスティーブン・スピルバーグは1981年にインディ・ジョーンズシリーズの第一作である「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」を、1982年に「E.T.」を公開。どちらのキャラクターも現在まで長く愛され、映画を象徴するキャラクターとなっています。

また、スピルバーグはゲーマーとしても知られており、「シェンムー」を高く評価しています。2006年のE3では、宮本茂と「Wii Sports」でテニス対決を行っています。

下のムービーは「E.T.」のトレーラームービー。

ET The Extra Terrestrial Trailer HD - YouTube


2.Double Fineのティム・シェーファーとテリー・ギリアム
暗く重い主題を笑いで包んで伝える能力


ティム・シェーファーは、「Stacking」や「Psychonauts」などのユニークなタイトルを次々に打ち出すゲーム制作チーム「Double Fine」を率いるゲームデザイナー。独特のユーモア溢れるゲーム性に、どこかもの悲しさを感じさせる雰囲気を持った世界観が、彼のゲームの魅力です。下のムービーは「Stacking」。周囲の人々はマトリョーシカばかりという特異な世界観の中で、だまされて奴隷にされてしまった両親を救うために主人公が旅をする物語です。

Stacking Debut Trailer [HD] - YouTube


テリー・ギリアムはイギリスの映画監督であり、コメディグループ「モンティ・パイソン」のメンバーのひとりです。彼の監督した「未来世紀ブラジル」は、絶望的な管理社会を描きつつも、コミカルな映像で笑いを誘います。

Brazil(1985) Trailer - YouTube


また、テリー・ギリアムはモンティ・パイソンの映像において、アニメーターを担当しており、独特な世界観のアニメーションを展開しています。

モンティ・パイソン/建築家コント〜フリーメイソンを見分ける方法 - YouTube


3.小島秀夫ジェームズ・キャメロン
最先端の技術を取り込み、作品を生み出す能力


小島秀夫は「メタルギア」シリーズの生みの親であり、コナミデジタルエンタテインメントの執行役員副社長でもあります。映画的な手法を駆使した作風を持ち、新たなハードにいち早く対応して、ハードの性能を限界まで引き出すことに長けたゲームデザイナーです。

また、日本のゲーム業界で唯一「監督」と呼ばれる人物で、自身はこれについて「映画監督と同じで、ゲームを監督しているから」と答えたとのこと。2001年12月24日発売の「ニューズウィーク」誌で「未来を切り開く10人」に日本人として唯一選ばれています。

メタルギアソリッド4 ガンズオブザパトリオット PV2 - YouTube


対するジェームズ・キャメロンは、SFの名作「ターミネーター」「エイリアン2」を監督、2009年には3D映像で「アバター」を公開。3D映画ブームに火をつけた作品となりました。

「アバター」予告編 - YouTube


4.「ポピュラス」ピーター・モリニューフランシス・フォード・コッポラ
結果を恐れず新しい領域に踏み出す能力


ピーター・モリニューは、「ポピュラス」「テーマパーク」「ダンジョンキーパー」を制作し、「ゴッドゲーム」と呼ばれるジャンルを確立したゲームデザイナーです。

ゴッドゲームとは、プレイヤーがゲームの世界に干渉する神のような力を使い、目的に向かって世界を動かしていくゲームを指します。この草分けである「ポピュラス」では、プレイヤーは神そのものとなり、ゲームフィールド上に散らばる民族に自分を崇拝させ、敵対する神を崇拝する民族を滅亡させるというゲーム。下のムービーから、実際のゲームプレイを見ることができます。

SFC版ポピュラスの奇跡 - YouTube


ピーター・モリニューはこれらの成功の後、「フェイブル」というタイトルのRPGを制作します。ゴッドゲームで名声を得たモリニューですが、「フェイブル」では主人公がどのような人間として生きるかが完全にプレイヤーの判断に委ねられており、善悪の判断によって英雄になったり罪人になったり、恋愛の結果結婚することになったりするという、当時としては極めて自由度の高いゲームを作り出すことに成功しました。

Fable Trailer - YouTube


フランシス・フォード・コッポラは、1969年、30歳の時に映画制作会社アメリカン・ゾエトロープ社を設立し、ワーナー・ブラザーズと7本の映画製作の契約を結びます。しかし第1作の「THX 1138」をワーナー幹部が酷評、契約は破棄されてしまいます。ピンチの中で、コッポラは映画史に残る名作「ゴッドファーザー」を生み出します。

続く1979年の「地獄の黙示録」では、コッポラの異常なまでの完璧主義と、数々のトラブルによって、当初16週間を予定していた撮影の予定が61週間に延び、制作費も当初の1200万ドル(当時の日本円で約35億円)から3100万ドル(約90億円)までふくれあがりました。作品は未完成のまま出品されたにもかかわらず、カンヌ国際映画祭で最高賞の「パルム・ドール」を獲得。公開後は全世界で大ヒットとなり、多額の制作費も無事回収することができました。下のムービーは、「地獄の黙示録」の予告編。

Apocalypse Now Original Trailer (RARE) HQ - YouTube


なお、コッポラは「地獄の黙示録」以後も3度の破産を経験していますが、近年、カリフォルニア州ナパバレーでニバウム・コッポラ・ワイナリーの経営に進出。そこで生産されたワインが世界的な評価を受け、コッポラはアメリカでも屈指の富豪となりました。

5.須田剛一とクエンティン・タランティーノ
過去の作品への強い愛とその愛を自らの作品に昇華する能力


須田剛一は極めて独創的なゲームデザイナーで、日本国内よりも海外で圧倒的な支持を受けているゲームデザイナーです。「killer7」「ノーモア★ヒーローズ」に代表される須田の作品は、俗悪な世界や暴力を描きながら、なぜかすさまじくスタイリッシュで爽快です。

また、須田の作品には過去の様々なポップカルチャーへの愛がたっぷりと注ぎ込まれているのも大きな特徴です。「ノーモア★ヒーローズ」の主人公が「ジャッカス」ジョニー・ノックスヴィルをモデルにしていたり、最初の敵であるヘルター・スケルターはビートルズの楽曲に名前が由来しているなど、音楽や映画へのオマージュを至る所に見つけることができます。

下のムービーは「killer7」のトレーラームービー。

Killer 7 Trailer - YouTube


クエンティン・タランティーノもまた、犯罪と暴力を軽快なテンポで美しく描いた作品を生み出しています。監督としてのデビュー作であり、同時に出世作ともなった「レザボア・ドッグス」は、ジョージ・ベイカーの「リトル・グリーン・バッグ」を主題歌に、洗練されたスタイリッシュな映像表現と緻密な人間描写で、非常に高い評価を得ています。

レザボア・ドッグス日本版予告編 RESERVOIR DOGS J Trailer - YouTube


また、「シネ・フィル(映画狂)」を自認しており、日本などアジアの映画にも精通し、その影響を存分にさらけ出した作品が「キル・ビル」です。「キル・ビル」のエンドロールでは、タランティーノが尊敬する俳優や映画監督で既に故人となった人物を「R.I.P.(安らかに眠れ)」として挙げており、深作欣二勝新太郎の名前も含まれています。

Kill Bill - Trailer - YouTube


6.アタリノーラン・ブッシュネルオーソン・ウェルズ
作品によって自らのジャンルを定義して、後の人がみなそれを模倣するような先駆者


ノーラン・ブッシュネルは、アタリ社の創業者で、「ビデオゲーム(産業)の父」と呼ばれる人物。「ポン」を1972年に発売、アメリカ市場にコンピューターゲームを一躍浸透させる巨大な契機となりました。

「ポン」発売当初はアタリの草創期で、「ポン」が売れたらそのお金で機材を買ってまた「ポン」を作るという自転車操業だったものの、売れ行き自体はすさまじいもので、アタリ社は急激な成長を遂げます。まずは隣の部屋も借りて生産設備を拡張し、その後に潰れたローラースケート場を借りて工場に改造するなどして、規模を拡大。資本金500ドルで始まったアタリ社は、翌年に320万ドル以上の売上げを記録することになります。こうしてアタリ社によってゲーム産業というものをアメリカ市場に生み出し、後のゲーム業界の礎を築きました。

Arcade Original Pong - YouTube


オーソン・ウェルズはハリウッドを代表する映画監督のひとり。もともとアイルランドのダブリンで舞台俳優としてデビューしましたが、世界恐慌後にアメリカ政府が行った連邦劇場計画で演出家としての才能を発揮。ラジオドラマ「火星人襲来」では、何度もフィクションであることを断っていたにも関わらず、ラジオを聞いていた人々が本当に火星人が襲来したのではないかと考えたぐらい現実味ある演出を行って話題を博し、ハリウッドに招かれました。

ハリウッドでの監督作品となった「市民ケーン」は、新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハーストをモデルとして、その人生を暴露する内容であり、新聞社からの攻撃を受け、興行的には大惨敗を喫しました。しかし、撮影技法、プロット構成、音響効果など様々な点で革新的な作品として「市民ケーン」は後世の映画制作に絶大な影響を及ぼすこととなります。

Citizen Kane - The Theatrical Trailer - YouTube


近年では、1万5千ドル(約115万円)の予算で制作され、全世界で3億ドル以上の興行収入をたたき出した「パラノーマル・アクティビティ」の監督オーレン・ペリが、ゲームデザイナーとしても活躍していることが知られています。ゲームデザインと映画の演出は、ゲームハードの発展とともにその距離を縮めているようです。

ゲームをプレイする時に、「このゲームデザイナーの演出はジョージ・ルーカスの演出に似ている」というようなポイントを探してみるのも面白そうです。もしかすると、近い将来そのゲームデザイナーが、「ゲーム業界のジョージ・ルーカス」と呼ばれるようになっているかも知れません。

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in 動画,   映画,   ゲーム, Posted by darkhorse_log

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