動画

アクション映画は「ボーン」シリーズの影響でダメになったという主張


近年のアクション映画では「近距離から撮影した、短くてブレの激しいカットをたくさんつなぐ」という技法がよく見られます。この技法はアクションの疾走感や臨場感を演出する目的で行われていますが、アクションがわかりづらくなったという意見も存在します。なぜこんな演出が行われるようになったのか、その流れを、さまざまな不思議を取り扱うチャンエル・INSIDERが明かしています。

How One Movie Trilogy Ruined Action Films Forever - YouTube


アクション映画では、役者を近距離から撮影したり……


短くてブレの激しいカットをたくさんつなぐといった演出が多く見られます。


しかし、これらの演出は近年に生まれたもので、過去の名作アクション映画は広い画面でしっかり撮影されていて、1つ1つのカットも比較的長めです。


アクション映画界に変化をもたらしたのは、2002年に公開された「ボーン・アイデンティティー」から始まる「ボーン」三部作です。


「ボーン」三部作は、Average Shot Length(ASL:1カットあたりの平均時間)が非常に短いことが特徴。ASLは、作品の上映時間を全カット数で割ることで求められます。


例えば第1作の「ボーン・アイデンティティー」のASLは4秒、そして第2作の「ボーン・スプレマシー」は2.4秒となっています。


第3作の「ボーン・アルティメイタム」では、105分の中に3200ものカットも詰め込まれていて……


そのASLは三部作の中で最も短い2秒となっています。


「ボーン」三部作のうち、1作目の「ボーン・アイデンティティー」を監督したのはダグ・リーマン。1作目は2作目・3作目と違い、比較的それまでのアクション映画のように、カメラもぶれることなく、アクションシーンでのカットもそれほど短くはありません。


第2作「ボーン・スプレマシー」と第3作「ボーン・アルティメイタム」ではたくさんの短いカットをつなぐ演出技法が取り入れられています。つまり、この手法はシリーズの監督をダグ・リーマンから引き継いだポール・グリーングラスが生み出したといえます。


大部分が大量の短いカットで構成されている「ボーン」三部作ですが、そのカットひとつひとつには意味があります。


グリーングラス監督は、アクションシーンでは「アクション」「インパクト」「リアクション」の3点をしっかりおさえています。


また、間に挟まれるカットも戦っている2人を広い画面にしっかりおさめたものや……


天井から撮影するようなものも存在します。


さらに、映画を見ている人にもちゃんと理解してもらえるように、重要なポイント・アイテムはちゃんと画面中央になるように撮影するといった配慮がされています。


近年のアクション映画には、このグリーングラス監督のアクションシーンの演出技法を模倣したシーンがよく見られます。しかし、グリーングラス監督が意図した演出が何だったのかを理解せずに見た目だけをまねた結果、単に「近距離から撮影した短いカットを大量につなぐだけ」で、観客が映画を見たときに、どういうアクションなのか理解できないものになってしまっています。


INSIDERが悪い例として挙げたのが、2012年に公開された「96時間/レクイエム」。リーアム・ニーソン演じる主人公が建物の窓から飛び出して着地するシーンで9カットが使われていますが……


撮影している方向を変えているだけの同じような短いカットがすごい速さでつなげられています。


他にも主人公がフェンスを乗り越えるシーンでは10カットも使われていて、観客はリーアム・ニーソンが同じフェンスを乗り越える様を何度も見せられることになります。カンフー映画など、過去のアクション映画でも「撮影の方向を変えたカットをつなげて同じ場面を繰り返し見せる」という演出は見られますが、決着が付く瞬間など重要なシーンに限られたもので、カットも短くありません。


さらにアクション映画でBGMがふんだんに使われるのも近年の傾向だとのことで、例えば「96時間/レクイエム」の前作である「96時間/リベンジ」では、アクションシーンでBGMが流れていて、その音量をアクションに合わせるなどの演出が図られています。


しかし、「ボーン・アルティメイタム」でジェイソン・ボーンが建物に飛び込むまでは、BGMが流れていますが……


建物に飛び込んでからバトルが始まった瞬間にBGMが消えます。ボーンの一貫したアクションに打撃音や息づかいだけを流すことで、シーンに臨場感と緊張感が加わります。


INSIDERは、「ボーン」三部作の後に出てきた「グリーングラス演出」の模倣者たちがことごとく失敗していると指摘し、「観客は監督が想定するよりもずっと賢く、シーンの不自然さにも気がつくものです」と意見を述べています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「ブラックパンサー」のVFXをどう作ったかをアニメーションスーパーバイザーが解説するムービーが登場 - GIGAZINE

「ターミネーター」「エイリアン2」などで知られるジェームズ・キャメロン監督がSFに関する質問にお答えするムービー - GIGAZINE

「映画の興行収入だけで映画そのものを評価することは危険である」という主張 - GIGAZINE

なぜ映画「ダークナイト」に登場する「ジョーカー」は魅力的な敵なのか? - GIGAZINE

2次元の絵で3次元的な奥行きのあるアニメーションを制作するために使用された「マルチプレーン・カメラ」の解説ムービー - GIGAZINE

in 動画,   映画, Posted by log1i_yk

You can read the machine translated English article here.