取材

KDDI版とソフトバンク版iPhone 4Sを料金以外で比較、両者の強みと弱みは?


KDDIとソフトバンクモバイルのiPhone 4S料金プラン比較に続いて、料金プラン比較だけでは見えてこない両社が持つ強みと弱みを比較してみます。

◆通信速度および通信方式
KDDI版…下り最大3.1Mbps、上り最大1.8Mbps(CDMA2000 1x EV-DO Rev.A方式)
ソフトバンクモバイル版…下り最大14.4Mbps、上り最大5.7Mbps(W-CDMA HSPA方式)


iPhone 4SはKDDIが提供している下り最大9.2Mbps、上り最大5.5Mbpsの「WIN HIGH SPEED」に対応していないこともあって、規格上の最大速度ではソフトバンクモバイルに大きく軍配が上がるという結果に。


◆公衆無線LANサービス
KDDI…1万ヵ所強(サービス開始時の2011年6月30日時点の数値)
ソフトバンクモバイル…10万ヵ所

無線LANスポットの設置で先行していたソフトバンクモバイルがアクセスポイント10万ヵ所を達成。対するKDDIは2012年3月末の10万ヵ所設置を目指して「au Wi-Fi SPOT」のエリア拡充を行っているところで、本日公衆無線LANサービス「livedoor Wireless」の事業を譲り受けたことを発表しています。

なお、KDDIの「au Wi-Fi SPOT」は先行する他社と異なり、サービス開始当初からIDやパスを入力することなく、3Gと自動切り替えで利用できるところが強みです。

◆使い勝手
KDDI版…通話中のデータ通信不可
ソフトバンクモバイル版…通話中のデータ通信、データ通信中の着信可能

KDDI版は通信規格の関係でデータ通信と通話が同時にできないため、ソフトバンクモバイルは同社の発表会の中でオンラインゲームやネットオークションでの競り合い、株取引の最中といった面でソフトバンクモバイル版が有利であるとしています。


ここまではソフトバンクモバイル版に分があるように思えますが……?


◆最大の焦点となるのはやはり「電波」
KDDI版とソフトバンクモバイル版iPhoneの違いを語る上で最も大きなファクターとなるのは、やはり「電波」の一言に尽きます。実もフタも無い言い方をすれば、規格上の通信速度も、通話中にデータ通信が可能であるかどうかも、そもそも電波が入らなければ意味が薄れてしまう……というわけです。

・基地局を増設し、電波が改善したことをアピールするソフトバンクモバイル
ソフトバンクは本日行った発表会で基地局を16万局にまで増やしたことや、接続率が他社に迫ったことを強調し、「つながりにくい」というイメージを払拭するためのアピールを行いました。


・エリアに定評があるKDDIは新技術「EV-DO Advanced」導入で人口密集地でも快適に通信可能に
対するKDDIは基地局設備について「数だけでなく効率を考えて基地局を設置している」としており、さらに都市部の繁華街や郊外の団地といった人口密集地で1つの基地局にアクセスが集中することで通信速度が落ちたり、つながりにくくなるといった事態を避けるため、2012年4月から基地局設備に「EV-DO Advanced」という新技術を導入する予定。

同技術は携帯電話が「一番電波の強い基地局」のみと通信する仕組みを採用していたのを改め、電波の強さだけでなく「基地局の混雑度合い」をリアルタイムで確認し、隣接する空いてる基地局と通信できるようにするというもの。これにより基地局が従来の約1.5倍のデータを収容できるほか、利用時のスループット(実行速度)も平均2倍に向上するため、KDDI版iPhone 4Sユーザーは規格上の通信速度は遅くとも、もともとエリアに定評があることに加えて、今後は繁華街などでも実行速度が落ちず、快適に通信できるようになる、ということです。


ちなみにKDDI版iPhone 4Sは2012年7月24日に停波される旧800MHz帯の周波数をサポートしていないため、エリア面に不安を抱くユーザーも出てきそうですが、KDDI広報部に問い合わせたところ、「すでに旧800MHz帯をサポートしていない『HTC EVO WiMAX ISW11HT』を発売していますが、実用上ほぼ問題無いことが分かっています」と回答しています。

・家電量販店の販売現場では「KDDI版iPhone 4SにNTTドコモやソフトバンクモバイルユーザーから問い合わせが来ている」という声も
なお、編集部で家電量販店の携帯電話コーナーのスタッフにヒアリングしてみたところ、KDDI版iPhone 4Sが気になるのはauユーザーだけにとどまらず、「NTTドコモやソフトバンクモバイルのユーザーから問い合わせが来ている」ということでした。

このような事態となっている背景として、国内最大エリアを誇るNTTドコモユーザーは「どうせキャリアを変えてエリアが狭くなるのであれば、少しでもエリアが広い方がいい」と考え、そしてソフトバンクモバイルユーザーは「もっとエリアが広くなるのであればKDDI版が気になる」と考えたことが挙げられるとのこと。

◆料金、速度、使い勝手、電波の総合的な判断が必要
さまざまな面から両者を比較してきましたが、「結局どちらが良いのか」という点はユーザーそれぞれの行動範囲や求めるものによって大きく異なるはず。一度自分のライフスタイルを検討した上で、自分に合った方を選べるようにしたいものです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
KDDIがiPhone 4Sの料金発表、パケット代値下げやMNPキャッシュバックも - GIGAZINE

ソフトバンクが緊急会見、iPhone 4S料金プランなどを発表 - GIGAZINE

「つながりやすいiPhone 4S」などを実現するKDDIの「EV-DO Advanced」 - GIGAZINE

ソフトバンク、iPhoneユーザーがiPhone 4Sへ機種変更する際の分割支払金残額を無料に - GIGAZINE

KDDIがAndroidとiPhone、Windows Phoneを扱う唯一のキャリアになるまでの戦略を振り返ってみた - GIGAZINE

公式ムービーで見る「iPhone 4S」、全体の完成度は予想以上に高め - GIGAZINE

in 取材,   モバイル,   コラム, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.