KDDIが基地局の容量を最大2倍に、繁華街での通信速度低下などを回避へ
スマートフォンなどの急激な普及で通信量が増大している昨今、とりわけ影響を受けているのが繁華街での通信速度。
人口密集地では1つの基地局がカバーする人数が多くなり、どうしても通信速度が低下しがちですが、KDDIが基地局の容量を2倍にすることで、通信速度低下を回避する方針であることが明らかになりました。
KDDI、基地局容量2倍に増強 スマホ拡大、回線パンク回避狙う (1/2ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)
サンケイビズの報道によると、KDDIはスマートフォンの販売増によるデータ通信量の急拡大に対応するため、2012年4月に携帯電話の通信容量を最大2倍に引き上げるそうです。
これは現行の第3世代携帯電話(3G)用基地局の機能を改良し、複数の基地局でデータ受信を平準化することで、通信速度の大幅な低下などを防ぐというもので、容量の引き上げには「EV-DO Advanced」と呼ばれる技術を導入。
「EV-DO Advanced」は「通信が混み合って速度が出ない場合に、電波が届いている別の基地局を使えるようにする」「ネットワークの混み具合に応じて1つの基地局がカバーする面積を変える」などの措置を取ることで効率的な通信を実現する技術ですが、同じ基地局の設備で現在の1.5倍~2倍の容量を効率的に処理することが可能になるとされています。
通信業界のビジネスリーダー向け専門情報誌「月刊テレコミュニケーション」5月号に掲載された「EV-DO Advanced」の制御イメージはこんな感じ。混み合っている基地局ではなく、比較的すいている基地局にアクセスできるようになります。
これによりスマートフォン利用者が集中する繁華街で通信がつながらない現象を防ぎ、通信速度も大幅に低下しにくくなるとされており、基地局の改良は屋外の基地局5万3000局あまりのうち、来年7月に停止する基地局を除く全設備のソフトを一括で変更するとのこと。
なお、KDDIは従来の3G回線だけでなく、子会社のUQコミュニケーションズが展開する下り最大40Mbps、上り最大10Mbpsの「モバイルWiMAX」の両方に対応したスマートフォン「htc EVO WiMAX ISW11HT」の発売や、シームレスに切り替え可能かつ無料で利用できる国内最大規模の公衆無線LANサービス「au Wi-Fi SPOT」の展開など、通信量の増大による回線のパンクを防ぐために基地局の改修にとどまらず、さまざまな施策を打ち出しています。
・15:34追記
KDDI広報部に今回の報道について問い合わせたところ、「EV-DO Advanced」の導入については事実で、導入時期は2012年4月ごろになるほか、あくまでカバーエリアがオーバーラップするように基地局が配置されている人口密集地での話ですが、今ある基地局の数で収容人数が1.5~2倍になると回答。
仮にエリアが隣接する基地局ABがあり、基地局Aに収容限界を超える100人のユーザーが接続、基地局Bに収容限界を下回る50人のユーザーが接続した場合、「EV-DO Advanced」に対応した基地局であれば、収容人数を上回った基地局AのユーザーをBに振り分けることができるため、基地局を効率良く利用できるとしています。
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