1万円値下げしたニンテンドー3DSは1台売るごとに赤字、小売店には補償も


「発売前・発売直後と現時点とでは、状況が大きく異なっていると認識したため」として、発売されてから5ヶ月しか経過していないにもかかわらず、7月28日に任天堂がニンテンドー3DSを1万円値下げとなる1万5000円で販売することを告知したことは非常に大きなインパクトを与える出来事でしたが、値下げによって1台売るごとに赤字が出る状態となることが明らかになりました。

また、小売店に補償が行われるほか、値下げを決断した背景についても説明が行われています。

社長説明 | 2011年7月29日(金)第1四半期決算説明会 任天堂株式会社


任天堂が公式ページに掲載した2011年7月29日(金)第1四半期決算説明会の資料によると、同社の岩田社長が質疑応答を受け付ける前に、年末ではなく、8月11日から値下げを行う理由について、以下のように説明。早い段階でユーザーへの普及を促進することで、年末商戦に投入する有力ソフトの効果を最大化させる必要があることを強調しています。

まず、ニンテンドー3DSを発売してから私たちが認識したことのひとつに、この商品の魅力が伝わるのに、私たちの事前の想定よりも時間がかかっているということがあります。ニンテンドー3DSの内容を理解いただけたお客様には魅力をご評価いただいている手応えがありますが、それが必ずしも期待したスピードで広がってはおりません。この年末の有力ソフトの効果を最大化させるためには、その前に、今よりも相当多い台数のハードが普及し、新しいソフトの魅力が短期間でお客様の間に広がるような環境にしておかなければ、私たちの期待する爆発的な年末商戦にはならないと考えました。これがひとつの理由です。


基本的にこのような製品は普及するペースが伸び、量産すればするほど1台あたりの製造コストが下がる「量産効果」を期待できますが、現時点では1万円値下げをするとニンテンドー3DS本体を販売するたびに損失が生まれる、いわゆる「逆ざや」状態であることを明かしています。

ハードウェアの量産効果が出る前の現時点でのこのような大胆な値下げの実施は、当然ハードの販売において損失が出ることになりますし、その結果、今期の収益には非常に大きなマイナス影響が出ることになりますが、ニンテンドー3DSが当社のビジネスを支えられるようなプラットフォームに育つためには、たとえ短期の収益に影響が及んだとしても、最大限の手を、今打つべきだと判断いたしました。


2011年7月29日(金)第1四半期決算説明会 - 質疑応答


また、質疑応答では小売店やソフトメーカーに対して、事前に本体価格を値下げするというアナウンスを行っていなかったことを説明。今回の値下げ発表はユーザーだけでなく、関係各所に対してもサプライズであったようです。

値下げの発表をしてから、日本でも海外でもそのことが伝わり、当然、それは私たちのビジネスパートナーであるソフトメーカーさんや小売店さんに伝わりました。当社の国内営業部門や、それぞれの現地の当社子会社の担当者が、発表後にコミュニケーションをいたしましたので、まず、今回の値下げについて、ソフトメーカーさんや小売店さんは大変ポジティブであったということについては申し上げておきたいと思います。


旧価格でニンテンドー3DSを仕入れた小売店に対しては、値下げ分の補償をする「プライスプロテクション(在庫補償)」を実施。任天堂は2011年4月~9月期の業績予想を(PDFファイル)180億円の黒字から350億円の赤字へと修正していますが、この施策による損失も折り込まれています。

小売店さんについてですが、私どもの今回の決算に影響が出た背景の一つに、プライスプロテクション(在庫補償)の実施がございます。すなわち、旧価格で販売した商品の在庫に対して、値下げ分の補償をしなければなりません。そのことが含まれているので、小売店さんからすれば、任天堂はしかるべき配慮をしていると受け止めていただいていると、私は思います。


2011年7月29日(金)第1四半期決算説明会 - 質疑応答


発売から半年足らずで値下げの決断を行い、発表した理由については「ゲームキューブの時にチャンスがあったのに、それを活かせなかった」という経験から得た教訓であると説明。ちなみにゲームキューブは2001年9月14日に2万5000円で発売され、9ヶ月後の2002年6月3日に1万9800円へと価格改定。2003年10月17日の価格改定で1万4000円にまで値下げされたものの、国内シェアはPS2に次ぐ2位、海外シェアはPS2、初代Xboxに次ぐ3位と、苦戦を強いられました。

値下げを決断できた理由は、ゲームキューブの教訓でしょうか。ですから、その意味では、少々属人的、すなわち、現経営陣は全員、「ゲームキューブの時にチャンスがあったのに、それを活かせなかった」という体験をしてきたわけですから、これは私1人がということではなくて、今の意思決定をしている経営陣の中でそういう意識が共有されているということが大きいと思います。


短期の利益に影響が出ることを覚悟の上で1万円の大幅値下げを行い、シェア拡大を目指す任天堂ですが、年末に投入するマリオシリーズ2作品が好調な売れ行きを見せ、本体の普及ペースに大きく弾みが付くのであれば、そう遠くないうちに逆ざや状態の解消を期待できそうです。

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in ゲーム, Posted by darkhorse_log