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Appleに続きIKEAを模倣、コレジャナイ感を放つ中国の家具店「十一家具」


本物か偽物かまったく判別のつかない中国のApple Storeを以前記事化しましたが、それと場所を同じくして中国・雲南省の昆明市にIKEA風の家具店「十一家具(Eleventh Furniture)」が登場しました。

First Apple, Now Ikea: Check Out The Latest Chinese Retail Knock Off - Clare O'Connor - Filthy Rich - Forbes

China's Kunming Adds Fake Ikea Store to Apple Clones

中国に今度は「偽IKEA」、コンセプトを丸ごと模倣 | Reuters

IKEA風家具店の「十一家具」が広く知られることになったきっかけは、アメリカから中国・昆明に移り住んだ人物が公開した店内写真。あからさまにIKEAを模した店内の様子が話題となり、ロイターの記者が取材に行く事態に発展しました。


取材に対し、22歳の売り場担当者は「(顧客から、店の内装や商品が)IKEAに似ているとよく言われる。ただそれは自分の問題じゃない。私はただ顧客の幸せを考えているだけだし、著作権のようなことは上司の問題」と答えています。上層部である経営者のコメントは今のところ得られていません。

昆明のIKEA風家具店の店員たちの、記念写真とおぼしき1枚。制服は黄色いエプロンで、下にはそれぞれ動きやすい私服を着ている様子。


本家IKEAの制服はこの画像左側に見られるように黄色いポロシャツなので、この時点ですでに様子がおかしいことが分かります。


一度でもIKEAに行ったことのある人なら間違いなく印象に残っていると思われますが、十一家具でもIKEA同様、複雑な経路に沿って寝室やキッチンのモデルルームが配置されています。一見するとそれっぽいリビングですが、壁にかかっているマリリン・モンローの絵がIKEAで扱っているアート作品のラインナップのイメージと合致しておらず、ところどころツボを外している感じ。


ダイニングキッチンも再現しているのですが、照明が並べて2つも設置されていて、片方が上向き、もう片方が下向きに光を発するタイプなのがかなり不可解。


ここまで見てきた中では一番それっぽく仕上がっているベッドルーム。


個別の家具ごとにコーナーが設置されて通路の両脇に展示されているところは本家IKEAにわりと似ています。


イスがずらりと並んでいますが、オフィスチェアもダイニング用のイスも一緒くたになっています。


本家IKEAであれば店内では黄色のバッグを、店外に持ちだす際には有料の青いバッグを用いるのですが、このIKEA風家具店の店内にはベニヤ板で作ったとみられる箱の中に青い袋が無造作に入れられています。一応本家のコーポレートカラーは意識しているようですが、かなりおおざっぱに模倣しており、昆明にある本物そっくりなApple Storeよりはだいぶ雑な印象を受けます。


ショッピングを楽しんでいるとおぼしき女性たち。


1階のマーケットプレイスらしき売り場。


レジ周辺の再現度はなかなかのもの。


なぞのカウンターには店員が鎮座しています。配送受付用のカウンターでしょうか。


ちなみに、ここには写真はありませんが店内には本家IKEA同様カフェテリア方式のレストランが設置されています。本家ではスウェーデン名物のミートボールやサーモンなどを提供していますが、「十一家具」のカフェテリアでは中国風の豚肉や卵の料理が出されているということです。

これだけ大胆にIKEAの店舗設計をまねているため、中国にはIKEAが未進出なのではないかと思ってしまいますがさすがにそんなことはなく、北京や大連、上海といった比較的富裕層の多い都市を含む9店舗がすでに展開されています。サイト情報を見る限り昆明にはIKEAの店舗がないようなので、やはり昆明の家具店はIKEA直営店ではなく、まったくの別会社だということのようです。

上海や北京にある本家IKEAの店舗も訪れたことがあるという、「十一家具」で買い物をしていた女性は、「本物では商品レイアウトはもっとすっきりしているし、飾りつけもきちんとしている。実際比較にはならない」として、偽店舗で買い物する理由は単に近くにあるという利便性だと語っていました。

IKEA中国はロイターに対して「世界最大の家具会社の1つである当社にとって、知的所有権の保護は非常に重要」と述べていて、中国国内でも知財保護に力を入れていると強調しています。

中国の法律では、他社の「外観や雰囲気」をコピーすることは禁じられていますが、海外企業はまず商標やロゴを現地登録しなくてはならないなど、コピー禁止法の執行状況は抜け穴が多いのが現状で、そのすき間を縫うような形で「十一家具」は営業を続けているようです。

本物そっくりなApple Storeやこの「十一家具」のような偽店舗がどちらも昆明市で発見されたのは必ずしも偶然ではなく、まだ欧米ブランドが本格的に浸透しておらず、富裕層の多い沿岸部から離れた小規模の都市においては、欧米ブランドに対する欲求が中国全土の中でも特に高いということがあります。

このIKEAの事例以前にも、スターバックスコーヒーやNIKEが同様の状況に陥り、長い間著作権侵害について争っているとのこと。そのため、この「偽IKEA」についてIKEA本社が訴えるとしても、その決着には長い時間がかかりそうです。

とはいえ、IKEAをざっくり模倣した「十一家具」の顧客が、その商品やサービスに満足しているわけではないようで、50代の女性は「十一家具」の売り場に置かれたチェック柄のクッションカバーを指さし、「中国人が普段使う感じじゃない。かわいすぎる」と冷めた目線を向けていたとされています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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