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25年に1度という希な雨天が結果を大きく左右したF1世界選手権ハンガリーGP

by MyTeamLotus

7月31日にハンガリーにあるサーキット、ハンガロリンクでF1世界選手権ハンガリーグランプリ決勝が開催されました。

予選の結果、レッドブルのセバスチャン・ベッテルがヨーロッパGP以来のポールポジションを獲得。その後ろにルイス・ハミルトンとジェンソン・バトンのマクラーレンコンビがつけ、さらにその後ろにフェリペ・マッサとフェルナンド・アロンソのフェラーリコンビがつける形。ベッテルのチームメイト、マーク・ウェバーは6番手からのレースとなりました。


ハンガリーGPは晴天下で行われることが多く、前回までの25年間で雨天だったのはわずか1度だったのですが、今年は2006年以来の雨天で、各車、雨天に対応したインターミディエイトタイヤを履いてのスタートとなりました。

レースはこの天候もあってか1周目から大きく順位が変動する展開で、2周目に入った段階でトップ3はそのままながら、4位にニコ・ロズベルグ(メルセデス)が上がり、5位がアロンソ、6位にミハエル・シューマッハ(メルセデス)、7位がマッサ、8位がウェバー、9位にポール・ディ・レスタ(フォースインディア)、10位に小林可夢偉(ザウバー)という順位に。

タイヤに優しいマシンなので長く同じタイヤを使える反面、タイヤが暖まるのが遅く荒天下でのレースでは苦しむことの多いフェラーリですが、アロンソは3周目にロズベルグを抜いて4位に浮上。

ベッテルは久々の優勝を目指してトップ走行をしていましたが、5周目にオーバーランのミスがあり、その間にハミルトンが先頭に立ちます。8周目には6番手に上がっていたマッサがスピン、レースには復帰したものの9番手に後退。

コースがだんだんと乾き始めた10周目の終わりにウェバーがピットインしてドライタイヤのスーパーソフトタイヤに交換。これにマッサやヴィタリー・ペトロフ(ルノー)、ルーベンス・バリチェロ(ウィリアムズ)らも続き、翌周回にはバトンもタイヤ交換。

13周目にさしかかるところではハミルトン、ベッテル、アロンソ、ロズベルグもピットインし、一時的にトップはシューマッハに。

14周目にバトンがベッテルを交わして2位に浮上し、マクラーレンはワンツー態勢に。また、ウェバーもアロンソを抜いて4位に浮上し、レッドブルが3位4位を走行する形ができあがります。

このレースで最初にリタイアしたのはロータスのヤルノ・トゥルーリ。20周目走行中でしたが、水漏れがあったとのこと。チームメイトのヘイキ・コバライネンもこのあとリタイアしています。

レースが中盤へと移っていく25周目、先頭はハミルトン、バトン、ベッテル、ウェバー、アロンソという順位で推移。この周回でピットに入ったルノーのニック・ハイドフェルドはマシンから白煙を上げながらのピットアウトで、ピットレーン出口走行中についに炎が上がってそのまま車を止めてリタイア(KERSのバッテリーからの出火だとみられる)。さらに、29周目にはシューマッハがスピン後にリタイア。

上位はなかなか入れ替わりがなく、ハミルトン、バトン、ベッテル、ウェバー、アロンソの順番。その後ろにはピット回数を抑えて粘る小林がおり、さらにマッサ、ロズベルグが続きます。粘る小林は35周目にマッサに抜かれて7位に後退します。

アロンソはなかなかウェバーを抜けず、37周目、早めのピットインでタイヤ交換を行うアンダーカット作戦を敢行。

ピットインを行うと、ピットレーンの速度制限、そしてタイヤ交換の作業時間があるため、1度に約20秒(サーキットによって異なる)失うため、タイヤがグリップを失ってタイムが落ちてくるタイミングと、前や後ろのライバルとのタイム差とを考慮してうまくピットに入る必要があります。

このときアロンソはウェバーを抜くに抜けない状態だったため、一度ピットインしてウェバーとの差をあえて広げ、新しいタイヤで一気にタイムを上げて、次にウェバーがピットインした時に追い抜くという作戦を取ったわけです。この作戦が見事に功を奏し、40周目にウェバーがピットインした際にアロンソはウェバーの前に立つことに成功。さらに、42周目にはベッテルがピットインしている間にこれを抜くことにも成功し、3位に浮上します。

43周目にはバトンがピットインするも、これはアロンソの前でコースに復帰。トップはハミルトンが譲らないまま、2位バトン、3位アロンソ、4位ベッテル、5位ウェバーという順位に。一気に表彰圏内に入ったアロンソでしたが、45周目にベッテルに交わされて4位に転落することに。

47周目、ここまで安定して先頭を走っていたハミルトンがスピン。この間に2番手走行中のバトンが先頭に立ちます。しかし、51周目に今度はバトンがオーバーランしてハミルトンが先頭に復帰。52周目の1コーナーの立ち上がりで再びバトンがハミルトンを抜くも、さらにハミルトンがトップを奪い返す、というチームメイトによる熾烈なバトルが繰り広げられます。

雨がぽつりぽつりと降ってくる微妙な天候の中、ウェバーとハミルトンは最後のタイヤ交換でインターミディエイトタイヤに交換するというギャンブルに出ます。しかし、これは裏目に出てタイムを大幅に落とし、54周目にウェバーは再びソフトタイヤに切り替え。ハミルトンもアロンソに抜かれて、55周目にソフトタイヤに戻すことに。

ハミルトンにとって不運なことに、47周目でのスピンからの復帰が他車妨害だったとしてドライブスルーペナルティを受け、57周目にペナルティを消化。その間にマッサとウェバーに抜かれて6位に後退。このあと59周目にウェバーとハミルトンは連続してマッサを抜いていきます。

先頭が激しくバトルをする中、8番手走行中の小林も後ろからディ・レスタ、セバスチャン・ブエミ(トロ・ロッソ)、ハイメ・アルグエルスアリ(トロ・ロッソ)、ロズベルグの猛追を受けていました。厳しい中でディフェンスを続けていた小林ですが、タイヤが限界に近く、ずるずるとオーバーテイクを許して入賞圏外の11位まで転落。

一方、先頭側では64周目にハミルトンがウェバーを抜いて4位まで戻しました。しかし、これ以外に順位は変動せず、バトンが先頭でチェッカーフラッグを受けました。バトンはこのレースがデビュー200戦目という節目のレースでした。ちなみにバトンは2006年にハンガロリンクで初優勝を遂げており、そのレースこそが過去1度だけ雨が降ったという希なケースでした。

ベッテルは2位を確保。3位にアロンソ、4位ハミルトン、5位ウェバー、6位マッサと、マクラーレン、フェラーリ、レッドブルの3チームが上位を固めました。

なお、ドライバーズランキングでは今回も着実にポイントをしたベッテルが234ポイントで後ろに85ポイントの差をつける独走。2位以下はウェバー(149ポイント)、ハミルトン(146ポイント)、アロンソ(145ポイント)、バトン(134ポイント)と接戦です。

次のレースは約1ヶ月の休みを挟んだ8月28日のベルギーGPです。舞台となるスパ・フランコルシャンはドライバーの腕が試されるサーキットとしても知られており、単なるマシンの優劣以外のところでどれだけ面白い展開になるか注目です。

・次のレース
F1の夏休み明け初戦、F1世界選手権ベルギーGP


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in 乗り物, Posted by logc_nt

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