「ネットへの書き込みじゃなくアナログな方法で意見を伝えて欲しい」「予約が大事」、アニメ・ゲーム業界関係者が語る現場の実態
「マチ★アソビ」というとアニメが上映されていたり、声優さんがトークイベントやライブをしたりするものだと思っている人がいるかもしれません。たしかにそれらもイベントの一つですが、何より面白いのは気軽にアニメ業界やゲーム業界の関係者の話を聞けるところにあるのではないでしょうか。
「マチ★アソビ vol.4」2日目夜には、恒例となった業界関係者トークイベントが開催されました。アニメ業界・ゲーム業界に携わるエライ人たちが集まったこのイベントで今回明らかになったのは、どこの業界も「とにかく予約が大事なんです」ということでした。
ギリギリセーフではなくアウトなのではないかというぐらい内情ぶっちゃけのトークがぽんぽん飛び出したトークイベントの詳細は以下から。
会場はufotable cafe徳島と同じ建物にある新町川文化ギャラリー。だいたいギャラリーに70名、カフェ側に30名が入る形となり、このほかUstreamでも中継が行われていました。
今回の参加者も錚々たる顔ぶれ。来た瞬間は顔を知らず「誰だろう?」と思うような人でも、名前を聞くと「ああー!!」という人ばかりです。敬称略で一気に紹介するとユーフォーテーブル・近藤光、アニプレックス・高橋祐馬、サイバーコネクトツー・松山洋、バンダイナムコゲームス・富澤祐介、角川書店・蜂屋誠一、ブシロード・島村匡俊、ニトロプラス・でじたろう、グッドスマイルカンパニー・ミカタン、角川書店・西山洋介、ブシロード・田中ブンケイ、メガミマガジン・松坂豊明、フロンティアワークス・松永孝之、キングレコード・山中隆弘、マウスプロモーション・納谷僚介、クロックワークス・武智恒雄。さらに途中参加でグッドスマイルカンパニーの安藝貴範社長も加わりました。
このメンバーを仕切ったのは、開始15秒前に司会が決定したという高橋祐馬さん。「アニプレックスゆま」の名前でいろいろなところに登場している有名広報担当者です。「どうぞ、仕切って」という近藤Pからの無茶振りでイベントはスタートしました。
ゆま:無事2日目まで終えられてよかったです。
近藤:初日に来てくれた人、いる?(半分以上の手が上がる) 徳島で警報が出ていたことを知らなくて、とにかく、お客さんがいなくなるまでやろうと思ったんです。イベントを中止にしてしまうと、それはそれで騒ぎになってしまうので。上映会の場合は、ただ映像を流しておいて、誰も人がいなくなったらそこで終了ということにしようかと思っていたんですよ。
(注:大雨(浸水害)洪水警報が出たのは阿南市と小松島市で、徳島市に出たのは注意報だったようです)
島村:初日の上映会で「ブラック★ロックシューター」を最後まで見たんですけど、100人単位で残っていてびっくりしました。
富澤:初日はすごい雨で、バンダイナムコゲームスとフロンティアワークスではufotableの1階を借りてイベントをしていたら、向かいのパラソルショップは大変なことになっていて、なんか申し訳なかったです。
近藤:山頂で売っていたクレープのお店、細かい数は教えてくれなかったけれど、すごい売上だったらしいですよ。
(お客さんから「ROMANDO ROLL」「SWEETS WAGEN」2店舗とも売り切れになっていたとの情報)
松山:僕は今朝の飛行機で来たんですが、まぁあんなにも沢山の人がいるかと驚きました。「マチ★アソビ」というイベント自体の存在は知っていたんですが、参加が決まったのは富澤PからTwitterで連絡をもらってです。
富澤:これまでのマチ★アソビではやって来て遊ぶような立場だったんですが、これからはゲームを盛り上げる立場に立たなければと思って。前回、自転車で来たときに鳴門海峡を見に行って、そこで「ああ、鳴門か……ナルトか」と思いつき(ナルトのゲームを作っているサイバーコネクトツーの)松山さんを呼んだんです。アニメ業界は横のつながりが強いように感じるんですが、うちらゲーム業界は横は厳しいので難しいかと思ったら気軽に来てもらえました。
近藤:アニメもゆるいわけじゃないんですよ。
田中:ブシロードのブースには、自分が思っていた人数の1.5倍ぐらいの人数が集まってくれました。とても嬉しかったです。
島村:ブースが一番忙しい時間帯に、僕は山頂で行われるミルキィホームズのイベントの手伝いに行っていて、ブースに戻ったら暇になり始めていたみたいです。すみません。
ゆま:ミルキィホームズが4人揃って出るというのは、すんなりと決まったんですか?
島村:ミルキィホームズを担当している中村(伸行)Pと、「マチ★アソビ」で何かできると良いねみたいな話は前からしていました。10月の連休ならちょうど1話を放送したころだから連れて行くしかないねということで話を持ちかけたんですが、同じタイミングで地区決勝大会をあちこちやっていて、この連休には本当は台湾でもイベント予定があったので4人は無理だなと思っていたら、近藤さんと打ち合わせをしているところに木谷(高明)社長がやってきて「4人連れて行け」と、鶴の一言で決まりました。
近藤:「4人、連れて行ったらいいやん」って一言でしたね。
でじたろう:ニトロプラスは3つのイベントに参加しました。1つはアニメユーザーにいかに美少女ゲームを売り込むかと言うことで、ゲームメーカーが力を入れた広告イラストを集めた広告展。あと、山頂にランチャストラトスの痛車を飾っているので見てください。
ゆま:すごい車ですよね、アレ。
でじたろう:3日目はいとうかなこがいっぱい歌うので見に来て下さい。
ゆま:イベント内容は、話をしていく中で決まったんですか?
近藤:最初に持ってきてもらった企画は中途半端な感じでしたよ。でも、ちょうど同時期に牛の丸焼きをやろうかという話があって、こちらは保健所からのストップが入ったんですが、それを聞きつけた土居さん(ニトロプラス副社長)が「わかりました、また持ってきます」と改めて出してきたのがこの企画だったんです。
ゆま:山頂では花澤香菜さんのイベントもありましたけれど。
近藤:あれは、いきなり松岡さん(大沢事務所常務)から電話がかかってきて「10月10日のスケジュール空けといたよ、出るから」って。それで決まりました。花澤さんって徳島と何かゆかりあったかなぁと思いつつも、ありがたいことですね。
ゆま:僕はそれを聞いて「こういうイベントとかどうですか」って提案したら、なぜか「じゃあ、司会やってよ」ってなりました。
近藤:(アニプレックスプロデューサーの)岩上さんから「ゆまが司会するから」って連絡あったよ?
ゆま:なにその人身御供みたいなの……。
と、ゆまさんによるトークコントロールで、いきなり全開にならないようスタートしたイベント。「マチ★アソビ」の思い出に続いては、それぞれ現在担当している作品についてのトークや、Twitterで流れてくる質問を拾い上げてのQ&Aが行われました。
蜂屋:10月1日から「そらのおとしものf(フォルテ)」の放送が始まっておりまして、今週は第2話が放送されるんですが、ニコニコチャンネルでも配信されているので放送されていない地域の人はぜひネット配信で見てください。
近藤:四国じゃ見られないの?四国放送で流そうよ。
ゆま:映像がパワーアップしてますよね。
蜂屋:テレビ局からの文句もパワーアップして、どうしようって(笑)
近藤:苦情きてるの?
蜂屋:「もうちょっと表現に気をつけてください」みたいなのが来てます。「いやー、気をつけてこれですけど?」みたいな感じですけれどね(笑)
近藤:ぼくもたまたまあのパンツ(1期2話エンディング)を見てびっくりしたもん。「岬めぐりですかー」って。
ゆま:ほか、アニメでもゲームでも何でもOKですけど。ミカタン、フィギュアとかの話題でもOKですよ。
ミカタン:グッドスマイルカンパニーってみなさんご存じなんでしょうか?
(一同頷く)
ゆま:ここに来るような人はみんな知ってると思いますよ。
近藤:ミカタンブログ、みんな見てますよね。
ミカタン:今回、ボードウォークでパラソルショップを出しているんですが、放送中の作品からフィギュア化されるものがあるかも知れません。乞うご期待です。
ゆま:過去の作品でもいいんですが、これをフィギュア化しようというのはどう決めるんですか?
ミカタン:お客さんからもよく聞かれる質問ですね。企画担当から「これをフィギュア化したい」という希望を受けて打診することもありますが、版権元さんから「これをねんどろいど化して欲しい」という希望をもらって企画を進めることもあります。最近は後者のケースも結構ありますね。
近藤:じゃあ、僕からゆまくんに質問していい? (Twitterを見ながら)「パンスト(パンティー&ストッキングwithガーターベルト)って業界ではどういう扱いなんですか?」っていうのが来てる。
ゆま:それ、僕に聞きますか?
近藤:僕があなたに聞きたかったんだもの。
ゆま:この前に「天元突破グレンラガン」を作ったスタッフさんの作品で、グレンラガンもぶっ飛んでる作品だったので、僕はすっごい楽しみですよ。
近藤:じゃあこの質問、にっしゃん(角川書店西山さん)に投げてみようか。
西山:おかげさまで好評いただいていますよ。
近藤:あ、そうだ、武智恒雄っていう名前をパンティ(のスタッフロール)で見たよ。
ゆま:「パンティで名前を見た」っておかしいですから。
(一同笑)
近藤:何を担当してるの?
武智:製作ですね。
近藤:そうだ、この人がパンティのプロデューサーだ、忘れてた。
武智:業界的には「パンティ」じゃなくて「パンスト」なんです。製作委員会の打ち合わせで、受付のお姉さんに「パンティ&ストッキングの件で」ってまるで変な人みたいになってたり……ってまあ色々ありますけど、作品は面白いのでぜひ見てください。
西山:10月から放送中の「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」、すごくぶっ飛んだ内容で、主人公のパンティはセックスばっかりしている、もう一人の主人公ストッキングはスイーツばっかり食べているけどセックスの趣味は変態という本当にすっとんだ内容です。おかげさまでテレビほにゃららには撥ねられました。
(一同大笑)
西山:グレンラガンのスタッフが作っているということで映像の情報量がすごいんですよ。録画して見ている人は「あれ、今なにか映ってたぞ?」と首をかしげて巻き戻して見てみてください。そうじゃない人は、今はブルーレイという高品質な商品があるので、ぜひそれをお待ち頂きたいと思っております。
近藤:おお、さすがだなあ。じゃあ「パンティ&ストッキング」トークが終わったところで、「俺妹」トークに行きますか。どうぞ。
ゆま:同じく新作アニメの「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」は、とあるアホな宣伝がニコ生で「2010年秋アニメの覇権を握ります」って言ったらしくて。
近藤:ほうほう?
ゆま:まあ、僕なんですけども……すでにご覧頂いた方多いと思いますが、キャラデの織田広之さんは原作イラストのかんざきひろさんと同じ方だったり、これまでにありそうでなかった、「原作をそのままやったらどうなる?」という疑問へのアンサーが出ていると思います。脚本は倉田(英之)さんがいいものをあげてくれています。
近藤:(Twitterを見ながら)納谷さんへ、「第4回で1周年のつきねこについてコメントを」って。
納谷:眉山山頂で花澤(香菜)さんがイベントをやっているにもかかわらず200人近いお客さんに来ていただいて、ありがとうございます。山頂の状況は知らないんですけど、下の公園にこんなにも人がいるんだったら、実は山頂には人がいないんじゃないかって?いうぐらいに集まっていました。
近藤:いやー、山頂もすごかったよ。ステージの前がぎっしり埋まってたもん。
(Twitterを見ながら)次、誰に聞こう…メガミマガジンにしようかな、「テレビアニメじゃないんですがREDLINEについてはどう思いますか」。こういうすっごい労力がかかっている映画はヒットして欲しいんですよ。でないと、チャレンジができなくなってしまう。で、メガミマガジン、どうですか?
松坂:メガミマガジンは美少女マガジンなので……
近藤:僕が言いたいのは「メガミマガジン。版権絵行こうぜ!」っていうことですよ。
(一同笑)
近藤:キムタクだよキムタク。Twitterにも来てますよ、「REDLINEの版権絵欲しいなあ、メガミマガジン」って。
蜂屋:まずはメガミマガジンの発注するラフをREDLINE側が受けるかですけどね(笑)
近藤:大丈夫、今日(マッドハウスの広報担当者が)マチ★アソビに来てたから。
蜂屋:全裸野球みたいなラフだと、いろんな作品で断られて、最終的に「そらおと」が引き受けることになったりするから(笑)
近藤:「そらのおとしもの」はメガミマガジンに載ってるの?
蜂屋:この人(松坂さん)が発注してますから、全部。
近藤:娘TYPEじゃなくていいの?
ゆま:斬り込みますねえ……
蜂屋:大丈夫、メガミマガジンに負けない、ヘンなのを発注してやる!ってやってますから。
近藤:それは素晴らしいですね。
10月といえば「ゴッドイーターバースト」が発売になるよね。どうぞ。
富澤:「ゴッドイーターバースト」は前作「ゴッドイーター」のパワーアップ版なんです。それで、せっかく本編がパワーアップするならムービーもオープニングもパワーアップさせたいよねということで、最初は新キャラをちらちらっと3カットぐらい追加できないですかねと相談したんですが、30カットぐらい増えて返ってきたんですよね。
近藤:全部で90秒のうち50秒ぐらい差替で、3000枚ぐらい使っちゃったんですよ。作品によるけど30分アニメ1回分ぐらいです(笑)
富澤:最初は枚数を聞いたとき、数を間違えてるか何か騙されてるんだと思って見てみたら、うわっ、本当だっていう……。
ゆま:ぜひ300インチスクリーンで見たいですね。(この日、野外上映会でPVが流されました)
近藤:上映会では空の境界のリミックスも流したんだけど、まだDVDにも収録されていなくて、見返したこと無かったんですよ。見たら、辛い思い出とかがフラッシュバックするから。でも、見てみたら凄くよかった。いいね、あれ。
ゆま:…社長!いいですよ、空の境界!
近藤:そうか、ありがとう。
次はこのTwitterの「最近気になる声優は?」って質問、全員に聞いてみよう。どうですか、でじたろうさん。
でじたろう:……あ、すみません、聞いてませんでした。さっき食べた徳島ラーメンの味を思い出してました。
近藤:僕、急に振るクセがあるらしいんで、うまく対応してください。ちなみに、どこのお店?
でじたろう:ワシントンホテルの前の、新しくできたところ。味は普通だなと思ったら、生卵を入れたらすごくウマくて。
近藤:僕は生卵派じゃないんですよ、肉・小ライス派なんです。(前列の客が頷いて)わかる?たくわんだけが入ってるのがいいんですよ。
ゆま:「気になる声優」!!
近藤:僕、東京に行って気になったのは…
ゆま:無視!?
(一同笑)
近藤:お好み焼き屋さんに入ったらごはん置いてないんですよ。お好み焼きっておかずでしょ?徳島ラーメンもおかずでしょ?(客頷く)ほらほらほらほら。
ゆま:ほらって言われて、僕はどうしたらいいんですか。
でじたろう:気になる声優……花澤香菜さんはSTEINS;GATEでもヒロインやっていただいて、良い感じだなと思います。
島村:僕の目の前にはいつもミルキィホームズの面々が居るので、そこに目が行きますね。特に、2010年2月のオーディションで受かった佐々木(未来)さんがどんどん成長していくのを見るのは楽しいですね。
ミカタン:私の中でもミルキィホームズがきてます。今日、山頂でのライブがあると聞いてサイリュームを持ってきたんですが、空港の手荷物検査で引っかかってしまって、ちゃんと説明したら通してくれましたが、みなさん気をつけてください!
西山:一人はパンスト主人公の小笠原亜里沙さん。アフレコ現場ではセックスとかビッチとかウンコとかばっかり言わせていてかわいそうだなと思ったら、ご本人がしてきたベルトのバックルに「I love beer」と書いてあってそっち系なのかな、ぜひ一緒に飲みたいな、と。もう一人は、ストライクウィッチーズ2で唯一声優変更で加わった坂本美緒役の世戸さおりさん。すごいイイ演技をしていただきました。「ストライク~」は主役11人の声優事務所がバラバラなので、イベントをやる時なんか凄く大変なんですけれど、2になってようやく世戸さんが沢城(みゆき)さんと被ったんです。それに、インタビューでお酒好きだということが発覚したので、気になっている感じです。
ここでサプライズ的に、河森正治監督が顔見せに現れました。
軽く挨拶だけとのことでしたが、マチ★アソビを満喫して「また機会があればぜひ来たいですね」と嬉しいコメントを残してくれました。
YouTube - マチアソビ vol.4 業界関係者トークイベントに河森正治が登場
引き続き「お気に入り声優」のトークが続きます。
松坂:メガミマガジン的には竹達彩奈さん、あずにゃんとかkiss×sisとか色々あって、新連載も始まりましたので注目しています。
蜂屋:数年前から出てもらっている早見沙織さんのレギュラーがどこまで増えるか気になります。いったいどこまで成長するのかなと。
富澤:個人的に好きなのは広橋涼さん。最近だと「WORKING!!」の山田とかやっていて、出ている作品はつい見てしまいます。「CLANNAD」の時みたいな演技もあれば、ほわーっとした雰囲気もあって芸達者だし、声が好きなので、「ゴッドイーターバースト」にも出てもらいました。
田中:いろいろいて名前をすらーっと挙げたいんですが、それをすると時間がなくなってしまう(笑)ので、あえて一人選ぶなら沼倉愛美さん。竹達さんに負けず頑張って欲しいと思います。
松山:アニメーションの人たちが並んだ中で、うちの会社では「NARUTO-ナルト-」のゲーム「ナルティメットストーム」の制作とかをやっています。ゲームもアニメも同じキャストなので、現場は皆さんが期待する若い人ではなくてベテランさんが多いんですね。大塚芳忠さんとか井上和彦さんとか竹内順子さんとか。そんな中で一人挙げるとすると、はじめてゲームのアフレコをしたのがうちの作品だったという浅野真澄さんですかね。
近藤:いい質問が来てるよ、「ゲームとアニメで声優が変わっちゃうことについてどう思いますか?」
納谷:ここで質問変わるんだ……(本来は「最近気になる声優は?」の質問に答える順番だった)。真面目な話、音響についてはゲームはゲーム会社と音響会社のつながり、アニメはアニメ会社と音響会社のつながりがそれぞれあり、これは必ずしも一致しないので、変わることはあると思いますよ。
近藤:じゃあもういっぺん声優の話題に戻そう。
(一同笑)
松永:最近、今井麻美さんが気になりますね。ずっとお仕事する機会がなかったんですが、去年の「マチ★アソビ」で初めてお会いした時、女の子っぽい座り方をして髪をなびかせ、川縁に向いてぽつりと「今日も暑くなりそうですね」って。その時に「なんてステキな人なんだ」とドキッとしました。
近藤:それ「気になる声優」じゃなくて、恋やん(笑)。(ほかにも山ほどツッコミが入り、たじろぐ松永さん)
松永:恋やったんかー!(笑)
これには続きがあって、そのあと「kiss×sis」のイベントのときにまたお会いしたんですが、清楚なイメージかなと思っていたら「口から生まれてきた女って言われるんですよ」なんて言いながらぺらぺらーっとトークを繰り広げているのを見て、ああ、あれは違ったんだなと(笑)
山中:1年の恋が終わった瞬間みたいな。
松永:そうですね。
納谷:松永失恋トーク、完。
近藤:失恋トークやん。その後は何もないの?
松永:今ちょっと一緒に仕事をしていて、内容はちょっと言えないんですけれども。
山中:僕は茅原実里さんが気になりますね。
近藤:(がくえんゆーとぴあ まなびストレート!で)聖桜学園の「桜舞うこの約束の地で」を茅原さんに歌ってもらおうと提案したのは彼です。あ、ちょっと電話が……もしもーし。
ゆま:出るんだ!
近藤:今カフェでトークショーやってます……はい、待ってまーす……。安藝さんでした。来てくれるそうです。
あ、いい質問来てるよ、「声優と業界人の恋ってあるんですかね?」って。
山中:あるんじゃないですかね?
近藤:結婚したもんね。
山中:うち(キングレコード)でも某Pとか某Pとか某Pとか……3人いるんですけど。
近藤:イベントとかで合ったりするしね。
山中:プロデューサー同士とか相手が役者さんとか、ないこともない。
近藤:社内恋愛に近いもんね。
山中:で、僕が茅原さんを気に入っている理由はナシで?
近藤:茅原さんが好きな理由はなんでしょうね、ゆまくん?
ゆま:ここにご本人いるじゃないですか!じゃあ、山中さん、答えをお願いします。
山中:茅原さんは「涼宮ハルヒの憂鬱」を見て気になって、こういった演技ができるひとなら「みなみけ」のチアキができるんじゃないかと思って、演じてもらいました。
そして、ここで近藤Pが前夜祭で言っていた「高橋祐馬お誕生会」のことを思い出してしまい、ゆまさんが「いいです!」と固辞する一幕も。実は、山頂イベントで花澤香菜さんに「ハッピーバースデー」を歌ってもらうサプライズの予定を忘れていたのだとか。ということで、この会場でゆまさんをお祝いすることに。
YouTube - マチ★アソビ vol.4 アニプレックスゆまさんの30歳を祝う
トークは引き続き広報・宣伝活動の話題へ。
ゆま:宣伝の大変さってありますよね、ミカタン。
ミカタン:出した情報にお客さんがどう反応するのかってりますよね。
西山:宣伝はすごく楽しいですよ。いろんな作品のいろんな情報が少しだけ早く入ってくるので、それをどういうタイミングで出そうかと考えることとか。かたや、お客様から直接連絡があったりもしますが……
ゆま:「なんで8回も同じものをやるんだ」とかですか。
西山:エンドレスサマーでしたね、暑い夏でした。なぜか、会社に午前中一人だけだったんですよ。午後に上司が出社してきて「すまんなー」って言われました。
田中:ゲームの広報も大変ですよ。最初は資料を送ってたんですが、僕の書いた誤字がそのまま雑誌に載って「あー!」って思い、そのままコピペされても大丈夫なように内容を面白おかしく練って書いて送ったんです。そうしたら、ファミ通とかゲーマガとかが争うように掲載してくれるようになったんです。
富澤:ゲームは発売してしまうと一区切りというところがあり、発売まで時間をかけてPVを出したりゲームショウで情報を出したりしなければダメで、色々大変ですよね。特に、今は発売から2週間がすべてと言われる短期決戦状態です。でも、ゴッドイーターは短期決戦型ではなくて、お客さんの口コミで評判が広がっている作品ですね。
近藤:Twitterで辛いこと書かれちゃった、「多くのゲームが発売日勝負であるように、劇場アニメも封切り日が勝負ですね」って。これ、お客さんに見透かされたように言われると本当に辛いよね。
富澤:確かに、そういう現実もありますけどね……。
近藤:すごい質問来てるよ、サイバーコネクトツーの松山さんに。「自分が作った中で、正直あれはクソゲーだったなというのは?」だって。
(一同大)
松山:うちは、ないですよ。怒られるかもしれないですけど。
ゲームソフトにしてもアニメにしても映画にしても、沢山の人が関わっていて、宣伝の方には宣伝の方の戦いがあって、制作には制作の、営業には営業の戦いがありますよね。ゲームソフトって結局、お客さんの期待と盛り上がりによって発売日に出荷される本数が決まるんですよ。今はだいたい木曜が発売日で、そこから日曜日までで発売初週の数字というのが出るんですけれど、我々が何を一番気にするかというと、発売日を迎えるまでは一本でも多くの予約を集めることなんです。そして、発売日、木曜日は17時までの消化率が気になるんです。
ゆま:すごい話してますね…
松山:これぐらいは普通のことですよね?
富澤:その数字はどこからもらえるんですか(笑)
近藤:色々知ってるだけに辛いな-。
富澤:松山さんは制作会社、いわゆるディベロッパーで、僕らがパブリッシャー(製作会社)という関係で、こうして(ディベロッパーの人が)宣伝隊長として自らいろいろなところでアピールして頂くことってあまりないんですよ。普通はパブリッシャーがやるのが常なんですが、松山さんは自ら作った作品に自信を持ってアピールして頂いていて。
松山:ファンから怒られたりもしますけどね、余計なことは言うなって(笑)
お客さんから見て、ゲーム業界って謎が多くないですか?どうしてこうなんだろう、前の年に出たタイトルが翌年別のハードで出るんだろうとか、気になることは多いと思うんです。
ゆま:移植ですか?
松山:移植だったり、「より完全版」的なものだったり……なんだか口数の減ってしまった人もいるんですけど、みなさんからすると意味が分からないこともあると思うんですけれど、ああいうのもちゃんと理由があるんですよ。たまたまそうはならないですから。作ってる側は、お客さん一人一人に喜んでもらおうと思ってやっています。あるソフトをハードごと買ったけどどうしてくれるんだと言われたりもしますけれど、これはあくまで私の意見ですが、個人的には、惚れ込んでハードごと買った時って、すごく幸せだったと思うんですよ。あとから新しいハードで出るとき、それはそのハードでもお客さんが待っているのでよかれと思ってやっていることなんです。怒る気持ちはよく分かりますが、ドキドキワクワクしてハードごと買ってゲームを遊んだ自分を否定するのは、やめましょうよ、と。
富澤:最近、ゲーム業界でいわゆる移植があったりした時に、反応が多いなと言うのは感じていますね。
近藤:(Twitterを見て)「ソラトロボをPS3でお願いします」って言われてるよ。
松山:……えええっ!?PS!?DSとPSって、どれだけスペック違うんですか(笑)
(会場爆笑)
近藤:「ソラトロボの予約状況、大丈夫でしょうか?」という質問が来てます、心配しているようで。
富澤:心配してくれている方はきっともう予約して頂いているとは思うんですけれど。
松山:正直言うと、今の予約数はまだあんまり好きじゃない数字ですね。もう少し増えると、だいぶ好きな数字になるかも知れません(笑)バンダイナムコゲームスさんにも一生懸命頑張って頂いていますので、皆さんの勇気をオラたちに分けていただきたい、と。
(一同笑)
富澤:予約の話がありましたけど、ユーザーさんにとっての予約と、我々にとっての予約はちょっと受け取り方が違うところがあると思うんです。
松山:けっこう予約も手間だと思います。内金を払わないといけなかったりとか、名前や住所を書かないといけなかったりとかあって、どうせ発売日にお店に行けばあるやろうし、買えるだろうと思っていると思います。あの……心の底から叫んでいいですか?(Ustream中継の)カメラの向こう側の方も、頼むから予約してください。
(会場拍手)
松山:私は制作会社の人間だからこういう風に言えますけれど、メーカーの人は言いにくいと思うんです。「予約してくださいね~」って、軽い気持ちじゃないですからね、あれは。かなり血の涙を流しながら、心の底から言ってますから。そういう気持ちかというと、それこそ富澤さんから…
富澤:振りましたね……。本当に、お一人の予約が100人分の期待として我々は感じているんですよ。(またまたー、みたいな空気に)いや、そう思うでしょ?
松山:どうやって発売日の出荷本数を出しているかわかります?ゲームが発売された日の出荷本数って集計されていますけれど、日本全国のお店から予約が入ってますよって連絡をもらってメーカーの人間が確認するなんてことは不可能ですよね。あれは協力店に定期的に数字を聞いて、その数字をもとに計算しているんです。だから、あなたの予約1本が100人分以上の期待値になってるんですよ。
富澤:発売するまで時間はあるし色々やれるけれど、肝心のゲームは発売日までは出せない、というのがありますね。
ゆま:これはアニメも同じですね。予約をぜひお願いします。
一番最後には質疑応答コーナーも設けられ、ここもぶっちゃけトークが行われました。
Q:ソフトに同梱されているユーザはがきの返信率でどうなんでしょうか?
富澤:何%か知りたいですか……本当に数%ですよ。送っても何かもらえるわけでもないですし…
近藤:でも、帰ってくるとすっごく嬉しいよね。直筆とかだとなおさら。送ると何か当たると思いますよ(笑)
富澤:返信率は年々下がっていますけど、いただいた意見は次作への参考にさせてもらってます。自由記入欄だとプロデューサーや開発チームが目を通していて、全ての意見を聞けるわけではないですが、そこからヒントをもらうこともあるので大事にしています。
Q:地方に住んでいると地上波でアニメを見る機会が少なく、あったとしても放送が他地域よりもはるかに遅かったりするわけですが、情報があっという間に出回る時代にコレは辛いです。ニコニコ動画でのアニメ配信が行われて見る機会は均等化されてきているのに、地域格差はなかなか埋まっていない気がします。どうなっているのでしょうか。
蜂屋:まず、テレビアニメには2種類あって、一つはテレビ局製作のアニメ、もう一つはメーカー製作のアニメです。ここにいる人たちはほとんど後者で、「この番組は角川書店の提供でお送りしております」みたいな提供が入っているやつですね。夕方やゴールデンタイムに全国数十局で流れているやつは前者です。後者の場合、放送する局を増やすとそれだけ負担も増えるので、色々と検討して、この放送局で流せば近隣県にも電波が届くから、こちらの放送局での放送は申し訳ないけどナシで、という取捨選択を迫られてやりくりしています。そんな中、ネット配信やモバイル配信が助けになればと考えて、各社で始めているという状況です。もちろん、視聴者側にはこういった事情は関係ないので「もっと流してください」というのは言っていいと思います。それこそさっきの質疑とも重なりますが、お手紙・アンケートは非常に有効です。ネットに書かれていても、我々とても拾いきれないので、ぜひご意見を伝えて頂ければと。
山中:蜂屋さんのお話にあった通り、放送する局を増やすとそれだけ負担も増えますし、一方で放送局側から「この内容は…」と言われることもあるので、どの放送局でやるのか頭を悩ませたりしています。
ゆま:花澤さんみたいに売れっ子の声優でも「本当に私大丈夫かなって不安になるときがある」とイベントでお話されてましたけれど、そういうときに一通のファンレターがあると心の支えになるんです。
納谷:今売れている人たちでも、落ち込んでいる時というのはあったわけで、そういうときにファンレターがあったからもうちょっと続けてみようかなって思えたというのがあるんです。なので、ファンレターってすごく大事ですよ。手紙、ぜひください。僕にじゃなくていいですよ(笑)
近藤:書き込みよりメール、メールよりも手書きだよね。ラブレターと一緒で、アナログな方が伝わります。ufotable cafeには書き込みノートを置いているんですけど、けっこうスタッフは見てますから。
富澤:僕、東京ゲームショウの時にもらったファンレターをいつも持ち歩いていますよ。
松山:ネット上での書き込みってたぶん我々の年齢層が理解できるギリギリなんです。それより上のオッチャンたちに「スゴイですよ!」って話を持って行っても「それは自分に有利な意見ばっかり集めてるからだ」って怒られます。皆さんブログとかお持ちだと思いますけど、それって自分から読みに行った人の目にしか触れないんです。手紙だと受け取った人間の目に触れるし、そこから広がっていくので、ぜひ。
近藤:マチ★アソビも人のつながりです。お、きれいに締まった。
ということで、今日はみんなゆまくんの30歳の誕生日に集まってもらってありがとうございました(笑)
最後に、つきねこチームなども合流して記念撮影。高橋祐馬さん、30歳のお誕生日おめでとうございます。
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