身長わずか数ミリの少女「Dot」の冒険を描く世界最小のストップモーションアニメ

12メガピクセルのカメラとカール・ツァイス社のレンズを搭載した携帯電話「Nokia N8」を使って撮影された世界最小のストップモーションアニメ「Dot」は、もともとは遠隔地医療用に開発されたという携帯電話にアタッチする顕微鏡「Cellscope」を使って何か面白いことができないか、とNokiaから打診されたアニメーション制作者のSumo Scienceが手がけたもの。
あまりに細かい作業のため通常のストップモーションのように人形にポーズをつけるのではなく、それぞれのポーズの人形を3Dプリンタで出力して制作したというそのメイキング映像もかなり興味深いものとなっています。
再生は以下から。Nokia Europe - Nseries
まずは本編。再生時間は1分37秒となっています。
YouTube - Dot. The world's smallest stop-motion animation character shot on a Nokia N8

すやすやと眠る少女「Dot」。

しかし突然世界が崩壊し始めます。

逃げて~!

コインやマチ針の頭と比べると、Dotの小ささがよくわかります。


水晶の洞窟でDotを襲うのは、「インディ・ジョーンズ」などでよくありそうな柱が落ちてくる展開。

ミツバチの背に乗り海を越えます。

ホッチキスの芯や鉛筆でできたビル街を飛び越え、空高く上っていくものの……

雷に打たれ大ピンチ。


花のパラシュートで何とか自由落下を止めることができました。この後もDotの冒険は続きます。

メイキング映像は以下から。再生時間は5分36秒とやや長めですが、かなり見ごたえのあるものとなっています。
YouTube - Dot. The making of.

作品を手がけたのはEd Patterson氏とWill Studd氏から監督コンビ「Sumo Science」。

2人は「ウォレスとグルミット」で有名なアードマン・アニメーションズに所属しています。

携帯電話と顕微鏡を合体させたような「Cellscope」は、カリフォルニア大学バークレー校のDaniel Fletcher教授による発明。

「例えばウガンダの僻地の無医村であっても、看護師が患者の血液のサンプルを撮影して世界のどこへでも送ることができれば、瞬時に専門家による診断を受けることができます。マラリアを診断したり、命を救うことにもつながる、すばらしい技術です」と、広告代理店Wieden+Kennedyで今回のプロジェクトを企画したMark McCall氏とRichard Dorey氏は語ります。

こちらが医療用に使われるもの。


医療用に使われるCellscopeは、試料に直接あてる表面のガラスの位置でピントが合うようになっているため、今回の撮影には特別に改造したバージョンを使用したとのこと。

左が今回使用されたスコープ、右が医療用に使われるCellscopeです。

スコープを製作したメカニカルエンジニアのLew Gardiner氏。

撮影に使われた携帯電話「Nokia N8」。

身長わずか9mmの主人公「Dot」は通常のストップモーションのように人形の関節を曲げたりポーズをつけたりができないほどの小ささなので、さまざまな姿勢の「Dot」50体が製作されました。

「Dot17番」(左)と「Dot20番」(右)。ほとんど違いがわからないほどの小ささです。

数千層の樹脂の層を印刷する3Dプリンタを使って製作されたとのこと。2Dのデザイン画をもとに、3Dモデラーが設計します。


3Dプリンタで、「Dot」を薄く輪切りにしたような形の樹脂の層を数千層重ねて「プリント」することにより立体出力します。押し出された樹脂は瞬時に乾くため、ぶら下がった状態でも造形が崩れる心配はないようです。


プリンタからスパッと切り離します。


そして「プリント」されたのがこちら。

ランナーから外したところ。

細いワイヤーに取り付け、拡大鏡を使い極細の筆でペイントします。数秒間息を止めるほどの集中力を要する緊張感漂う作業です。

色をつけたものがこちら。


アニメをじっくり見ると、髪がなびいたり、寝息で胸が上下したり、かなり細かいバリエーションのDotが用意されていることがわかります。撮影中にDotの腕や頭が取れてしまうこともあったそうです。

走ったり立ち止まったりひざまづいたりする姿勢のDotを置き換えながら少しずつ背景をスクロールし、撮影していきます。一日に撮影されるアニメはわずか4秒分ほど。気の遠くなるような作業です。

固定されたカメラの下でセットが動くようになっています。


身近な素材を使ったセットも、かなり作りこまれています。

削りカスの海と鉛筆のビル。

デニムの空に浮かぶ綿の雲。

撮影時にDotの頭に付いていたワイヤーを消す作業。


「今ちょうど1000フレームを突破したところだけど、Dotはまだここに居るんだ」と指差すEd Patterson監督。このメイキングを見た後にもう一度本編を見ると、そのすごさがよくわかります。

監督コンビ「Sumo Works」はこれまでにもさまざまなCMやユニークなショートフィルムを手がけていて、その作品の多くを以下の公式サイトから見ることができます。
Sumo Science - Direction/Animation
・関連記事
名作アクション「ロックマン」をレゴや文房具など身の回りのものを使ったコマ撮りアニメで再現 - GIGAZINE
ストップモーションで昔のゲームを再現したムービー - GIGAZINE
マイケル・ジャクソンとMr.ビーンが激しいダンス対決を繰り広げる「Jackson vs Bean」 - GIGAZINE
屋上で情熱的に繰り広げられる愛のぶつかり稽古をとらえた衝撃のムービー - GIGAZINE
過去最大の来場者数となった第13回文化庁メディア芸術祭、アニメ部門やエンターテイメント部門の出展物いろいろ - GIGAZINE
慶應義塾大学、高速シャッターで動体視力を高めるメガネ「ストップモーションゴーグル」を開発 - GIGAZINE
コーラで動く環境に優しい携帯電話のコンセプトモデル、NOKIAから登場 - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in 動画, アート, Posted by darkhorse_log
You can read the machine translated English article The world's smallest stop motion animati….