過去最大の来場者数となった第13回文化庁メディア芸術祭、アニメ部門やエンターテイメント部門の出展物いろいろ
2月3日から2月14日まで開催されていた第13回文化庁メディア芸術祭(主催:文化庁、国立新美術館、CG-ARTS協会)は歴代最多となる6万3000人の来場があったそうです。この数字はなんと前回を15%上回るもので、「メディア芸術」に対して関心を持つ人が多いことを示しています。
そんなわけで、12日間の会期で展示されていたいろいろなアイテムを改めてご紹介します。貴重なものが数多く展示されていたため、今年は行けなかった人も、「来年は行ってみようかな」という気になるかもしれません。
詳細は以下から。
第13回文化庁メディア芸術祭では、2009年7月に亡くなった金田伊功さんに特別功労賞が贈られました。
贈賞理由はアニメに限らず、映画、ゲーム、現代美術など幅広く影響を与えた功績。
金田さんのプロフィール。1976年の「大空魔竜ガイキング」で作画監督を務め、「無敵超人ザンボット3」「無敵鋼人ダイターン3」で注目を浴びました。「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」では”原画頭”としてスタジオジブリを支え、その後はスクウェア・エニックスに入社してゲームのオープニングなどを担当しました。
金田さん直筆のメモ。将棋の名人・羽生善治や大山康晴の言葉がメモされているようです。
愛用していた定規いろいろ。アニメ監督・越智一裕さんによると、アニメーターは定規を使うなというような考えがあった中、金田さんは効率がよければいいじゃないかと導入したようで、越智さんは現在でも時折円定規を使っているそうです。
スクウェア・エニックスの社員証など。
こちらは金田さんの作品。
ゲーム「武蔵伝II ブレイドマスター」のオープニングでは絵コンテを担当しました。このムービーを見ると、「天元突破グレンラガン」の今石洋之監督が金田フォロアーだというのも納得。
YouTube - 金田伊功が手がけた「武蔵伝II ブレイドマスター」OP
アニメ部門の大賞に選ばれたのは映画「サマーウォーズ」。5~6歳の子から90歳のおばあちゃんにまで見て欲しいと細田守監督が語った作品で、3月3日にBlu-rayとDVDが発売されます。
中盤、ショックを受けた一同が陣内家の大座敷に並んでいるシーンはこんな横長のレイアウトでした。
第13回文化庁メディア芸術祭 「サマーウォーズ」の横長レイアウト
「東京マグニチュード8.0」の絵コンテ。レインボーブリッジ部分は絵ではなくCGが貼り付けられているようです。
「アニマルダンス」の絵コンテ。書き込みがスゴイ。
この絵コンテがアニメになると、このように動くわけですね。
YouTube - 「アニマルダンス」大川原亮アニメーション作品 ANIMAL DANCE, Ryo Ookawara
「電信柱エレミの恋」はストップモーションアニメーション。修理してくれた作業員に恋してしまった電信柱のお話です。
マンガ部門で大賞を受賞したのは幸村誠の「ヴィンランド・サガ」。
効果音はこのようにトレース用紙を使って別レイヤーになっているようです。
海賊っぽい服装をさせられたマネキンが立っていました。
ちょっと時間をおいてから見に行くと、マントを羽織り兜を被っていました。
審査委員会推薦作品いろいろ。
「アオイホノオ」は熱血漫画家として知られる島本和彦氏が自身の芸大生時代をモチーフにして描いた作品。同時期に学校に在籍していた庵野秀明らや、週刊少年サンデーに連載を持っていたあだち充、高橋留美子などが実名で登場。ただし「この物語はフィクションである」と大きく注意書きされています。
石黒正数「それでも町は廻っている」。
また、功労賞がゲームクリエイターの宮本茂氏に贈られました。こちらは、世界中で知られているマリオをはじめ、ビデオゲームの歴史を変えるほどの活動をしてきたことが贈賞理由。
マリオが生まれてきた過程。
そしてドンキーコングも。
宮本さんの作ったゲームを遊ぶ人たち。クリエイターの姿は見えなくても、氏の作ったゲームに影響されていない人はいないだろうという普及っぷりです。
最後はエンターテインメント部門の審査委員会推薦作品、中前雄介/池村遥介/上野俊(Y's Interaction)による「映像投影型ボードゲーム妖威譚」
説明ムービーがYouTubeにあがっていてわかりやすい。コマを動かして遊ぶボードゲームなのですが、その特殊効果として映像投影を使っているというもの。
YouTube - 映像投影型ボードゲーム妖威譚(よういたん)
使用されるコマ。立体的です。
イベントが発生するとこのように特殊効果が発動。見ているだけでも飽きません。
今回は白い微粒子の吹雪の中にぽつんと座る状況を体験できる「Nemo Observatorium」のように自分で体験できる大型の展示もありましたが、代わりに静止画などがちょっと寂しくなっていた感じ。次回はいったいどんな芸術祭になるのでしょうか。
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