右ひざのキレが重要？女性を魅了するダンスの秘密が明らかに

踊りがうまくダンスフロアではいつも人気者の男性と、クラブなどへ行っても「僕は踊れないから……」と尻込みして「壁の花」となるしかない男性、その違いをノーザンブリア大学の心理学者たちが解明しました。

モーションキャプチャを用いさまざまな男性のダンスを顔のない3Dアバターに再現させ、外見の違いに影響されない状態で女性にダンスを評価してもらうという手法で、女性は男性の体のどこを見ていて、どんな動きを魅力的と感じるのかが明らかになっています。

詳細は以下から。Psychologists unlock the male dance moves that catch a woman’s eye - Northumbria University, Newcastle UK

BBC News - Good dancing may be sign of male health, scientists say

ノーザンブリア大学の進化心理学者Nick Neave博士らの研究では、「良いダンサー」と「駄目なダンサー」の生体力学的な違いを探るため、18～35歳の男性19人に単純なドラムのビートに合わせて踊ってもらい、その様子を12台の特殊なカメラで記録しました。

キャプチャ用のマーカーを取り付ける男性。

参加したのはプロのダンサーではない男性ばかりですが、「良いダンサー」と評価された男性と「駄目なダンサー」と評価された男性の踊りには明らかな差があったそうです。

記録されたダンスは顔が無く中性的な3Dアバターにより再現され、35名の異性愛者の女性がそれらのダンスを7段階で評価しました。

「腕と脚の動き、手のジェスチャーなどが重要だろうと我々は予想していましたが、結果は意外なものでした」と語るNeave博士。女性は男性の手足より、体の中央部に位置する胴体・首・頭の動きに注意をはらっていたそうです。

頭と首と胴体は「前後」「左右」「ツイスト（回転）」という3方向の動きをすることができます。これらの3方向の動きを組合せ、かつ「大きな動き」と「小さな動き」を織り交ぜ、「多様性」「柔軟性」「創造性」を見せる男性が「良いダンサー」と評価されました。逆に「駄目なダンサー」と評価されてしまった男性は、「体が硬く、型にはまった、単調な動き」を見せたそうです。単調で変化のないヘッドバンギングなどをするのも「駄目なダンサー」の典型、とNeave博士は語っています。

参加した19人の男性の中にたまたま魅力的なひざの動きを見せる「ダンスがうまい」男性がいたということなのかもしれませんが、体幹に加え、右ひざの動きの素早さも「良いダンサー」と「駄目なダンサー」を隔てる要素だったとのこと。

「駄目なダンサー」の例はこちらの動画（WMV形式）で見ることができます。なんとなく盆踊りのような感じですが、姿勢が悪く猫背で、単調な動きの繰り返しとなっています。

「良いダンサー」の例はこちら（WMV形式）。音楽がなく、顔のないアバターが踊っているのでこちらも笑える動きに見えるかもしれませんが、上の駄目な例と比べるときびきびとキレがある動きで姿勢もよく、さまざまな動きを組み合わせて踊りにバリエーションを持たせているようです。

今回の研究では、クラブで踊る男性が、動物に見られる求愛行動のような特定の動きをしているかどうか究明することも目的だったそうです。動物に見られる求愛のための儀式的行動は、その個体の年齢や健康状態、生殖能力やホルモン状態といった情報を異性に伝える手段となっています。「人々は自分の魅力を誇示して異性をひきつけるためにクラブへ行くわけですから、そこでこういった生物学的な情報を伝達しているというのは大いにあり得ることです。動物では、オスの求愛行動は、身体能力や健康であることを要求される行為となっています。人間でも同じことが行われていると我々は考えます。魅力的なダンスをできる男性は、若くて健康で体力があるはずです」とNeave博士は述べています。

ダンスを行った19人の男性は採血され、生化学的検査も行われているとのことで、「良いダンサー」は「駄目なダンサー」より健康であると示唆するような結果も出ているそうです。

Neave博士によると、体幹部の筋力を鍛えたり柔軟性を得るトレーニングをし、ダンスのレッスンを受け創造性のある動きを学べば、「駄目なダンサー」は簡単に「良いダンサー」になることができるそうなので、ダンスの苦手な男性もあきらめる必要はないようです。