全身に立派な入れ墨が入った赤ちゃん、その名も「drill baby」
入れ墨を体全体に彫られている、今にも動き出しそうな赤ちゃんの人形がアート作品として公開されています。
この本物そっくりな赤ちゃんはアーティスト・Jason Clay Lewis氏による「drill baby」というアート作品で、一見するとタダの入れ墨に見えますが、その柄や色合いには今年発生したメキシコ湾原油流出事故を思い起こさせる図柄が込められているようです。
詳細は以下から。Jason Clay Lewis
Drill Baby, A Narratively Tattooed Infant From Jason Clay Lewis. | Design & Architecture | Zmarter.com
これが「drill baby」。2010年に発表された作品です。作品名は2008年に行われたアメリカ大統領選でマケイン候補やペイリン候補が当時の演説中で「石油を掘って自給率を高め、ガソリンの値段を下げよう」とアピールした際に使った「Drill, baby, drill」というフレーズに由来しているようです。
肌の質感や赤みがとてもリアル。赤ちゃん=海、入れ墨=石油という対比によって、事故によって汚染された海の被害の大きさ、痛々しさを表現していると思われます。
メキシコ湾石油流出事故で油まみれになってしまったカモメなどの海鳥が描かれています。
右肩から二の腕にかけてはコイの絵があしらわれているので、この部分は特にタトゥーというよりは入れ墨と呼びたい和の雰囲気を放っています。
水を表している模様が黒で描かれているのは、やはりメキシコ湾石油流出事故で真っ黒に染まった海を表してのことなのでしょうか。
内ももには帆船が描かれていますが、これはこのアーティストが作品をまたいで繰り返し用いる「災厄」を示すシンボルだそうです。
内ももにはワシのような鳥がつめを立てた絵が。
聖母マリアもこのアーティストがたびたび用いるアイコンの1つなのですが、その手にはガソリンを注ぐノズルが握られていて、神聖なイメージとのミスマッチがとても印象的なものとなっています。
赤ちゃんの髪は金髪で、ほわほわとした産毛のような感じで生えています。
ビニール・ゴム、モヘア、油性塗料、石こう、アルミニウム電機子といった材料で作られているそうですが、とても作り物には見えないリアリティーがあります。しげしげ見ても、この赤ちゃんが作り物であるとはなかなか信じられません。
何も知らずにこれを見たら、赤ちゃんに入れ墨がほどこされたと思ってかなりゾッとしてしまいそう。
作品の過激さと裏腹に、この安らかな寝顔のように、海がまた穏やかに戻ることを願うばかりです。
・関連記事
全身にアフガニスタンで戦死した兵士223人の名前のタトゥーを入れた元軍人 - GIGAZINE
世界で最も多くのタトゥーを入れているギネス記録保持者となった女性 - GIGAZINE
有名人のサインを入れ墨にして体中に残している女性 - GIGAZINE
5年の間に入れ墨が増えて別人のような顔になった犯罪者 - GIGAZINE
・関連コンテンツ