取材

競走馬を調教している栗東トレーニングセンターで日本ダービー調教公開を見てきた


JRAが大レース前の調教公開と厩舎見学がセットになったツアーを実施しているのですが、このたび「日本ダービー調教公開&白井壽昭厩舎訪問ツアー」に知人が当選したので、ついていくことになりました。夏の北海道などであれば(事前に申し込みさえすれば)誰でも牧場見学ができたりしますが、現役競走馬の調教風景や厩舎をナマで見る機会はほとんどありません。競走馬のスピードを引き出しているトレーニングセンターとはどういう場所なのか、じっくりと見せてもらいました。

コレが当選はがき。今回の倍率は不明ですが、2010年3月に開催された「天皇賞(春)調教公開&松永幹夫厩舎訪問ツアー」のときは定員30名のところに400名以上の応募があったそうです。


栗東トレーニングセンターがあるのは滋賀県栗東市御園。


車で行くのが最も簡単ですが、今回は電車とバスを乗り継いでいくことになりました。最寄りの鉄道駅はJR琵琶湖線(東海道本線)の草津駅


草津駅からは帝産バス113系統「金勝公民館」行きに乗ります。行き先表示に「トレーニングセンター」と書かれているので間違うことはないはず。1時間に2本の間隔で運行されています。


バスに揺られること約30分。


歩道の脇に「この道路は日本中央競馬会栗東トレーニングセンターの協力を得て建設されたものです」という標識。それっぽくなってきました。


ここがトレーニングセンターへの入口。ここから一山が丸ごとトレーニングセンターなので、事務所まではさらに徒歩15分ぐらいの上りが続きます。


入口に立っているのはシンザンの像。


実物大らしいのですが、見上げているせいか実物よりも大きいのではないかという気がします。


ツアーの集合場所である事務所前。


事務所内にはシーザリオがアメリカンオークスを勝ったときの鞍が飾られていました。福永祐一騎手と角居勝彦調教師のサイン入り。


栗東トレセンの敷地は約150万平米(甲子園球場約115個分)という広さ。かつて競馬場で調教が行われていた時代には「東高西低」と言われて関西は劣勢でしたが、関東に先んじてトレーニングセンターを設けて本格的な調教施設を整備したことから状況が好転、1985年に坂路コースが設置され、1988年以降は関東を逆転して関西馬が年間勝利数で圧倒しています。


というわけで、その関西馬の強さを産みだしている施設をじっくりと見せてもらうことに。


スタンドからは調教コース全体が見渡せるようになっています。一番手前に見えている白い柵で囲われた場所は「調馬馬場」と「丸馬場」、調教前に馬のウォーミングアップを行うところ。その向こうにコースが内側から障害コース(A)、ダート(B)、ウッドチップ(CW)、芝(D)、ニューポリトラック(DP)、ダート(E)と馬場の種類別に並んでいます。


ここで、双眼鏡と調教ゼッケン一覧を貸してもらいました。


競馬中継を見たことがある人なら、ゼッケンには馬の名前が書いてあるので迷うことはないはずでは?と思うかも知れませんが、下の写真のようにトレセンでは番号ゼッケンをつけているため、このようなゼッケン一覧があるわけです。ゼッケンの色は2歳馬が緑地に白文字、3歳馬が黒字に白文字、4歳以上の古馬は白地に黒文字と分かれています。


その例に当てはまらない馬もいます。それは次にGIレースに出走予定の馬たち。丸馬場の中心にいるこの馬は東京優駿(日本ダービー)に出走するエイシンフラッシュ


ウォーミングアップを終えたエイシンフラッシュに騎手が乗りました。馬がゼッケンの色で分けられていたように、乗り手もヘルメットの色で見分けることが可能。青いヘルメットが騎手、黒いヘルメットは調教師か調教助手、そこにオレンジのラインが入っていると調教助手見習、というようになっています。


調教メニューは調教師によって異なっており、一頭で走らせることもあれば何頭かで競わせることもあり、軽く流すように走ることもあれば本番さながらに追い切ることもあります。


こちらは単走。


3頭追い。


はるか遠く、コースでいうと2コーナーのあたりにゲートなどがあり、その向こうの丘の上(写真左側)に白い建物がありますが、ここが坂路のスタンド。その建物の下に右側へずっと生垣が続いていますが、ここに坂路コースがあります。のちほどここへも行けるとのこと。


調教公開の司会役は元MBSアナウンサーの蜂谷薫さん。そして、今回はゲストとしてダービーで有力馬・ヴィクトワールピサに騎乗する岩田康誠騎手が来てくれました。


実は岩田騎手はこの調教公開ツアーの常連ゲストで、ほぼ毎回来てくれているそうです。この日はダービーに向けての合同記者会見があり、さらに埼玉へ移動して浦和競馬場でさきたま杯に騎乗する予定があるという非常に多忙なスケジュールだったのですが、その間をぬって来てくれたとのこと。


トークのあと、ツアーのプレゼント用にシャツにサインを入れている岩田騎手。さらに、希望者との写真撮影にも応じていました。


「ダービージョッキーは夢やから」と語ってくれました。ちなみに、この日のさきたま杯ではスマートファルコンに騎乗して見事1着に。


やがてコースに雨が降ってきて、坂路スタンドの建物上に赤ランプが点灯。これはコース整備(ハローがけ)をするときに点灯するものだそうです。


コレは岩田騎手が騎乗するヴィクトワールピサの追い切りの様子。向こう正面で2番手を走っているのがヴィクトワールピサで、JRA職員の人が双眼鏡でチェックして有力馬が姿を見せるたびに教えてくれたのでその姿を確認することができましたが、追い切りはだいたい1本しか行われず、しかも次々と馬がやってくるので、どの馬の調子がどれぐらいかというのを素人がパッと判断するのはかなり難しいです。

日本ダービー調教公開 ヴィクトワールピサ - YouTube


先ほど丸馬場にいたエイシンフラッシュ。

日本ダービー調教公開 エイシンフラッシュ - YouTube


京都新聞杯3着のレーヴドリアン。

日本ダービー調教公開 レーヴドリアン - YouTube


レーヴドリアンは1周目を軽く追い、2周目も追っていました。

日本ダービー調教公開 レーヴドリアン(2周目) - YouTube


こちらはゲシュタルト。

日本ダービー調教公開 ゲシュタルト - YouTube


ダービーの翌週、安田記念に出走するグロリアスノア。鞍上の小林慎一騎手はこの馬で根岸ステークスを制したのが初重賞制覇です。

日本ダービー調教公開 グロリアスノア(安田記念) - YouTube


調教スケジュールの間にコース整備中。


この次は、さきほど遙か向こうに見えていた坂路スタンドへ移動していきます。


・つづき
関西勢の強さの源、栗東トレーニングセンターの坂路コースを見学してきた


5/29 00:54 一部修正しました。

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in 取材,   生き物,   動画, Posted by logc_nt

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