「果汁0%のフルーツジュース」を人工甘味料や添加物をふんだんに使って作ってみた
私達の暮らしと切っても切り離せず、また議論されることも多い「食品添加物」。しかし単に「化学薬品だから」「人工だから」というイメージだけで議論されることも多く、実際に何をどのように食品に混ぜているのかということは、実はあまり知らないという人も多いのではないでしょうか
前代未聞のDIYワークショップ「空フェス」の会場ともなった千代田区のアートセンター「3331 Arts Chiyoda」で行われた体感型科学ワークショップ「エクストリーム・エクスペリメント」では、実際に食品添加物を使って料理を作ってみるという「サイエンス・キッチン」が行われました。ただの水がどこででも手に入る耳かき数杯の薬品でフルーツジュースそっくりのドリンクになるのは、驚きの一言です。
詳細は以下。
アートスペース「3331 Arts Chiyoda」。旧錬成中学校を改装したスペースで、錬成公園側が入り口となっています。
桜が満開。
前回訪れた時には工事中だったスペースが色々と完成しました。
ガラスにペイントされた「3331」のシンボル
入り口を入ってすぐのところにあった巨大な「正札」
エントランスホールも展示スペースとなっています。
中学校時代のものでしょうか。古いピアノが置かれていました。
そして着々と進められている設営。ここだけやたらサイバーな雰囲気を醸し出しています。
用意されていたのはホットプレートやプラスチックのコップ
炊飯器。場所が元学校ということもあって調理実習のようです。
メスに注射にピンセットなど怖そうな物が並んでいますが、これは調理キット。
そして謎の薬品類とペットボトル入りレモンティー。
会場の様子は、例によってニコニコ生放送でリアルタイム中継されていました。
人間が口にいれたものをの脳が「これはちゃんとした食べ物かな?」と判断しているポイントは大きくわけて「脂味」「甘み」「フレーバー」の3つ。つまりつまりこの3つさえなんとか整えてしまえば、口に入ったものを脳が勝手に「これは養分である」という風に勘違いしてしまうというわけ。
早速実験。この極々普通のレモンティーの味とフレーバーをいじってチェリーティーに変化させます。
まず酸味を変化させるために酒石酸を投入。
これくらいの量をざらざらっと入れます。そのまま口に入れても安全ですが、この小さな1粒で猛烈に酸っぱいので注意。
そして右側のチェリーフレーバーエッセンスで香りを変化させます。この時左側はマスカットフレーバー。これを使うと味は同じなのにまったく違ったもののように感じます。
ピペットで3~4滴ほど投入。
最後に赤色102号で赤く着色。
耳かき1杯ほど入れて、よく振ります。
真っ赤になりました。
飲んでみたところ、こんな簡単な操作なのにまさしくチェリー風味の紅茶味となっていまいました。もっと薬臭いものを想像していましたが意外です。工場でも同じ薬品で同じ工程で作られているのでしょうか。「清涼飲料の中身はとても安い」ということはよく知られていますが、このような作り方なら安くなるのもうなずけます。
ちなみに水でも同じことが可能。ごく普通のミネラルウォーターにガムシロップ、マスカットフレーバー、酒石酸を加えるだけで、紙パック入りのフルーツジュースの味になってしまいます。実際は酒石酸だけだと酸味が単調になってしまうので、クエン酸やリンゴ酸などもまぜて、酸味の強さや持続時間などを調整します。
ガムシロップの糖分に加えて人工甘味料を加えると甘みがゴージャスになり、生の果汁の感じに近づきます。ちなみにこれはサッカリン。回転寿司のガリによく用いられており、一粒で猛烈な甘さを感じます。
ワークショップでは、他にも色々な食品添加物の体験を行ないました。例えばこれは世界で一番苦い物質「安息香酸デナトニウム」の0.1%溶液。子どもが人形や積み木などを誤って飲み込んでしまわないようにするために塗布されます。実際に一滴指にとって舐めてみるとボディーブローをくらったかのように動けなくなるくらい苦いです。
添加物というともっと危険な物、扱いが面倒なものというイメージがあったのですが、その正体はこれらのようなごくありふれた薬品ばかりで正直なところ拍子抜けしました。ちなみにサッカリンに使用量制限がある以外は、どの薬品も劇物・毒物には指定されておらず、近所の薬局で買うことができるものばかりです。
無理矢理リキュール漬けを作る実験。爆弾か核物質のコンテナのような外観ですが、これは外壁厚さ数センチの圧力鍋。
ここにワインとガムシロップ、そしてぶどうを投入します。
がっちりとネジ止めした後火にかけ、容器内の圧力を上げていきます。普通の圧力鍋だと1.8気圧くらいになりますが、このように密閉すると4~5気圧ほどに。30気圧くらいまでは大丈夫だそうです。
圧力を上げることで、行き場を失ったワインやガムシロップが「ぶどうの中に逃げていく」という現象が起こり、中までワインが入ったぶどうのワイン漬けが完成しました。
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