スクールバスに無線LANアクセスポイントを設置して得られる効果
情報教育が日本でも盛んに行われるようになってきましたが、日本の学校では「コンピューター教室」で限られた時間だけPCに触れることとなるため、ネットと現実世界をシームレスに行き来するような「使いこなし」については教える方も学ぶほうもまだまだ手探りといった感じとなっています。
アメリカのある高校ではスクールバスに無線LANのアクセスポイントが導入され、生徒は家を出てから帰ってくるまで常にインターネットに接続できるようになったのですが、なかなか興味深い結果を得ることができたようです。現在の日本の情報教育の問題を解決するヒントとなるかもしれません。
詳細は以下。
Wi-Fi Turns Arizona Bus Ride Into a Rolling Study Hall - NYTimes.com
2005年、アリゾナ州・エンパイア高校では教科書の代わりにノートパソコンを全生徒に配布し、校内に100箇所以上の無線LANアクセスポイントを設置して接続環境を整えました。
しかし、毎日片道1時間以上かかるスクールバスの通学時間は当然接続することができず、その時間は無駄になっていました。アメリカでは一般的にひとつの校区が広大で、スクールバスを用いても通学に1時間以上かかることは珍しくありません。
ある時、地元当局の担当者が車で通勤中「誰か代わりに運転してくれたらその間ノートパソコンで仕事ができるのに」と考えたのをきっかけとして、スクールバスに無線LANルーターを導入したところ、生徒は学校の課題をやったりFacebookを更新したりと思い思いの作業を始め、騒がしかった車内がそれまでとは比べものにならないくらい静かになったとのこと。
実際のスクールバス。
黙々とキーボードをたたく生徒達。特に強制された訳でもないのに、学校の宿題を行う生徒が多くなったということです。
バスの中は案外静かで、考えるのに適した場所だと気付いた生徒もいるらしい。
中にはゲームをやっている生徒もいるようですが特に規制はしていないとのこと。有害情報に対するアクセスをどう規制するか、個人情報保護に対する意識をどう高めるかなど課題はたくさんありそうですが、こうした形で1日24時間、いつでも生徒が創造性を発揮できる環境を整えておくということが、将来大きな変化を生みそうな気がします。
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