猛スピードでどんな悪路も突破できるアメリカ陸軍の無人キャタピラ車両「RipSaw-MS1」
「疲れを知らない兵士」というのは軍隊に共通の夢のようで、これを実現するため薬物を投与して肉体を補強したり、機械式の強化外骨格を開発したりするなど、様々な方法が研究されてきました。
近年、米軍では無人兵器の開発が進み、この理想が違う形で実現しつつあるわけですが、この「RipSaw-MS1」もそのような兵器のうちの1つ。軽い車体に強力なエンジンとキャタピラを装備し猛スピードで悪路を突破できる性能を持っています。
詳細は以下。
Ripsaw MS1
Ripsaw MS1 UGV: Ultimate Armed/Weaponized Tracked Tactical Robot?
Howe&Howe社のRipSaw-MS1は、鋼管フレームのシャーシに650馬力のV8ディーゼルエンジンを搭載。4.5トンというこの種の車両としては比較的軽い車重とキャタピラによって、かなりの悪路でも走破することができます。
最高速度が時速約80kmとキャタピラ車両としてはかなり速いのも特徴の1つ。輸送トラックのコンボイに護衛として付き添い、攻撃を受けた場合は急速に道路脇に展開、味方の離脱を援護することが想定されています。
人間を乗せた車両では危険すぎるような場所でも無人車両は入っていくことができるため、前線での偵察や故障車両の牽引、どこから攻撃を受けるか分からない市街地での警備や暴動の鎮圧などの用途も考えられています。
草木に覆われ滑りやすい斜面を登るRipSaw-MS1。
また、各部がモジュール化されているため整備性も非常に高く、必要な場合は2台以上のRipSawから使えそうな部品をつなぎ合わせた「共食い整備」も容易に行えるとのこと。
RipSaw-MS1と遠隔操作ユニットを搭載したM113装甲車。
下側3つに前方の映像が、上側3つに側面・後方の映像が写ります。コントロールユニットの開発にあたっては、機銃の操作系統と混信し誤作動を起こさないよう注意が払われました。
こちらは有人型のRipSaw-MS2。
YouTube - Ripsaw MS1 new badass footage
高さ約1.5mまでの障害物なら余裕でクリア可能。
このような傾斜もまったく問題なし。
坂道で思いっきり加速するとジャンプできるくらいのパワーもあります。
牽引フックを他の車両に突き刺すオプション付き。車両に仕掛けられた爆弾に対しても、このような無人車両なら人的被害を気にすることなく接触し、安全な所まで引っ張っていくことができます。
泥や砂にスタックした車両でも難なく牽引することが可能。攻撃を受け動けなくなったトラックの牽引も想定されているそうです。
先日、米軍の無人攻撃機が地上に送信していた監視映像が敵対勢力に傍受されていたことが問題になりました。映画ではよく、敵の兵器をハックして乗っ取る……という手口が見られますが、そうしたケースが現実の戦場でも当たり前になる日はそう遠くないのかもしれません。
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