サイエンス

花の直径はわずか2mm、エクアドルで世界最小のランが発見される

photo by Lou Jost

透明な花弁のこのランはアメリカ人の植物学者Lou Jost博士によってエクアドルで発見された新種で、花の直径は最大で2.1mm、花弁の厚さは細胞1個分しかありません。

肉眼では花であることにすら気付かないかもしれませんが、拡大すると紛れもなくラン科の花の特徴を備えています。今日まで発見されていなかったこともうなずける小ささで、Jost博士は幸運な偶然によって見つけることができたそうです。


詳細は以下から。New Species of Orchid is World's Smallest : Living the Scientific Life (Scientist, Interrupted)

Ecominga Cerro Candelaria Reserve

これまで世界最小のランだと思われていたのは1912年に発見されたPlatystele jungermannioidesで、花の直径は2.5mm。メキシコ・コスタリカ・グアテマラ・パナマに分布します。同じく南米のエクアドルで今回発見された花も、Platystele jungermannioidesと同じラン科Platystele属の種。直径2.1mmということで、実に97年ぶりに「世界最小のラン」の発見となったわけです。

これまで世界最小のランと思われていたPlatystele jungermannioides

photo by Daniel Jimenez

世界最小のランはエクアドルのEcoMinga財団とイギリスのWorld Land Trustが共同で設立した自然保護区Cerro Candelaria Reserveで、ほかのランの根に紛れているところを偶然発見されました。

photo by Lou Jost

花弁は細胞1個分の厚みしかないため、向こう側が透けて見えます。

photo by Lou Jost

EcoMinga財団の共同設立者の1人であり、元物理学者で現在は環境保護研究員として活躍するアメリカ人植物学者Lou Jost博士は、この10年間で新種のランを60種、ほかの植物の新種を10種発見したラン研究の第一人者です。小さなランを採集して温室で育てていたところ、採集から数カ月後に根の中に紛れていたさらに小さなランに気付いたそうです。

「ランの種類を特定するには、花を観察するのが多くの場合最も良い方法です。花を見ればいままでに知られていない新種かどうかわかります」と語るJost博士。


Cerro Candelaria自然保護区はアンデス山脈のサンガイ国立公園とアマゾン川流域のLlanganates国立公園の間、標高により植生が推移する地帯に位置し、主に雲霧林Paramo(海抜3800~5000mの高山に見られる典型的な草原地帯)から成ります。絶滅危惧(きぐ)種のヤマバクや、メガネグマオセロットなどの動物の生息地でもあります。

森林から草原へと植生が変わる地帯。


広さ2600ヘクタール、標高1800~3800mのCerro Candelaria自然保護区。高地のランは毎夜氷点下になる気温に耐えます。


エクアドルのCerro Candelaria地方はラン科の希少植物の宝庫であり、いままでに6種しか存在しないと思われていたTeagueia属のランがこの地方で独自の進化をとげていたことが判明しています。わずか20km×20kmの狭い範囲でJost博士らにより28~30種のTeagueia属の新種が発見されたそうです。


Cerro Candelaria自然保護区ではこれまでに新種のカエル1種と樹木1種も発見されていて、それらはイギリスの植物学者・動物学者で自然番組の司会者としても知られるデイビッド・アッテンボロー卿にちなんで命名される予定とのことです。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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