サイエンス

無重力下でロウソクの炎はどうなる?


正確には微少重力状態でのロウソクの炎の様子が上記写真です。真ん中に見えるのが芯になっている部分で、その周囲の青いのが炎です。

この実験はNASAが行ったもので、上記写真もNASAによるものです。

一体どういう理屈でこんな状態になるのかという解説と、実際のムービーは以下の通り。
Candle Flames in Microgravity Home Page

なぜ周囲に青い炎が滞留するかという原理は以下のページに書かれています。

CFM introduction

通常は上昇気流が発生するので酸素は常にロウソクの炎の下部から提供され、燃え続けるわけですが、微少重力状態ではこの気流の流れが発生しません。なので、縦長のいつもよく見る炎ではなく、半球体状になります。こうなると周囲から酸素が提供される速度が著しく低下し、反応速度が低下します。結果的に炎の温度は低下し、青くなる、というわけ。

実際のムービーは以下。何がなんだかよくわかりませんが、青くなっていくことだけはわかります。

CFM on Mir (1996; 1:09)

実験は宇宙ステーションミール(今はもうない)にて1996年に行われたとのこと。実験中の宇宙飛行士がいろいろしゃべってる声も録音されているので妙な臨場感が味わえます。

なお、ロウソクの炎がなぜ輝くのか?どういう原理で燃えているのか?などについてはマイケル・ファラデーの「ロウソクの科学」を読むとよくわかります。以下のページでクリエイティブ・コモンズ・ライセンスによる全文日本語訳を読むことが可能。

ロウソクの科学
著者:マイケル・ファラデー (Michael Faraday)
翻訳: 山形浩生


これは70歳を迎えたファラデーが1861年のクリスマス休暇に、ロンドンの王立研究所で6回連続のクリスマス講義「The Chemical History of a Candle」を行った様子を記録したモノ。王侯貴族から一般市民の子どもまで聞きに来たらしい。

なお、ファラデーの名言でこんなのがあります。

Yahoo!知恵袋 - 「ファラデーがさる貴婦人に吐いた名言」についてご存...

ファラデーが一心不乱に電池をいじっていたときに、ある貴婦人が訊ねた。
「そんな役にもたたないつまらないことをして何になるんですか?」
ファラデーはこう答えたという。
「生まれたばかりの赤ん坊が何の役にたつというのですか?」


勉強は役に立たないと言う昨今の学生にぴったりの言葉です。

2006/10/12 21:47追記
メールで多数のツッコミとして届いているもので「温度が低いから青い炎というのはおかしいのではないか、青い炎は高温なはずだ」というのがありました。なので、もうちょっと詳しく以下のページで解説されています。

宇宙の不思議 うそ、ほんと -宇宙でくらす/つくる (3)-

物質の濃度が場所によって異なるとき、時間とともに物質の濃度は一様になっていく。この現象を「拡散」という。この「拡散」によって、じわりじわりと酸素が供給されていくため、ろうそくは燃え続けるのだ。ただし、地上で重力がある場合の対流による供給速度に比べれば、無重力での拡散による酸素の供給速度は小さいため、地上に比べて炎の温度は低くなり、また火炎の色も薄暗い青色になる。


つまり、地球上での常識が通じない、ということです。というのも、上記ページにも詳しく書かれていますが、当初は対流が起きないのでロウソクの炎は燃え続けないと予想されていたのですが、実際には拡散現象で燃え続ける場合があったりしたため。炎の色についても青色だが地上に比べると低温になっている、ということのようです。

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in サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log

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