全番組完全無料のパソコンで見るテレビ「GyaO」に行ってきました
現在、毎週水曜日の夜に放送されているNEWS GyaOにて、GIGAZINEの週間アクセスランキングが発表されているわけです。
そんなわけなので、現在勢いに乗っているUSENが運営する、全番組が完全無料のパソコンで見るテレビ「GyaO」の編成局に行って、GyaO編成局長に直接インタビューする機会を得ました。
最も現場に近いインタビューということで、なかなか貴重なのではないかと。
◆ユーザー登録は昔から存在する
GIGAZINE編集部(以下、GIGAZINE):
前回、GIGAZINEがNEWS GyaOにインタビューされたわけですけど、そのときは動画系のニュースが取材に来るとは想定していませんでしたね。GyaOみたいなところが取材に来るとしても、もっともっと後の方の来年くらいだろうと思っていたので、こんなにすぐ来るとは…。ちょうどリフォームした途端に来たので、ちょうどいいナイスタイミングでしたね。もうちょっと早かったらとんでもない、みんなの想像を絶するような職場を晒すところでした(苦笑)
それでですね、GyaOが取材に来るというのでGyaOのサイトからどんな番組があるのか見ようとしたら、視聴登録が必要と出てきたわけです。昔からGyaOを見てるうちの編集部員の1人は「え、いつの間にそんなのできたんですか?」と言ってましたが、昔々はなかったのでしょうかね。
GyaO編成局長(以下、GyaO):
昔からありましたよ。
GIGAZINE:
登録項目は多くなってます?
GyaO:
当初は何項目だったらユーザーに負担ではないのかを検証していたこともあり、日々変更していましたが、現在は「生年月」「性別」「郵便番号」「職業」を登録いただいています。
GIGAZINE:
今までGyaOのそれぞれのコンテンツを見たことがあっても、トップから入ったことがなかったのでユーザー登録があって驚きました。「こういう登録必要だったんだ」と。
GyaO:
登録してしばらく経ってしまうと、忘れちゃってる方もいらっしゃるんでしょうね。
◆トップページの番組表みたいなデザインについて
GIGAZINE:
トップページは最初からああいう風に番組表みたいな形になっていたのでしょうか?
GyaO:
サービススタート当初からオススメコンテンツみたいな形でやっていました。
GIGAZINE:
今回GIGAZINEが取材されたのは夜にやっていた「NEWS GyaO」なのですが、「この時間帯にこの番組」といったいわゆる時間枠の編成みたいなものは、どういう風に決められているのですか?
GyaO:
基本的にはオンデマンドなので時間枠という概念はありません。「NEWS GyaO」も、生放送後にアーカイブしているため、夜のニュースを見られない人に、1日のまとめニュースとして、時間を問わずに見ていただけます。
GIGAZINE:
あれは試行錯誤した結果ですか?それともずっと最初からこういう風にやろうと?
GyaO:
アクセス数の動向を見ながら試行錯誤して決めてます。時系列順で同時接続数を見て確認しているわけです。
GIGAZINE:
アクセスログ解析みたいにやってるってことですね。
GyaO:
そうですね。だから、そういう意味ではテレビと比べるとより詳細なログが取れます。テレビと違って、見るのにパソコンを立ち上げないといけないですけどね、見てる人は。
GIGAZINE:
私はもう24時間、このPCも家のPCも全部付けっぱなしなので、だからGyaOさんみたいに普通にフルスクリーンで見られるのであれば、これは普通の人に受けるんだろうな~と思いましたね。
◆あんまり怒鳴ったり大騒ぎして番組を作っているわけではない
GIGAZINE:
テレビ業界だと、オンエア時間に間に合わせるために一生懸命怒鳴ったりする人が多いと聞きますが、ここはどうなのでしょう?
GyaO:
ニュースのオンエアの時はバタバタしていますけども、怒鳴り声が交錯する感じじゃないです。「オンエア5分前です~」、とかは聞こえますけど。
GIGAZINE:
落ち着いて、ちゃんと淡々としている感じでしょうか?
GyaO:
落ち着いているかどうかは分からないけど、スタッフには錯乱した感じの人はいないですね(苦笑)
GIGAZINE:
以前聞いたことのある編成局だと、編成局長が走り回っている状態になっちゃって、大騒ぎしているそうですが、そういう感じではないのですね。
GyaO:
それはないですね、割と落ち着いていると思います。
GIGAZINE:
某サイトののニュース動画担当の方は割と叫んだり怒鳴ったりしていて、「いや、きっとGyaOさんも叫んでますよ」って言ってたんですけど、本当にさっきから見ていると叫んでませんね(苦笑)
GyaO:
そんな雰囲気は見られないですね~。
GIGAZINE:
割と落ち着いた環境なんですかね?
GyaO:
慌ただしくはやっていますけど、そんな怒鳴る必要も…怒鳴ると時間かかりますし…。
GIGAZINE:
そこらへんは仕事のスタイルの差なのかも?
GyaO:
きっと温厚な人が多いんですよ
◆編成部の様子
これがGyaOの編成部の様子。割とどこにでもあるようなITっぽいオフィス環境。奥に行けば行くほどシステム関連担当の人になっているという並びだそうだ。
収録スタジオはこんな感じ
非常にコンパクトな作りになっている
なお、編成局スタッフの数は社員とか制作陣全部含めて150から160人ほど。
◆一日の大まかなスケジュールは?
GyaO:
編成局はWEB制作部、第一・第二編成部、企画制作部、業務推進部があって、それぞれ違う仕事をしています。私は朝9:30前に出社。
ニュースチームは……午前中の然るべき時間に出社してます(笑)。
総合ニュースと特集と、それからGIGAZINEさんを取材させていただいたネットニュース、スポーツのチームにわかれていますね。。
それぞれの担当で大体もうその午前中に取材に行っちゃってる人とか、多分取材予定なんかが決まってる人とかはカメラさんと一緒に取材に行ってます。
なので、通常は13時に打ち合わせをするんですよね。夜に向かってこれを取材しようとか、だいたい今日のニュースはこれを目玉にしようね、とかそういうのを決めて会議をやって、それからカメラと一緒に出て行く人もいる感じです。一方、特集なんかはずっと編集をしているので、編集室にこもって作業をしてます。
夕方の18時くらいまでに出演者のスタジオ入りをします。それで、19時から最終の全体会議を行い、今日のニュースの決定した内容を共有するための打ち合わせを行います。
19時30分くらいから「モバイルGyaO」(携帯向けサイト)にアナウンサーによる30秒のニュースラインナップを撮り始めて、20時にアップ。それと同時にナレーションなどの事前に収録しておかないといけないものを収録します。
そして20時30分にリハーサル開始、21時30分に放送開始という流れですね。
GIGAZINE:
出勤の体制はどうなっているのでしょうか。就業規則的にはフレックスタイム制ですか?
GyaO:
一応会社の体制としては9:30~18:30という一般的な定時があります。
ニュースに関してはテレビ局と同じでほとんど裁量労働制。ニュースの放送が夜遅くなので、朝の出社はそれに応じてということになります。
また、毎日、21:30~22:15にオンエアが終わってから、20分くらいの反省会があります。スタッフ全員でここマズかったねとか、ここ良かったねとかを話し合うわけです。それから解散。
GIGAZINE:
反省会は毎日オンエア後に?
GyaO:
そうです、忘れないうちに反省した方がいいんで
◆食事について
GIGAZINE:
昼食や夕食はどうしているのでしょう?
GyaO:
昼食は各自時間をみて。食べられるときに食べて、という感じですね。
GIGAZINE:
外食やコンビニですか?
GyaO:
外食やコンビニが中心ですね。その日の忙しさの濃度によります。よく反省会が終わった後に呑みに行こうかっていうことになったりもしますよ。結構そういう感じで出演者も含めてみんなで呑みに行ったり。あと、ネットニュース班は朝4時まで呑みに行ってたりします(笑)
GIGAZINE:
次の日も仕事あるじゃないですか(笑)
GyaO:
ありますあります(苦笑)。それとネットニュース班で言うと、月~金しかオンエアはないんですけど、土曜日の午後14時とか13時半とかに集まって、3時間ほど翌週の打ち合わせをしてますね。
GIGAZINE:
編集局長のお食事は?
GyaO:
コンビニが多いですね。ビルの地下2Fにあります。食事もコンビニ。銀行のお金を下ろすのもコンビニ。コンビニ万歳ですね、本当に(苦笑)
◆編成局の自慢やアピールポイントその1:オフィスグリコ
GIGAZINE:
編成部の自慢というのはあるでしょうか?他の類似サイトに負けないアピールポイントとか。
USEN広報担当(以下、USEN):
Googleみたいな食べ放題飲み放題といった施設はないですね。あ、でもコーヒーメーカーは置いてありますね。
GyaO:
あれ、飲んだことないんだけど(苦笑)。一体、何年煮詰めてるんだろうっって気がして…。
USEN:
あと、お菓子のボックスがありますね。100円払って好きなのを持っていくグリコのものです。USEN本社のフロアにはないですね。
GyaO:
あれいいよね、本当に時間が無くなって腹減ると「もうこれでいいや」って。
GIGAZINE:
オフィスグリコというやつですね。
GIGAZINEでも一回取り上げたことがあります。存在自体を知らない人が多くて、ものすごい反響がありましたね、あれは。
GyaO:
夕方遅くなって、腹が減って開けると空だったりするんです。
GIGAZINE:
それだったら大人気ですね。サイズは大きいものとか小さいものとか色々あるのですが、どれくらいのサイズのものですか?
GyaO:
大きいのかな?上の段にアイスが入ってて、下の段にジュースが入ってます。
GIGAZINE:
たぶん、一番大きい会社用のやつですね。最上位版だったはずですよ、それ。社員が50人以上で回転の早いところだったら持ってきてくれるらしいんですよ。よっぽど回転が早いんですね。
GyaO:
ええ、みんなバクバク食べてます。
USEN:
回転早いんですか。
GyaO:
みんな外出るのめんどくさいんじゃないかな?
GIGAZINE:
なるほど(笑)面白いですね。
GyaO:
指名というか、この商品が欲しいと言うと入れていってくれるのも便利。
USEN:
そうなんですか?
GyaO:
「おしゃぶりこんぶ」が欲しいって頼んだらいっぱい入ってたのはうれしかったな~。
GIGAZINE:
おお、かなり有効活用してるんですね。
◆編成局の自慢やアピールポイントその2:社員の定着率が高い
GIGAZINE:
あと何かアピールできる点はありますかね?
GyaO:
うちは福利厚生についてはこれといって特別なものがないのですが、バースデー休暇やリフレッシュ休暇など、有給休暇を取得しやすくするプログラムがありますね。あと、女性社員がすごいキレイです(笑)。
GIGAZINE:
全体的にどれぐらい若いのでしょうか?
USEN:
平均34歳くらいですね。
GIGAZINE:
それだけの年代が多いとなると離職率が気になりますが、どういう感じでしょうか?
USEN:
平均勤続年数は9.5年くらいなんですよ。大阪に本社があった時代からずっと働いてる方もいらっしゃいますし。
GyaO:
編成局は始まって一年半で130人くらい正社員がいて、その間に辞めたのは数える程だと思います。
GIGAZINE:
うらやましい定着率ですね。
GyaO:
よくもわるくも普通の会社ですね。いわゆるITベンチャーみたいな、そんな感じじゃない。
GIGAZINE:
だいたいITのメディア系はみんな1年以内に1割から3割消えちゃいますけど、GyaOは低いですね。
GyaO:
全然低いですよ。
GIGAZINE:
メディアの特性なのか、会社の特性なのか、どうでしょう?
GyaO:
会社全体の雰囲気だったり、一緒に働く仲間意識みたいなものが強いのかもしれませんね。
GIGAZINE:
今まで動画系って言うのは取材しに行ったことがないのでよくわからないのですが、もしかしたら動画メディア系はITの中でもかなり特殊なのかも知れないですね。IT系全体で言ったら物凄く離職率というのは高いはずなので。
GyaO:
だってテレビ局だったら絶対やめないですよ。寿退社か定年退社くらいしかないと。
GIGAZINE:
ということは、GyaOはテレビ業界に近いんですかね?
GyaO:
業界出身者もいるので、近いと言えば近いのかもしれませんが。大変だけど環境はいいですよ。
USEN:
社内の人間関係とか環境とかは確かにいいですね。
GyaO:
もしかしたら、みんなここに来る前のテレビとかの労働環境が劣悪だったから「テレビよりは楽だよね?」っていう感じでやめずにいるのかもしれない(笑)
GIGAZINE:
ということは、社員の方々はほとんど中途採用なのでしょうか?
GyaO:
企画制作部っていうNEWS GyaOをやってるところなんかは中途採用が多いですね。編成とかは普通の新卒を採ってます。もしくは社内の人事異動で編成局へ、とかが多いですよ。
GIGAZINE:
本当に普通の会社に近いですね。
GyaO:
ええ、普通の会社です。
GIGAZINE:
逆に言うと普通の会社っていうのがびっくりですね…。今まで前職含め、メディア系、特にネットニュース系ばかりに行ってるんで、こういうある種真っ当で普通な会社はお目にかかれないんで。他の所はみんなものすごくきっちりしてるか、いい加減ですごくめちゃくちゃかの両極ですね。こういうちょうど中間の雰囲気の会社はなかったですね。
USEN:
やってることはベンチャーに近いけれど、会社としての年齢は40年以上あるからかもしれません。
GIGAZINE:
そのあたりはきっちりしているのかもしれないですね。
GyaO:
良い意味でも悪い意味でも「会社」なんですよ。
◆苦労したエピソード、ニュースGyaO立ち上げのきっかけ
GIGAZINE:
番組作成とか取材とか編成とかで苦労したエピソードとかはこの一年くらいでありますかね?とんでもないこととか、これはすげぇとか。
GyaO:
苦労しすぎてどれが苦労なのか、もうわからないんだけど…(苦笑)
GIGAZINE:
毎日もう波瀾万丈すぎてわからないですか。
USEN:
それで行くと、「NEWS GyaO」が立ち上がったのは大きな転機じゃないですか?
GyaO:
「NEWS GyaO」が立ち上がったっていうか、最初に「そういうのがないとメディアって言うよりはレンタルビデオ屋さんみたいなカンジになっちゃうんじゃないかな」って気持ちがあって、世の中と繋がってる情報みたいなものを出していかないといけないよねって。
GIGAZINE:
その話が出たのはいつ頃からですかね?
GyaO:
始めた当初からですが、やっぱり報道ってすごく大変なんですよ。人がいっぱい必要じゃないですか。地上波だったら何百人体制ですよね、報道局だけで。でもやらない手はないという話になって。ちょうどそんな話が始まったのが去年の九月だったと思うのですが、総裁選じゃなくて解散総選挙のときです。よく、開票速報ってやっているじゃないですか。あれやってみようという話になって、それから、かなり焦り狂ったかな…。本当に投票日の前一ヶ月もなかったですね……。
普通だとああいうのはテレビの政治部とか、そもそも選挙特番用の人員がいるんですよ。もう普通のテレビ局だとそういう専門の人たちが次の選挙に向けてずーっと前から準備してるんです。でもまぁ「GyaOでもできるんじゃないか?」って話になって、外でスタジオ借りて生でやって「なんだできたじゃん」ってなったわけです。これだったら同じ感じでニュースも出来るかもしれないって話になったという次第です。
今は「NEWS GyaO」に関わっているのが40人くらいかな、外部の方も入れて。だからなんとかできるよな、という判断をしたわけです。
GIGAZINE:
それ以前に「開票速報やったからできるにちがいない」ってのがすごいですね。
GyaO:
まぁ、単純なんで(笑)
GIGAZINE:
それで実際に取りかかり始めてどれぐらいでスタートにこぎ着けたわけですか?
GyaO:
「NEWS GyaO」が今年の二月にスタートして、やっと半年くらい経ちました。
GIGAZINE:
それ自体がもう一個のエピソードですよね。
◆ヘリコプターが欲しい!
GyaO:
あと、ニュースって気合いが必要ですよね。
GIGAZINE:
必要ですよね。
GyaO:
本気でやるなら気合いは必須なので、ヘリコプターが欲しいんですよ。東京へリポートと芝浦に一機ずつ置いて。
USEN:
ちょ、ちょっと待ってください、二機欲しいんですか?!
GyaO:
いや~、常駐性がないとね~。
GIGAZINE:
一機飛ばなかった場合とかのバックアップとして必要ですよね。
USEN:
でも稟議通らないですね、きっと。
GyaO:
いくらなんでも通りませんよ~。稟議書に「ヘリ」って書いて、物凄い普通な感じで見積もりだしてみたら通ったりするかもしれないですけど…。
GIGAZINE:
直感的に「NEWS GyaO」でヘリ飛ばすようになったら多分みんなGyaOのヘリからの生中継とか見るでしょうね(笑)
◆GyaOの一日のアクセスやトラフィックの傾向
GyaO:
一日のトラフィックのグラフを見るじゃないですか。やっぱり12時からピコーン!ってこう上がるわけです。だいたい昼飯時に会社で見てますよね、みんな。
GIGAZINE:
GIGAZINEもそうですね。12時になった途端に突然負荷が上がって。よく考えたら朝来る時間はバラバラで夜帰る時間はバラバラでも、お昼ご飯を食べる時間は日本の会社はみんな一緒なので。それでみんな12時になった途端に
「仕事やめてどっか見るか」
って色々なサイトに分散しているらしくて。取材で行く先々でみんな同じ事言ってますね。12時台で一回ピークが来て、夕方にちっちゃいピークが来て、一般の人が見ている夜の時間帯にまた来る、と。この三本が崩れたことってないんじゃないの?と言っている人もいました。大体ニュース系はみんなそうですね。
Gyaoさんは一日全体で見たピークは何時台なんでしょうか?
GyaO:
それはやっぱり夜の22時くらい。通常のインターネットのトラフィックのピークよりも一時間くらい前倒し。22時とか23時とか。土日はフタコブラクダ。朝9時くらいから上がり始めて、12時か13時にコブが出来て、夕方に向かって少し上がってきて、19時くらいにガクンって落ちて、20時から上がり始めて22時か23時くらいにピークを迎えるって感じですね。
◆想定している視聴者層
GIGAZINE:
「NEWS GyaO」に限って言うと、どういう感じの人を想定しているのでしょう?
GyaO:
今は体制的にも朝から晩までニュースができないので、夜のニュースとしてやっているわけですが、一つは「一日のまとめのニュースを求めている人」向けに、もう一つは「既存のニュース番組に飽きた人」向けにやってますね。
地上波のニュースというのはきちんとした、政治部とか経済部とか社会部とかがあって、一般視聴者の興味の有無に関わらず、伝えないといけないものがあるじゃないですか。
で、我々はそのドグマに入る必要はないし、やっぱりネットでやっているんでネット由来なニュースってありますよね。ネットニュースもそうですし。そういうことをやっていって独自色を出していきたいわけです。変な言い方をすると「GIGAZINEさんを見て面白いと思う人」に見て欲しいですね。
GIGAZINE:
なるほど。
GyaO:
テクノラティの口コミを見ると、ランキングが並んでるじゃないですか。そういうのを見た方が、ニュースを見るよりも「世の中で何が話題になっているかが分かる」のが面白いと思う、そういう人に見てもらいたいです。もう一つの「既存のニュース番組がつまんない」と思っている人、それじゃ「足りない」と思っている人にも見て欲しいです。村上ファンドの記者会見の時に、記者会見を全編流したんですよ、GyaOは。あれ、ものすごくたくさん見られたんですね。やっぱりテレビや新聞って紙面や時間の関係で、全部見られないじゃないですか。例えば「インサイダー取引認める」とか。そこだけチョキチョキって切るじゃないですか。だけど結局記者会見を全部見ると多分印象が全然違うものっていっぱいあると思うんです。だから地上波のニュースで見たもので興味があったらGyaOに来て、全編見てみようっていうような人を捕まえたい。
GIGAZINE:
地上波のダイジェスト版に飽きて、フルバージョンが見たい、足りないって思った人が見るって感じですね。
GyaO:
この前もライブドアさんの株主総会延々と全編やりましたね。
GIGAZINE:
ネットでやってるからって強みですね、確かにそれは。地上波ではできないですね、全編流すなんてのは…。
GyaO:
そんなにはないと思うけれど、全編見たい記者会見はあると思うんですよ、やっぱり。
GIGAZINE:
さっき言った例は全編見たい気がしますね、確かに。
GyaO:
そういう「もっと見たい」っていう人に向けてのサービスというのは念頭に置いてます。
GIGAZINE:
さっき言ったような「既存のニュース番組では足りない」って人ですね。なるほどなるほど。
◆GyaO閲覧のコツみたいなもの
GIGAZINE:
サイト閲覧のコツってことで、注目して欲しいというか「こういう風な見方をして欲しい」というのはありますかね?
USEN:
GyaOのトップ画面上に表示されている「おすすめ番組」などはユーザーの登録内容に合わせて変えてます。女性、男性別とか。
GIGAZINE:
変わってるんですか、あれ?
GyaO:
トップページ変わってるんですよ。たとえば男性何十歳代って入力すると、男性の画面・女性の画面が出てきて、ボタンを押せば切り替えられたりするんです。ランキングは物凄い細かく「男性何十歳代」とかで変わります。それからトップページに「おすすめ番組」っていくつか並んでるじゃないですか。それを押すとそれぞれの、ドラマだったらドラマのカテゴリのトップに飛ぶんですけど、自分が押したものが動的にそのカテゴリの一番上に来るようになってるんですよ。
GIGAZINE:
あれは全ページで動的になっているんですか。
GyaO:
普通ペタで作ってアンカー打っちゃうじゃないですか。そうすると下の方なら下に行っちゃうじゃないですか。
そうするとうちとしてはカテゴリトップの動画を見せられないし、バナーが上に上がっちゃうんで。
GIGAZINE:
言われるまであまりにも当たり前に普通に出てくるもんだから「こういうような構図」だと思っていたのですが、ユーザーごとに変えていたんですね。
GyaO:
どうしようもないけど一生懸命な工夫はいっぱいやってますよね。
GIGAZINE:
要するに、GyaOさんのページは動的に変化するように工夫してるってことですかね?
GyaO:
静的なページってほとんど無いはずです。
GIGAZINE:
負荷とかすごいんじゃないんですか?
GyaO:
そうですね。例えば「MyGyaO」という付加サービスがあって、使っていただくとわかるんですけど、HDDレコーダーみたいな感じなんです。すべてのタイムコードを覚えているわけです。ある特定のユーザーが見たところを頭から何分何十何秒まで見たっていうのを記録して、こちらのデータベースで抱えてるので、ユーザーは自分用にカスタマイズできるようになっているんです。
GIGAZINE:
テレビとは雲泥の差ですね。
GyaO:
だから二日後くらいに、また時間があるときに続きを見ようって人のためにそういう機能があるわけです。
GIGAZINE:
HDDレコーダーのネット版みたいなカンジですね。
GyaO:
そういう使い勝手をしたらみんな少しは喜んでくれるかなと。
GIGAZINE:
あまり使い方にそういうのは書いてなかった気がするのですが…。
GyaO:
そうそう、だからオンデマンドっていいけど、これから仕事終わって家に帰って映画三時間とか二時間とか非常にきついなって。
だから分けて鑑賞できたらいいな~、ということで付けた機能です。HDDレコーダーやDVDみたいにできたらいいじゃないですか。
GIGAZINE:
なるほど、面白いですね、GyaOでも実はそういうHDDレコーダーっぽいことができるってのは。
GyaO:
記事の中で是非とも触れておいてください(笑)
GIGAZINE:
本当に何か、HDDレコーダーの延長線上みたいなものがブラウザから出来るってカンジになってるんですね。
GyaO:
サーバークライアントモデルのレコーダーってカンジですね。
GIGAZINE:
ですね。よく考えたらメチャクチャ最先端突っ走ってますね。
GyaO:
データベースがどんどん蓄積されますね。
GIGAZINE:
逆に突っ走りすぎてこっちが全然気付きませんでしたね。その辺りもうちょっとアピールした方が面白いのかもしれませんね。今聞いたらめちゃくちゃ面白いですし。
GyaO:
でもやっぱりみんな取り上げるときにコンテンツの中身とか、赤字とか黒字化とか数字の話ばっかりになっちゃうんですよね。
GIGAZINE:
見る側からしたら「続きから見る」とかそういう機能の方の存在は大事ですね。
GyaO:
それこそ本当にどこかで「GyaOの見方」を特集してもらいたいですね。
あと、GyaOはインターネットAQUOSとかで見た方がやっぱりすごく綺麗に見えるんですよね。やっぱりテレビの解像度で見た方が、PCよりも解像度少ないんで。インターネットAQUOSだと完全にSDのテレビってカンジですね。
GIGAZINE:
なるほど。
GyaO:
GyaOじゃなくてもいいけど、動画をインターネットで上手くみる方法みたいな特集をして欲しいなって最近は思いますね。
◆GyaOの巨大システムについて
GIGAZINE:
あと次に聞くのはこんなシステムで運営しているというものなのですが、今聞いていると物凄い大規模システムなんですかね、これは…。いや、誰が聞いても大規模だってのは分かるんですけれども。
GyaO:
大規模ですね~。
GIGAZINE:
どれくらい大規模なんですかね。
GyaO:
どれくらいってどういう説明をしたらいいのかよくわからないんですが、想像以上にユーザーが来たのでそれに対応するためにがんばったってのはありますね。
GIGAZINE:
一番最初のGyaOの放送は4月からでしたっけ?
USEN:
昨年の4月6日が試験放送開始日ですね。その日の12時を予定していたのが若干遅れ、13時になりました。本放送は4月25日からスタートしました。
GyaO:
それで14時か15時には登録ユーザー数が1万人超えてたんですよ。
GIGAZINE:
えっ、そんなに。
USEN:
最初に映画のネット試写募集や人気韓国ドラマなどを放送したため、想像以上にアクセスが集中しました。
GyaO:
それであっという間に人が増えてきて、これはちょっと大変だってなって。
GIGAZINE:
想像を超えるくらい一気に来たって事ですよね?
GyaO:
そうですね。なんだよおい、オレらの予想は正しいじゃん!って。凄い増えちゃったなって。
GIGAZINE:
勢い的には衰えることなく?
USEN:
さすがにちょっと鈍化しています。1千万件過ぎてからは。
GIGAZINE:
ということは、1千万過ぎるまでは鈍化しなかったんですか。
USEN:
結構ちゃんとしたペースで伸びてました。一ヶ月で100万人ずつ、昨年7月からずっと伸びてきて。
GIGAZINE:
凄いですね本当に、想像を絶しますねその伸び率は。それで今まであまりサーバが落ちずにいるというのはすごいですね。
GyaO:
そうですね。
GIGAZINE:
さっき言っていた「データベースが大きくなってる」というのは、そんなに巨大化してしまっているんですかね。
GyaO:
巨大化してしまっているというか、項目を物凄く増やしているということです。「MyGyaO」のように、ユーザーごとに「~さんが何十分何十秒のところでこの映画止めてます」みたいなデータがあるわけです。
GIGAZINE:
そういう情報が積もり積もって物凄い膨大になっているわけですね。それだったら。
GyaO:
ですね。一応サーバ自体はキレイに作ってあって、かなり増強もしてあるので特に問題はでていません。やっぱり使う人にとっても広告主に取っても多機能な広告モデルが作れるのはテレビと違うところなので、やっぱりそこは突き詰めていかなければいけないと思うんですよ。
◆GyaOの今後の予定や方針
GIGAZINE:
じゃあ今後の方針ということで「こんなカンジを今後は予定しています」というのはどういう風になっているのでしょうか。GyaO全体としてか、あるいは「NEWS GyaO」的に。
GyaO:
「NEWS GyaO」自体はさっき本当にお話ししたとおりで、ネットでやるニュースだからっていう方にだんだんウェイトを置いていくというか。
GIGAZINE:
「あの辺りの時間帯の地上波では足りない人」みたいなので言っていましたけど、明らかにあの辺りのニュースとは差別化していくというのは今後の方針で確定なんでしょうかね。
GyaO:
もう確定です、確定。
GIGAZINE:
もっと差別化を明確にしていくというカンジですか。
GyaO:
していくカンジです。だから別に報道ステーションになるつもりも、ニュース23になる気も全然無いんで。
GIGAZINE:
ああいうのとは全く違う路線で、独立した一個のものとして成り立つために進んでいくという?
GyaO:
そうですね。
GIGAZINE:
進む方向性としては、以前はGIGAZINEに取材に来ましたけど、こういうネット関係の取材なんかも増やしていくんですかね。
GyaO:
増やしていきます。増やしていきますし、GIGAZINEさんを見たりとか、色んなサイトを見れば分かることをいろいろまとめて、「今日のネットで起きたトピックスをさらっと見たいんだったら「NEWS GyaO」で分かるよ」となれれば幸せ。
GIGAZINE:
そういうようなニュース番組ないですからね。ニュース番組はネットのことを飛ばしますからね。
GyaO:
ニュースはネットの方が面白いんだよねー(笑)
GIGAZINE:
個人的には今まで一番衝撃的だったのが、3年か4年前だったか、ネットに繋いだだけで感染するウィルスが出てきたじゃないですか。そこら中の企業が麻痺してえらいことになっちゃって。なのにその日そのニュースをやったのは地上波ではNHKニュース7だけだったりしたんですよね。だからあの時に他の地上波のニュースは一体何をやっているのかって。こんなもの誰が見ても大ニュースじゃないのかと思ったんですが、ネットだからスルーしてたんですよね、当時は。
GyaO:
ですよね、だからそう考えると「ネット上でのGyaOでございます。ネットでのニュースをお見せします」とやりたいわけです。でもそれはどういうテレビ番組でも同じで、例えばテレビ東京さんのWBSがあって、ニュースステーションがあって、ニュース23があって、NHKのニュースがあった中で、彼らなりの特色の出し方というのをしていると思うんですね、一応。WBSならビジネスニュースとして確立しているわけじゃないですか。そういうことと同じことだと思うんですね、「NEWS GyaO」の立場も。
GIGAZINE:
ネットニュースとして、動画のネットニュースとして確立していくと。
GyaO:
そうですね。相変わらずヘリコプターは欲しいですけどね(笑)。大きなニュースがでたら撮りたいじゃないですか(笑)
GIGAZINE:
もしGyaoにヘリコプターが本当に二機来たとして、その時は何しますかね。
GyaO:
そりゃ事件とか事故とかバンバン撮りに行きますよ。
GIGAZINE:
極端な話、関東大震災が起きてもGyaOは落ちないということなんですかね?関東大震災で東京が壊滅しちゃっても。
GyaO:
いやぁ、いくらなんでも壊滅しちゃったらダメですよ。壊滅したら見る人がいない(笑)
GIGAZINE:
関東大震災が起きたらいくらなんでも終わりってことですかね?
GyaO:
というかサーバとかシステムがどうっていうよりも、ファイバー網が切れてしまえば終わりですよね。
GIGAZINE:
なるほど。それでもなお放送できるんだったら面白いですね。民放がやらないことも全部出来ますし。
GyaO:
本当にそういう大震災みたいな場合を想定したディザスタリカバリみたいなのもこれからは真剣に考えないとだめですね。
例えばテレビ局だと、多分東京のキー局はもう一個の代替企業を大阪の系列の企業に任せている形になってるはずですよ。
GIGAZINE:
今言ったようなディザスタリカバリみたいなそういうのは、一応GyaO的には考えるんですかね?「NEWS GyaO」としては。
GyaO:
多分今後の課題で考えざるを得ないでしょう。今でも小規模の意味でのディザスタリカバリなんかは考えてありますけど、本当に大震災が起きたときのこともいつか考えないといけない。
GIGAZINE:
なるほど。あと、ネット上を見てたら頻繁に出てくる要望で、今GyaOはWMV形式じゃないですか。あれをWindows以外のMacやLinuxとかで見られるようにする方策とかは考えないんですかね。
GyaO:
考えないことはないんですけど、例えば我々が、巨大な配信サーバーを作り始めたとして、新しいDRMを考えたとします。それのキャッシュサーバも作って…となると、会社としては時間もコストも膨大にかかる。もうそれを商売にした方がいいってなるんですよ、そこまでのシステムを作ったら…。
でもやっぱりお客さんのことを考えたらなんとかしたいんですけどね。
GIGAZINE:
さっきも言ったようにこっちでやっちゃうとそれだけで商売できちゃうくらいの規模になっちゃうから、ちょっとそういうことは考えられないという感じなのですかね。
GyaO:
我々としては本当は余力があってお金があるのであれば、できればそうしたいですけど、そのお金があればそれを使ってコンテンツを作ったりする方が総ハッピーな気がする、という感じです。
GIGAZINE:
なるほどなるほど。。
GyaO:
いや僕も実はMacユーザーなんで早く対応して欲しいという気持ちがあります、本当は。でも、コンテンツホルダー側も技術的なコピープロテクトとか、品質の仕様をとても重要視されているので、どういう風にすれば納得してくれるのかみたいなことを話し合って、双方の納得がいくシステムを組まなければいけません。多分果てしないコストになっていくんですよね、自前であらゆるOSで再生できる環境を整えたら。
GIGAZINE:
気が遠くなりそうですね。そういうことやり始めたら。
GyaO:
そうするともうQuickTimeでもWMVでもないものでやろうって話になって、今度は配信サーバを自分達で作りますかって話になってもう大変なことになるわけです。
GIGAZINE:
逆に言うと、WMVを選んだ理由というのは、単純にあれが一番普及しているからだろう、という予想で選んだってことなんですかね?
GyaO:
そうですね。もうディストリビューションされて、その頃メディアスタジオなんかもWindows Mediaの仕様でいいという話が出てきていたんで。そうするとものすごい特殊仕様なものを作っちゃうと、そもそもプレーヤーをユーザーにダウンロードしてもらう形式だと、
ユーザー数の伸びはここまで拡大しなかったかもしれない。
GIGAZINE:
なるほど、色々な理由で最終的に辿り着いたのが今のWMVによる配信だったんですね。そういえば、GyaOの視聴者から感想とかは来るのですかね?
USEN:
ご意見からご要望まで毎日メールでサポートセンター宛にきています。
GIGAZINE:
やる前と比べて意外な意見とかはありますか?
GyaO:
番組名指しで「これやってほしい!」という要望がありますね(笑)
GIGAZINE:
色々な面白い話がありましたが、中でもヘリの話は面白いですね。
GyaO:
人数が少ないからヘリが欲しいんですよ。人数が多くて、東京のあちこちにいるんだったら必要ないんですけどね。ほんと、ヘリコプター欲しいです(笑)
次回、「価格比較サイト「ECナビ」に行ってきました」…乞うご期待。
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