ハードウェア

IntelがAI特化チップ「Gaudi 3」の性能を9割カットして中国へ出荷予定か


IntelはNVIDIAのH100を超える性能を備えるAI特化チップ「Gaudi 3」を2024年4月9日に発表しました。このGaudi 3の中国バージョンが準備されていることがIntelの資料から明らかになりました。

Intel® Gaudi® 3 AI Accelerator White Paper
https://www.intel.com/content/www/us/en/content-details/817486/intel-gaudi-3-ai-accelerator-white-paper.html

Intel preps lower-power Gaudi 3 chips for China • The Register
https://www.theregister.com/2024/04/12/intel_paudi_3_china/

Gaudi 3はAIの学習および推論に特化したAIアクセラレータで、NVIDIAのH100を上回る性能を示すことがアピールされています。Gaudi 3の発表時の詳細は以下の記事で確認できます。

IntelがAIアクセラレータ「Gaudi 3」を発表、NVIDIAのH100より高速かつ低消費電力で一部テストではH200にも勝利 - GIGAZINE


Intelは2024年4月12日にGaudi 3の詳細な資料を公開しました。資料の最終ページに記載された製品仕様一覧表には「HL-328」と「HL-388」というモデル名の製品が中国(PRC)への輸出用製品として記載されています。「HL-328」と「HL-388」の消費電力(TDP)は450Wで、類似モデルと比べて低消費電力なのが特徴的。


仕様一覧表の下部をよく見ると、「アメリカの対中国輸出ルールに従います」と記されています。


アメリカは中国のAI研究を軍事的な脅威とみなしており、「TPP(Total Processing Performance)が4800を超える半導体」の中国への輸出を制限しています。海外メディアのThe Registerによると、Gaudi 3の性能を4800TPP以内に収まるようにするには、浮動小数点演算能力を150TFLOPS以内に制限する必要があるとのこと。標準状態のGaudi 3の演算能力は1835TFLOPSであるため、Gaudi 3を中国に輸出するには処理性能を9割以上制限する必要があるというわけです。Gaudi 3の中国向けモデルの消費電力が低いのも、性能制限の結果と推測できます。


なお、AI研究用チップ市場で大きなシェアを握っているNVIDIAは、輸出制限を回避した中国専用チップを設計して中国へチップ販売を続けています。この状況を受けて、アメリカのジーナ・ライモンド商務長官は「NVIDIAに中国へのチップ販売を中止させたい」という考えを示しています。

アメリカがNVIDIAに中国向けチップの製造をやめるよう警告 - GIGAZINE

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in ハードウェア, Posted by log1o_hf

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