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Waymoが自動運転技術の企業機密が一般公開されるのを防ぐために車両管理局を訴える、車両管理局も自局を起訴するよう助言

by waltarrrrr

Googleの親会社であるAlphabet傘下の自動運転車開発企業・Waymoは、開発した自動運転車の性能調査やデータ収集のために、さまざまな地域や都市で自動運転車の運用試験行っています。ところが、運用試験の許可を下したカリフォルニア州の車両管理局に対する公文書請求によって、自動運転技術に関する企業秘密が公開されてしまうのを防ぐため、Waymoが車両管理局を訴えたと報じられています。

Waymo sues state DMV to keep robotaxi safety details secret - Los Angeles Times
https://www.latimes.com/business/story/2022-01-28/waymo-robot-taxi-sues-state-secret-black-ice

Waymo sues California DMV to keep driverless crash data under wraps - The Verge
https://www.theverge.com/2022/1/28/22906513/waymo-lawsuit-california-dmv-crash-data-foia

Waymoはすでにアリゾナ州で完全無人タクシー「Waymo One」の正式サービスを開始しているほか、サンフランシスコでも一般市民向けのテストプログラムを行っています。公道でのテストは自動運転プログラムが現実世界に適応する上で重要なデータを提供しており、その試行錯誤の過程では2021年11月に「行き止まりの道路に多数のWaymo車両が突っ込んでは折り返していく」という現象が起きていることも報告されています。

行き止まりの道路に多数のWaymo車両が突っ込んできてUターンしていくという報告 - GIGAZINE


カリフォルニア州の車両管理局はアメリカ最大の自動運転車テストプログラムを監督しており、Waymoを含めた60社以上の自動運転車企業にテスト走行の許可を下しています。車両管理局がテスト走行の許可を下す際には、企業が提供したさまざまな実験データを分析して安全性がチェックされていますが、これらのデータは公的記録として扱われるため、開示請求を受けた場合は開示しなければならないとのこと。

そして実際に、ある身元不明の当事者が「公道テストの許可を求めるWaymoの申請文書」の開示を求めるという事態が発生しました。この要求に従う前に車両管理局はWaymoへ連絡した上で、Waymoが指定した企業機密に関する詳細情報を黒塗り修正した資料を開示しましたが、それを受け取った請求者が異義を唱え、黒塗り修正なしのバージョンを開示するよう要求してきたそうです。


再度の開示要求を受けた車両管理局は、Waymoに対して「企業機密を開示されたくなければ訴訟した方がいい」と助言したとのことで、Waymoは車両管理局に対し開示の差し止めを求める訴訟を起こしました。2022年1月21日にサクラメント郡上級裁判所に提出された訴状でWaymoは、もし自動運転技術に関する詳細情報が一般に開示された場合、Waymoは他の自動運転車開発企業との競争に負けるだろうと主張しています。

Waymoが開示されたくないと訴える詳細情報には、「無人運転車に緊急事態が発生した場合の対処方法」「ロボットタクシーが行くべきでない場所で走行を始めた場合の対処方法」「サンフランシスコのトンネル・きついカーブ・急な丘を走る際の性能的制約」「自動運転車が関わる事故の情報」などが含まれているとのこと。これらのデータは潜在的な技術的改善や新たな視点を競合他社に与えることとなるとWaymoは説明したほか、当局の許可を得るために提出した重要データが開示されてしまう前例ができれば、自動運転車に関わる各社は技術開発に時間やリソースをつぎ込まなくなるとの懸念を表明しました。

by zombieite

今回の訴訟を報じたロサンゼルスタイムズは、「事実上、車両管理局は何が企業機密で何がそうでないのか、企業の主張と公共の利益の間でどのようにバランスを取るべきなのかについて、裁判所の判決に責任を転嫁させています」と指摘。こうした訴訟を解決するには数年以上かかる場合があるため、たとえ最終的にWaymoの企業機密が公開されることになったとしても、近いうちではないだろうとの見解を示しています。

ミッチェルハムリン・ロー・スクールの知的財産研究所ディレクターを務めるシャロン・サンディーン教授は、公的記録や企業機密に関する法律は曖昧であり、車両管理局が判断を裁判所に任せたことは理解できるとコメント。多くの弁護士は重要な企業機密が法律で保護されることに賛同している一方、企業機密を盾にして公共の利益が阻害されることは問題であるため、立法や行政がリーダーシップを発揮して明白な区別を付ける必要があると主張しました。

なお、Waymoはその他の自動運転車開発企業と比較して多くのデータを公開しており、2019年には膨大な自動運転データセットを無償公開したほか、自動運転車の事故回避能力に関するシミュレーション結果なども公開しています。Waymoの広報担当者であるニコラス・スミス氏は、「全ての自動運転車企業はその技術の安全性を実証する義務があります。それが、Waymoが安全に関するデータを迅速に、透明かつ一貫して一般の人々と共有している理由です」と述べました。

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in メモ,   乗り物, Posted by log1h_ik

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