取材

ラジオ局が作る本気のラジオ・ワイドFM対応の「Hint BLE Radio」が一般発売決定で完成発表会開催


ニッポン放送、Cerevo、グッドスマイルカンパニーの3社がクラウドファンディングを通じて開発したワイドFM対応ラジオ「Hint BLE Radio」の一般発売が決定し、2017年7月20日に完成発表会が開催されました。先行予約受付も始まっています。

Hint-ヒント- ラジオ局が作る本気のラジオ
http://www.yoppy.tokyo/hintradio/


Hintはニッポン放送の吉田尚記アナウンサーによる「カッコいいラジオが欲しい」という思いから立ち上げたプロジェクトで生まれました。クラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE」では目標金額の1300万円の234%にあたる3045万5500円が集まり、達成した2016年9月時点でCAMPFIREの全プロジェクトで最も支援金額が多く集まったプロジェクトとなりました。

ラジオ局が本気で作る、今までにないラジオ【Hint(ヒント)】 - CAMPFIRE(キャンプファイヤー)
https://camp-fire.jp/projects/view/8696


クラウドファンディングで支援した人向けには7月20日から順次発送が行われていますが、クラウドファンディング終了後も購入したいという声が多かったことで、一般発売が決まりました。メーカー希望小売価格は税別2万2000円で、本日から先行予約の受付が始まり、9月初旬から販売されます。

完成発表会の様子はニコニコ生放送、およびYouTubeで中継が行われました。

「Hint」完成発表会 - YouTube


新型ラジオ『Hint』完成披露発表会 - 2017/07/20 13:00開始 - ニコニコ生放送
http://live.nicovideo.jp/watch/lv303138307

発表会に出席したのはプロジェクトの発案者であるニッポン放送・吉田尚記アナウンサー


そして株式会社Cerevo代表取締役・岩佐琢磨さん、株式会社グッドスマイルカンパニー代表取締役社長・安藝貴範さん、株式会社SF デザイナー・メチクロさん。


実は完成発表会の行われた7月20日はクラウドファンディングをすると発表してから丸1年。吉田さんによると、当初のペースでは目標に届かないのではないかという懸念があったそうですが、安藝さんらも認める吉田さんの伝播力によって、後半、大きな伸びを見せて、最終的には前述のように目標の234%の支援を集めました。実は、世の中に「ラジオのクラウドファンディング」自体が少ないため、「あいつらのせいでラジオのクラウドファンディングはダメだということになった」と勝手に命運を背負う気持ちになっていたという吉田さん。ラジオを愛する気持ちを広める吉田さんの啓蒙活動を見て、安藝さんたちは「クラウドファンディングアスリート」と呼んでいたそうです。

クラウドファンディングの時点では2017年3月発送という予定だったHintは、2度のスケジュール延期を経て、2017年7月20日から順次発送されています。これにはいろいろな事情があったとのことで、事情のうかがえる写真がちょっとだけ公開されました。スクリーン左側は量産工場でHintの組み立てをしているところ。中央上は接着工程で、ここでもなかなかのトラブルがあったとのこと。そして右下は金型で、設計の問題か、イジェクタピンが曲がってしまって金型を作り替えることになり、ここでも2~3週間を費やすことになったとのこと。


安藝さんによれば、Hintはかなりピーキーな設計で、メチクロさんの「縦型にする」というアイデアには自分もいいなと思ってOKを出したものの、あとになって「なんであんなことを言ったんだ!」と悩まされることになったとのこと。それこそ「冷静に考えると、作ってはいけない設計」だそうです。

そして会場では「Hint BLE Radio」の実機がお披露目されました。一般的に、こうした製品で当初示されたデザインはあくまでコンセプトデザインで、できあがった製品になると変わっている部分が多少あるものなのですが、Hintでは当初のコンセプトデザインのまま完成させることができたとのこと。

ワイドFM対応ラジオ「Hint BLE Radio」お披露目 - YouTube


さっそく試聴。放送中のラジオ番組を聞くということでネット放送では消音になっていましたが、現地ではさすがはFMというとてもクリアな音声が流れていました。ラジオとして使用している時は上の方が緑色に光ります。


FM放送用周波数でAM放送の補完を行い、従来のAM放送よりもクリアな放送を行っている「FM補完放送」(ワイドFM)に対応していることから、数多くの番組を聴取することが可能。

また、ラジオとしてだけではなく、スマートフォンと接続してBluetoothスピーカーとして使用することも可能。スマートフォンの音声を聞くだけではなく、Podcast、ストリーミングサービス、radikoなどの聴取に使えます。なお、このモードでは青く光ります。


そもそものコンセプトである「かっこいいデザイン」「無指向性スピーカー」「音声ビーコン機能」を満たした上で、支援が多かったおかげで「3Wayスピーカー」「本体充電可能」「FMアンテナ同梱」を実現。充電はクラウドファンディングならでは形で改善されたポイントとなっていて、当初はバッテリー駆動での利用シーンはそんなに多くないと考えられていたため、バッテリーを取り外して充電する形が考えられていましたが、コメントでバッテリー駆動で利用するという声が多く寄せられたため、microUSB経由でケーブル接続することにより給電・充電する形に改められました。

FMアンテナが同梱されているのは、本体のアンテナ感度には自信があるものの、世間のFM事情の方はどうにもできないため、もしノイズが入るときには利用して欲しいという理由です。


音に関してはメチクロさんが「声」にこだわってチューニング。通常、スモールスピーカーだと低音をいっぱい出すという設計になっているものなのですが、メチクロさんはそういったラジオは魅力的には聞こえないと考え、日本語話者の母音成分にあたる400Hzあたりに着目し、盛り方・削り方を「徹底的にいじくりまわした」とのこと。

またポイントとして、テレビでもradikoでも起動から実際に音が流れるまでには数秒あるのが「動線としていかがなものか」と考えた吉田アナの強い要望により、起動してすぐ音が鳴るようになっています。

こうしたパワーアップのため、重量は予定よりも重くなって1075gに。本体サイズは80×80×297mm。縦型ボディですが、重みもあってそう簡単には転倒しません。

底面にはビス穴が4つ設けられていて、同梱のインシュレーター(ゴム足)を取り付けられます。


イベント後半は田所あずささん、中村繪里子さん、野島健児さんも参加。


特に中村さんはラジオのヘビーユーザーであり、プロジェクトチームの外の人であるにも関わらずテストに参加。その感想は「とにかく使いやすく、音がいい。窓辺に置くシーンが多いが、ベランダで『風ぼっこ』(ひなたぼっこの太陽なし版)をしていてもよく聞こえ、無指向性スピーカーの強みを感じる」というものでした。

クラウドファンディング支援者向けに、3人の特別モデルが作られました。左端が中村さんモデル、中央が田所さんモデル、右端が野島さんモデル。


特別モデルは起動時や終了時、モード切替時にそれぞれの声優さんの声でしゃべってくれます。野島さんはロボットにでも乗り込むかのような力強いボイス、中村さんは可愛らしいボイス、そして田所さんはなぜか茨城弁。もっとかわいくと何度もディレクションされたのに!と田所さん。


また、BLEビーコンを内蔵しているので、「ラジオ音声にのせてURLをラジオの近くのスマートフォンに送る」ということができます。


利用しているのは「ピポパ」という音で表現される「DTMF音」。放送局がDTMF音を送信すると、放送波を受信したBLEラジオが音をURLに変換しBluetoothで近くのスマートフォンに送信します。これで、ラジオで流れたDTMF音がURLとして手元のスマートフォンに伝わる、というわけです。


これまでは番組内でURLを紹介しようと思うと「エイチ、ティ、ティ、ピー、コロン、スラッシュ、スラッシュ……」とすべてを読み上げる必要がありましたが、DTMF音を使えば一瞬で送信可能。番組サイトへの誘導のほか、写真や動画のシェア、クーポン配信、番組ノベルティ配布など、いろいろな使い方ができます。


ちなみに、クラウドファンディング終了後も多くの問い合わせがあったということで一般発売が決定しています。


予約受付はすでに始まっています。メーカー希望小売価格は税別2万2000円。

Hint BLE Radio(フロストシルバー) - Cerevo official store
http://cerevo.shop-pro.jp/?pid=120442486

ビックカメラ | ラジオ局が作る本気のラジオ「H!nt(ヒント)」
http://www.biccamera.com/bc/c/av/radio_btspeaker/hintradio.jsp

よりよいラジオライフを助けてくれる品となるのではないでしょうか。なお、7月20日24時から放送のミュ~コミプラスは「Hint」スペシャルだとのことなので、こちらもお楽しみに。

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in 取材,   ハードウェア,   動画, Posted by logc_nt

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