知られざるNHKラジオセンターの舞台裏を取材してきました~潜入&技術編~
NHKラジオ第1の「私も一言!夕方ニュース」一日密着取材記事第2弾はいよいよNHKラジオセンター内部へ潜入していきます(第一弾はこちら)。
その前に食堂で腹ごしらえ、親子丼うまうま。
で、午後の会議、ここで最終的な詰めを行います
NHKラジオセンターへ
これがNHKラジオセンターの中枢
あのガラスの向こうでアナウンサーやゲストの人たちが話すわけです
NHKのラジオは実に90%以上が生放送であり、それを支えるのがここ
これはお外に持って出かけるNHK中継機
NTTドコモのFOMAカードによって外からでも生中継可能、というわけ。「パケットロスは0.50%未満で中継可能が目安」「Please wait中に電源を切るな!!壊れます」など、長年の間に培われたノウハウが貼りまくられています。
ここは国会中継やニュースの音声を抜き出す場所
SONYの時差再生装置1号&2号
過去19時間分ぐらいの全放送が録画されており、そこからリアルタイムに指定時間の録画されたムービーを抜き出し、そこから音声を速攻で抽出して即座にラジオ放送に回すといういかにも業務用です!なシステム
使い方はえらく簡単で、IN点とOUT点を指定すれば終わり
操作を極限まで高速化するため、マウス以外に専用コントローラーも完備
これでバチバチバチと切って貼っての編集を行うわけです。「さすがに放送5分前とかは無理ですが、放送中に次のニュースに間に合わせるために加工したことはあった」とのこと。
この時差再生装置は中にハードディスクがずらっと並んでおり、いわば全チャンネル録画&リアルタイム呼び出し&編集までを一気に司っているわけです
奥行きも結構あります
よく見るとハブが上部に埋め込まれていたり、誤って触れないようにカバーされていたり、「何かいろいろあったのだろう……」という苦労を忍ばせる痕跡があちこちにあります
官邸に置いてあるカメラや東証、さらに円ドル相場のリアルタイム数値まで、さまざまなものがここに一気に映し出され、リモコンで数値を入力することで送出される元ソースをいろいろと切り替えることができるわけです。
ニュースデスクやジャーナルデスクからの館内直通電話、これがジリジリと鳴り響いて急を告げるわけですね
リアルタイム編集システムの机の下をのぞいてみると……
RC時差再生装置の編集端末本体が転がっていました、ごろりん
昔々はNHKのテレビとラジオでそれぞれ別に録画&録音していたそうなのですが、「ムダじゃね?」ということでNHKのテレビソースに一本化、ラジオはテレビのソースからこうやってリアルタイムに抜き出す、という仕組みになっています
それにしてもすさまじい量の電話、これはリスナーと電話でつなぐであるとか、遠隔地の出演者に電話で出演してもらうであるとか、そういうときに使います
左上にあるモニターによってリアルタイムに時々刻々と変化する日本の様子をモニタリングし、放送に反映させていきます
よく見るとレコードもあります。これは放送する番組によってはゲストで来る人がレコードを持ち込むことが今もあり、そのためこうやって備え付けられているという次第
スタジオの入り口はすぐそばにあり、コンパクトにすべてがぎゅっとまとまっている印象
これがスタジオの中
テレビや本
番組を進行するメインはここ
こんな風に見えるわけですね
これは貴重な光景、アナウンサーの視点だとこうなります
手元にはいろいろな情報を映し出すモニターなどが揃えられており、番組放送中に行われる指示もここに映されます
生放送なので時計が命
時計はSEIKOのもので、赤い針がメチャクチャ目立っており、とてもナイスなデザイン
このスタジオの隣にはさらに小さなスタジオがあり、ここはニュース専用
番組中に挿入されるニュースなどはなんとここから放送されているわけです
地震が起きたときに即座に電文で表示したり、交通情報であったり、株価であったり、いろいろな情報がアナウンサーの手元に集約され、どのような臨時ニュースが起きても即座に対応できる体制になっています
さらにもう一つスタジオがあります。2つの大きなスタジオと、1つのニュース専用スタジオをばちばちと切り替えながら放送をつないでいくという仕組み
どのようなニュースかを伝えるために速攻でプリントアウトするシステムもあります
で、これは先ほどの「激闘編」記事で渋谷を放浪して集めてきた街の声を編集するシステム
録音されたデータを収めたコンパクトフラッシュ
これを編集してMOに入れて、番組に渡すわけです
こうやって挿入して……
読み込んだ各トラックの中から使う部分を選択
「このつまみは触らない!」というシールの向こうに繰り広げられたトラブルに思いをはせます
かちゃかちゃと編集。見て分かるとおり、先ほどインタビューに出かけた人がそのまま編集も担当しており、人的なムダは一切無し。
やれる人がやるべき事を誰でもやれるようにすることによって、ひととおりの機材の扱いを習得していき、いざというとき、つまり「万が一の非常事態」が起きた際にその場にいるスタッフだけできちんと放送できるようにいつでも備えているわけです。
この日はちょうど国会中継で、一体いつ終わるのか、どこで切るのか、さらにオリンパスの会見や粉ミルクの発表など、いろいろなニュースが入ってきて、放送されるその瞬間が刻一刻と近づきつつも、放送開始時間が延長されまくるという事態に。
本来は17時開始であるにもかかわらず、既に17時半過ぎ。しかしこの時点で「17時41分放送開始で」というゴーサイン、いよいよNHKラジオ第1「私も一言!夕方ニュース」が始まります。
・つづき
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