iPhoneのロック解除を可能にするソフトウェアは「ガンに等しい」とAppleのティム・クックCEO
by Noodles and Beef
アメリカ・カリフォルニア州のサンバーナーディーノで武装した犯罪者が障害者支援の福祉施設を襲撃した「サンバーナーディーノ銃乱射事件」で、犯人のiPhoneのロック解除をめぐってアメリカ政府とAppleは激しいやり取りを続けていましたが、一連の事態に対してAppleのティム・クックCEOがニュース番組に出演し、自身の言葉でロック解除に関する意向を明らかにしました。
Exclusive: Tim Cook Not Budging on Apple Privacy Decision: 'Safety of the Public Is Incredibly Important' - ABC News
http://abcnews.go.com/Technology/exclusive-tim-cook-budging-apple-privacy-decision-safety/story?id=37169738
Tim Cook: Unlocking terrorist's iPhone would be 'bad for America'
http://www.engadget.com/2016/02/24/tim-cook-unlocking-terrorist-s-iphone-would-be-bad-for-america/
サンバーナーディーノ銃乱射事件をめぐっては、FBIが裁判所命令を通じてAppleにiPhoneのロック解除をするためのソフトウェア作成を要求し、Appleがその要求を拒否、さらにはティム・クックCEOが「FBIは本質的にいえば、Appleに対して『iPhoneの暗号化を回避するためのバックドアを作れ』と言っているようなものだ。これは、これまで長年Appleが拒否してきた事柄でもある」と公開状を出すまでに至っていました。
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Appleが政府からの圧力に対して反対する姿勢を見せているのに対して、これまでMicrosoftやGoogleはデータ暗号化を弱める方針を明らかにしてきました。なお、Microsoft創業者のビル・ゲイツ氏は一時的にインタビューでFBI支持を示唆したものの、その後のインタビューで支持を撤回しています。
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テロ捜査には協力的でありつつも、政府の要求に対して「ユーザーのプライバシーを危険にさらす」という姿勢を見せてきたティム・クックCEOですが、現地時間の2016年2月24日、アメリカのニュース番組ABC World News Tonightに登場し、FBIが要求しているソフトウェアは「ガンのようなもの」だとして、確固たる姿勢を明らかにさせました。
「人々のデータを守ることは信じられないほどに重要で、このとことに関して政府と取引することは、人々を重大な脆弱性にさらすことになります。我々にそのつもりはありません。アメリカのためにもならないでしょう」とクックCEO。
また、iPhoneのロックを解除することでテロリストの攻撃を妨害できるのではないか?という質問に対しては「難しいこともあれば、正しいこともあります。その両方であることも。今回はそういうケースの1つです」と返しました。
さらに、クックCEOは「国家にとって重要なことをこのような方法で行うべきではなかった」として、政府がAppleにロック解除を命じる前にもっと対話を持ちたかったという意向を示しています。
なお、Appleは裁判所命令が不当である場合には申し出る必要があり、期限は2016年2月26日となっています。
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