フォードが雪道で自動運転車の試験走行を実施、今後はGoogleとの共同開発も視野に

自動車メーカー大手のフォードは、自社で開発している自動運転車両を使った雪道での走行実験を実施し、道路標識や車線が判別しにくい積雪の状況下でもうまく走行している様子を公開しました。また、フォードとGoogleはジョイントベンチャーを立ち上げて自動運転車の開発を進める動きも見られています。

Driverless Ford tackles snow problem - BBC News
http://www.bbc.com/news/technology-35280632

フォードが公開した実験の様子を収めたムービーはこんな感じ。スリップや車線逸脱を起こさず、スムーズに走っている様子を見ることができます。

Ford’s Industry first autonomous vehicle tests in snow - YouTube

フォードが本社を置くアメリカ・ミシガン州は雪の多い土地で、自動運転車を開発するフォードにとっても雪の環境下での自動運転は避けて通れない課題のひとつ。

今後の自動運転車両の進化を考える中で、雨はもちろん雪の状況での走行は無視できない要件のひとつです。そんな状況に対応できる車両をフォードでは開発しているとのこと。

車両が搭載するセンサー類によって把握した状況と、付近のマップを組み合わせた情報を組み合わせて環境の悪い中でも走行が可能。

車両の天井には複数の回転する装置が取り付けられています。これらはLight Detection and Ranging(Lidar)と呼ばれる装置で、レーザー光を発して周囲の状況を高速にキャプチャして取り込むためのもの。飛行機などで使われる「レーダー」が電波を使うのに対し、このLidarはレーザー光を使うという違いがあるとのこと。

Lidarは周りの道路だけでなく、周囲の建物や道路標識を同時にスキャンすることで、周囲の状況を認識できるように設計されているとのこと。

さらに、同じエリアの詳細な地図データと照合することで、正しい道路や車線の位置を把握できるシステムになっています。この元となるデータは、天候がよい時に取得したものをデータセンターに保存しておくようになっているそうです。

これらのシステムを組み合わせることで、フォードは雪の状況でも走行できる自動運転車の実験に成功したとのこと。

なお、実験に使われた街並みは、このようにハリボテで作られている模様。

車線が全く見えない状況でも、前に止まっている車両をよけて隣の車線に停車する車両。

フォードはこれらのシステムにさらに学習を行わせることで、雪や雨のような滑りやすい状況でもベテランドライバーのように安定した走行ができるようになるとしています。

自動運転車の開発にも余念がないフォードですが、同社の創業者一族で会長を務めるウィリアム・クレイ・フォード・ジュニア氏は企業としてのフォードの改革にも力を注いでいる様子。テスラを始めとした新たな自動車メーカーの勢力が台頭する中で、歴史あるフォードといえど安泰とはいえない時代が近づきつつあることに危機感を促し、自ら変革することで生き残りの道を模索している模様。そんな中で、フォードはGoogleと共同でジョイントベンチャーを立ち上げて自動運転車の開発を行う可能性があるとも報じられており、今後もこの分野を巡っては活発な動きが見られることになりそうです。

Ford’s Chairman Is on Quest to Reinvent Auto Maker - WSJ
http://www.wsj.com/articles/fords-chairman-is-on-quest-to-reinvent-auto-maker-1452488462

Ford and Google are still considering making self-driving cars together, WSJ says | The Verge
http://www.theverge.com/2016/1/11/10750524/ford-google-alphabet-self-driving-cars-wsj

フォードとGoogleが進めているとみられるジョイントベンチャーについては、以下の記事で詳しく見ることも可能です。

セルフドライビングカー事業でGoogleとフォードがジョイントベンチャー設立へ - GIGAZINE