白いトウモロコシが入った「インカ風みそ汁」をペルーでふるまってきた
ペルーといえば、その昔インカ帝国が栄えた歴史ある国ですが、ペルーの首都リマにて、インカに伝わるトウモロコシやアンデス原産のジャガイモで味噌汁を作りました。
こんにちは!世界新聞特命記者の谷田部美亜です。味噌汁を振る舞いながら世界中を旅して1年半以上が経ちました。今は南米ペルーにいます。
◆味噌汁を振る舞う理由
味噌汁は日本人の私にとって「おふくろの味」です。これを世界の人々に食べてもらい、もっと日本を知ってもらいたい!という計らいの元、始めた企画です。これまでも世界13ヶ国で味噌汁を振る舞ってきました。
◆ペルーについて
Wikipediaのペルーの記事によると、「紀元前から多くの古代文明が栄えており、16世紀までは当時の世界で最大級の帝国だったインカ帝国(タワンティン・スウユ)の中心地だった」とあり、ペルーを旅すると、儚さを感じずにはいられません。
◆この人に味噌汁を作ります
今回食べてもらうのは、ペルーの首都リマに住むペルー人のダビットさんとその従姉妹にあたる双子姉妹。今回はインターネットで一期一会の出会いを探しました。
カウチサーフィンというインターネットのサービスをご存じでしょうか。まるで「カウチ(長椅子)」を「サーフィン(波乗り)」するように、旅人がホスト宅のソファなどに宿泊させてもらうことで節約して旅ができ、そしてホストには旅人と出会えるという利点があるという、旅人とホストのマッチングサイトです。宿泊だけが目的ではなく、例えば旅先で友達を作ってお茶をしたいというときなどにも使うことができます。
カウチサーフィンで見つけたペルー・リマ在住のダビットさんに、「私は日本人です。味噌汁を振る舞いたいのですが、会っていただけるでしょうか?」とメッセージを送りました。返事はなんとOK!味噌を持って早速会いに行ってみました!
◆ペルーの食文化
旅中に味噌汁を作る際にモットーにしているのが、その国の食文化を出来るだけ理解するということ。何が食べられているかを知ることで、その国の人たちが「おいしい」と思ってくれる味噌汁に一歩近づくことが出来ます。自ら体験したペルーの食べ物を旅人目線でご紹介しましょう!
ペルーの地理は山あり海ありアマゾンありで、食材に変化があることや、スペイン・中国・日本を始めとする多様な国の料理から影響を受け、洗練されたそうです。ペルーの食文化は世界中から注目を浴びつつあるそうです。
・肉・タマネギ・トマトの炒め物「ロミート アル フーゴ」
写真は朝ご飯用のロミート アル フーゴ。香草とウスターソースのような味付けが牛肉、タマネギ、トマトに良く合います。お昼には、これを3倍くらいの量にして白米で食べることもよくあります。
・シーフードのマリネ「セビチェ」
タマネギ、レモン、香草、アヒなどの唐辛子、塩で味付けされています。大西洋に面した南米の国々で広く食べられているとか。前菜やつまみです。個人的な好みで言うとかなりの大ヒット。
・茹でジャガイモとチーズソース「パパ アラ ワンカイナ」
茹でたジャガイモにかけるソースは、フレッシュチーズとアヒという唐辛子、牛乳をブレンダーにかけたものでトロッとしています。前菜として食べます。
・チキンとトウモロコシのスープ
スープの種類は無数にありますが、こちらはセロリ、ニンジン、ニンニク、鶏肉、トウモロコシのスープです。お好みでライムや唐辛子をかけて食べます。
・トウモロコシのビール「チチャ デ ホーラ」
白トウモロコシを発酵させたビールがこちら。他にもアルコールが入っていないものや、紫トウモロコシで作ったチチャ モラーダと呼ばれるジュースも一般的です。
・リブ肉とキヌア定食「ビステック コン キヌア」
ビステックとは南米全体で食される肉のグリルやステーキ。米と一緒に出されたベージュ色の粒々がキヌアと呼ばれるペルーやボリビア原産の穀物です。
・キヌアの飲料
トウモロコシのように様々な利用方法があるキヌアですが、こちらは砂糖を加え甘くした飲み物です。ドロッとしていて不思議な味ですが、若干フルーティーでジュースのようでもあります。
◆こんな味噌汁にします!
さあ、今回食べてもらうのは、ただの味噌汁ではありません。まず、インカで栽培されていたという歴史あるトウモロコシとジャガイモをゴロゴロと入れたいと思います!そしてペルーには魚を食べる文化があるので、自ら削った鰹節で本格的に出汁をとりたいと思います。さらに餅を入れます。餅は去年の暮れに日本の友人からいただいたプレゼントで、年始に食べようと大事にとって置きました。旅先ではキッチンがなく正月を祝いそびれてしまった私と一緒に、ちょっとした正月気分を味わってもらおうではないか!というわけです。
◆市場へ買い出し
ダビットさんの家があるのは、リマの中心部から市バスで30分離れたこんな住宅街です。家からすぐそばのマーケットに買い出しに行きます。
ペルーのマーケットは、小規模のお店が軒を連ねて集合体を作っている形が多いです。
トウモロコシ、ジャガイモ、タマネギ、ニンジン、長ネギを購入しました!
◆味噌汁作り開始
さっそく作ってみましょう。こちらがキッチン。現代的ですね。
日本のトウモロコシより白く、粒が大きいこちらのトウモロコシ。扱い方がよくわからず、とりあえず指で実を取ってみたのですが、最終的に包丁でそぎ落とすことに。
他の野菜も切り終えました。
西伊豆の鰹節屋さんが持たせてくれた鰹節と鰹節削り機です。削り方は現在訓練中です。さすが本格鰹節は良い香りです。
出汁をとったところに根菜類を入れます。
引き続きトウモロコシと青葱も入れます。
そしてこちらが例の餅。待ちに待った封を切る時が来ました!
餅は半分に切って食べやすくしました。
これまでの旅で数十キロと消費してきている、越後長岡味噌醸造たちばな味噌です。自然な風味の米味噌です。これを溶き入れましょう!
野菜も餅も柔らかく良い感じに出来上がりました!
インカに伝わるトウモロコシ、ジャガイモ、そして日本の鰹節、味噌、餅の輝かしいコラボレーションの完成です。
◆感想
味噌汁はおいしかったみたいです。ダビットさんも気に入って「味噌というものは今まで食べたことがない味がして興味深いけれど、すごくおいしい。スープの魚の味もちゃんとわかる」と言ってくれました。
実は、調理前に鰹節をお見せしていました。「これは木だろ?」とダビットさん。最終的に味噌汁を食べてみて、鰹節の作り出すフレーバーに納得した様子でした。
ダビットさんの従姉妹、マリアネラさんとディエナさん姉妹も、汁まで残さず飲んでくれました。そしてトウモロコシが大好きなようで「チョクロ(トウモロコシのこと)!チョクロ!」と大喜び。確かに、日本で食べるトウモロコシとは異なり、大きい粒がモチモチしていてほんのり甘く、味噌汁にも合います!
話に花が咲き、ダビットさんが教えてくれました。「ペルーにはたくさん健康的な食べ物があるのに、米とポテトとパンを食べ過ぎたり、コーラを毎食飲んだりしていて本当に良くない。安く手に入る伝統的な食べ物の存在を忘れかけているんだ」と。
どうやら健康的な味噌汁はみなさんに大変気に入ってもらえたようです。
しかし、正月以来待ちに待っていた餅を、みんなにも喜んでもらえると思ったのですが……うまくいきませんでした。マリアネラさんは、突然口に入ってきた餅に悲鳴を上げ「チューインガムみたいな米以外はとてもおいしかった」と笑っていました。
文・取材:谷田部美亜 https://misodamaworld.wordpress.com/
監修:世界新聞 sekaishinbun.net
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