Samsungが推進する新OS「Tizen」はAndroidの劣悪なコピーというレポートが登場
テクノロジー系ニュースサイトArs Technicaが、Samsungがインドやバングラディシュで発売した世界初のTizen OS搭載スマートフォン「Samsung Z1」のレビューを掲載。結論として、「Tizenには新しい挑戦が何もなく、Androidの劣悪なコピーである」という評価を与えています。
The first Tizen smartphone isn’t an “Android killer”—it’s a bad Android clone | Ars Technica
http://arstechnica.com/gadgets/2015/02/samsung-z1-review-the-first-tizen-smartphone-still-feels-like-plan-b/
◆Samsung Z1の外観&スペック
これがついに発売された世界初のTizen搭載スマートフォン「Samsung Z1」。SoCはSpreadtrum SC7727S(1.2GHzデュアルコア)、メモリが768MB、ストレージが4GB、視野角が良好な4インチ液晶ディスプレイ(800×480)搭載で重さは約112g。
バックパネルはプラスチック製。LEDフラッシュ付きのリアカメラは310万画素。
Samsung Z1はデュアルSIM対応で、バッテリー容量は1500mAh。
厚さは9.7mmと最新のスマートフォンにしてはやや厚め。
対応バンドは3GがB1(2100MHz)、B8(900MHz)でLTEには非対応。インドでの販売価格は5700ルピー(約1万1000円)となっています。
◆レビューの中身
TizenスマートフォンのSamsung Z1を操作する様子はこんな感じ。予想以上にサクサク動いているのが確認できます。
・基本操作ボタン
Samsung Z1をレビューしたArs Technicaのロン・アマディオ氏は、SamsungがTizen OSでもAndroid OSと同じく「メニュー」「ホーム」「戻る」などのアイコンをスマートフォンの画面下部に配置していることについて、「Androidとまったく同じ過ちを犯している」と評価しています。その理由は、これらの3つのボタンがあることによって画面に現れないバックグラウンドに隠されたページや機能が増えてしまい直感的でなく使いにくいからというもの。ホームボタンを1つに制限したiOSのシンプルさに比べると、Androidの基本ボタン自体が複雑過ぎるとアマディオ氏は評価しているようで、TizenはわざわざAndroidの悪いところをマネしており評価できないというわけです。
・ホーム画面
右がSamsung Z1のTizen OS、左が2011年発売のGalaxy S2。Tizenはかなりシンプルです。
ホーム画面は上部にウィジェットを置くスペースがあり、ウィジェットは左右にスクロールして表示を変更可能。ウィジェットの下には2列のドックアイコンが8つ並んだレイアウトが採用されています。しかし、ウィジェットエリアにはアプリを置くことができず画面の大部分を占領してしまうのに加え、下の中央の画像で分かるとおり、ウィジェットも最大で2個しか配置できない点で、情報量の少なさゆえに大いにストレスが募るとのこと。ドックに置けるアプリも最大8個であり、魅力的なアプリが相対的に少なすぎるTizenとはいえ、アプリをたくさん配置できないのはいただけないとアマディオ氏は指摘しています。
・アプリ履歴の表示
アプリの履歴はホームボタンを長押しすることで表示できます。しかし、「長押し」という時間がかかる操作を採用することは、快適な操作を損なうものとして減点材料であるとアマディオ氏は手厳しい評価。Androidからわざわざ操作方法を変更したことでかえって低い評価を受ける羽目になっています。
・ロック方法
ロック画面の解除方法は、スワイプ、PINコード、パスワードのみでAndroidのようなパターン認証によるロック解除方法はありません。
・クイック設定
画面上端からクイック設定画面を引っ張り出せるのはAndroidと同様ですが、操作はカクツクことがあるとのこと。さらに青ベースの画面はスクロールすると時折、点滅することがあるそうです。
・アプリ
Tizenの最大の急所となるであろう部分が「アプリの少なさ」。すでに100万個以上のアプリを用意しているiOSやAndroidに対してアプリ数で見劣りするWindows PhoneやFire Phoneでさえ苦戦を強いられているのを考えれば、スタートしたばかりでアプリ開発者もほとんどいないTizenアプリの少なさは群を抜いています。アマディオ氏は「プラットフォームを提供し推進する以上、まずはSamsungがアプリ開発を積極的に行いリーダーシップを発揮するべき」と述べています。
・Samsungアカウント
Samsung Z1の設定やデータなどはすべて「Samsungアカウント」でバックアップされ同期されるとのことで、GmailやDropboxなどもサポートしています。ただし、SamsungアカウントではGmailやDropboxは1時間に1回しか同期されない点には注意が必要です。Tizenはプッシュ通知のAPIをサポートしているはずなのに、Samsung Z1がプッシュ通知に非対応なのは奇怪なことだとアマディオ氏。
・カメラ性能
320万画素のリアカメラはお世辞にも高性能とは言えませんが、カメラアプリにはホワイトバランスの調整機能や顔認識機能があります。
ただし、画質は他のスマートフォンに大きく見劣りするとのこと。これがSamsung Z1で撮影した写真。
対してNexus 5で撮影した写真。画質の差は明らかです。
一方、これは6499ルピー(約1万2000円)のスマートフォン「Micromax Canvas A1」による撮影写真。「Samsung Z1は低価格スマートフォンだから画質が悪くても仕方がない」という言い訳は通用しません。
・ベンチマーク結果
これはJavaScriptベンチマークソフト「SunSpider 1.0.2」によるテスト結果。グラフが短いほど高性能で、Samsung Z1は低価格スマートフォンの中では健闘しています。
しかし、MozillaのJavaScriptベンチマークソフト「Kraken」だとまったく違った結果に。もしかすると、Samsungがよく行う"戦略的チューニング"が原因なのかも……。
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・その他
まったく謎なのが、電卓アプリ使用時に画面上からアンテナピクト、時計、バッテリー残量などの各種通知が消えてしまうところ。アマディオ氏は「ゲームのプレイ画面ならいざ知らず、電卓アプリに没入させてくれる気配りは意味が分からない」と評価しています。
・壁紙
アマディオ氏が唯一、実用的で良くできていると評価したのがインド国旗カラーの壁紙「Republic Day」。Republic Dayだとインドの休日がロック画面に表示されるようになるとのこと。
当初、「高機能・高価格なプレミアム端末として世に送り出す」とSamsungが発表していたのとは一転して、低価格路線で対象マーケットもインドなど新興国を中心という戦略に切り替えたTizenスマートフォンですが、すでにインド市場にはGoogleが主導する低価格スマートフォン「Android One」シリーズや、世界第3位のスマートフォンメーカーに急成長しSamsungの低価格スマートフォンラインをのきなみ奪いまくっているXiaomi(小米技研)が進出済みであるため、後発のTizenスマートフォンは熾烈な市場で苦戦することが予想されています。
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