吉野家が本日15時から最大120円値上げ、その理由を吉野家社長が語る


消費税増税後、吉野家は品質を上げると同時に牛丼並盛を280円から300円に値上げしましたが、さらに牛肉関連商品の全面的な価格改定が行われ、12月17日(水)15時から牛丼並盛300円が380円に変更されるなど、値上げが行われます。

牛肉関連商品の価格改定について~12月17日(水)15時から~
(PDFファイル) http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1200758

価格変更の対象商品一覧(一部抜粋)は以下の通り。牛丼並盛が300円から380円、アタマの大盛が390円から480円、大盛が460円から550円、特盛りが560円から680円の値上げ、牛カルビ丼については小盛390円から490円、並盛490円から590円、大盛590円から690円の値上げが行われます。価格差は最大で120円。


なお、「牛すき鍋膳」については630円のままです。

熟成肉を使い旨味がアップした吉野家の「牛すき鍋膳」と「牛チゲ鍋膳」を食べてみました - GIGAZINE



値上げが行われた理由は牛肉(ショートプレート)の値上がり。主要輸入国であるアメリカで一昨年に干ばつがあった影響から出荷量が減少し、一方アジア市場では需要が拡大していることから、アメリカ産牛肉の仕入れ価格は2013年9月に比べると倍ほどに跳ね上がっています。今後も出荷量が減少していく傾向は変わらないという見込みであることに加え、アジア市場での需要拡大は進むと予想されていることから、「企業努力のみで食材コストの上昇分を吸収することは困難」という判断が下されたわけです。

大幅値上げの発表は2014年12月9日(火)に行われ、「値上げの対象となるのは、牛丼類で13品目、カルビ類で5品目、定食類で7品目の合計25品目。季節によって若干の変動はあるが、メニュー全体の65%前後に相当する。値上げ幅は30~120円となる」と伝えられました。

吉野家はなぜ今、「並盛80円値上げ」なのか | 外食 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト
http://toyokeizai.net/articles/-/55501



また今回の値上げが行われた経緯は、9月に社長に就任した河村泰貴氏が語っています。

吉野家社長「牛丼値上げのすべてを話そう」 | 外食 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト
http://toyokeizai.net/articles/-/55778



2014年春に行われた値上げは品質向上と共に行われましたが、今回「100円分の値打ちを上げて価格を80円上げる」というのは、時間的にも難しかったとのこと。瞬く間に牛肉相場が上昇して350円・360円という選択肢も消えてしまったわけですが、80円分の値上げについては、消費者のニーズと照らし合わせて考えても、安易に「量を増やす」「みそ汁を付ける」という案を実行するのではなく、正直に説明して理解してもらうという道を取ったようです。

牛肉価格高騰は一時的ではない。しばらく辛抱していれば相場が下がってくるという性質のものではない。それがわかった時点で、速やかに上げるべきと判断した。そして、もっと値打ちのある商品を開発する、サービスを開発するという方向にフォーカスしていきたかった。この夏以降は社内的にも値上げ問題が大きな経営課題になっていて、これ以外のことが考えられないぐらいの状況になっていた。

ただ今回、100円分の値打ちを上げて価格を80円上げるというのは、時間的にも難しかった。いちばん取り組みやすいのは量を増やすこと。たとえば、並盛の肉を1.5倍にして値段を400円にしますと言っても、もはや日本の平均年齢46歳という高齢化社会をむかえている。今の消費者は決してそれを望んでいるわけではない。

正直に、こういう相場だから、今のクオリティを守るので、消費者に(値上げに関して)ご理解をいただくべく努力するしかないと思った。変にごまかすようなことはしたくなかった。順序は逆になってしまうけど、さらに牛丼の価値を上げていくという取り組みは力を入れてやっていきたい。

また従業員に対しても「今までだって、一生懸命やってくれているとは思うが、値段が上がっても吉野家がいいと言ってくれるお客様に最大限のもてなしをしようと伝えた」とのこと。

怖いと思ったのが、吉野家のことをよく知りもしないやつがコストの計算だけで価格を上げた、と従業員に思われること。「一生懸命頑張りますからご理解ください」という気持ちで接客するのか、「なんかウチの偉い人が決めてすみませんね」という気持ちになるのかは大きく違う。心苦しいという気持ちをお客さんに対してもそうだし、従業員にも理解してほしかった。これだけ原価が上がっているから当たり前、というマインドではいけない。

もともと吉野家の牛丼は400円で販売されていたものが280円に値下げされており、河村氏は「個人的には(牛丼並盛で)500円以上の価値があるものを提供しているという自負はある」と語っています。また400円で販売していた時期よりも人件費・水道光熱費・店の賃料などコストは全て上がっているということですが、「400円は消費者の理解が得られないと思った」ということで、「11月末の時点で牛丼並盛は380円」に決められたという経緯があります。

さらに河村氏は「飲食業はある意味、製造業をトレースしてきたようなところもあると思う。大量生産・大量消費で価値を上げていく。このビジネスモデルは限界に近づいていると感じている」と語っており、「新しい牛丼の食べ方を提案する」こと、つまり、牛丼を変えるのではなく、お店のあり方を見直す必要があると考えています。

吉野家の値上げ報道を受けて、ネットでは落胆の声が上がると同時に「今まで300円で牛丼が食べられた事が異常」「吉野家は何も言わずガチ値上げだから潔い」といった声も上がっています。

なお、本日15時から値上げということで、現在「最後の牛丼」を食べている人もそこかしこで見られました。

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in , Posted by darkhorse_log

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