ネット上に個人情報を晒すとどんどん透明になっていく服「x.pose」
現実世界では、人間は服を着ることで身体を物理的かつ視覚的に守っているわけですが、インターネット上では自分の身を守ってくれるものはありません。TwitterやFacebookなどのSNSは便利で有用なサービスですが、写真や位置情報など多くの個人の情報をシェア可能で、これをやり過ぎれば簡単に居場所を特定されたりする可能性もあります。そんなネット上で丸裸になっていく現代の人間を表現するために作られたのが「x.pose」という服です。
x.pose - xuedi.chen
http://xc-xd.com/x-pose
x.pose on Behance
https://www.behance.net/gallery/17256769/xpose
x.poseを実際に着用している様子は以下のムービーで見ることができます。
x.pose on Vimeo
これが個人情報を晒すとどんどん透明になっていく「x.pose」。
x.poseを制作したのはブルックリンを拠点に活躍するデザイナーのXuedi Chenさん。Xuediさんは、FacebookやGoogleのようにさまざまな個人情報を取り扱うサービスを使用する際に、あまり考えずに情報を共有してしまうことで多くの人に個人情報が知られてしまう可能性がある、ということに問題意識を持っていた様子。
x.poseを制作中のXuediさん。
制作にあたり、まずXuediさんはJavaScriptを用いた非同期I/O環境である「Node.js」と、Adobeが公開しているスマートフォン向けハイブリッドアプリケーション制作のためのフレームワーク「PhoneGap」を使い、自動で服の着用者の位置情報データを集めるサーバとアプリを構築します。
そして、3Dプリンターで伸縮性のあるメッシュ状の服のフレーム部分になるものを出力し、フレーム部分には電圧をかけることで透明になったり白色になったりすることが可能なパネルを貼り付けます。
サーバは着用者の位置情報を集め、「特定の位置」に関する情報がネット上にポストされたり取得されたりするとスマートフォンの専用アプリに通知し、アプリはBluetoothを使って服の「特定の位置」に対応する部分のパネルを透明に変化させます。つまり、ニューヨークにいる際は、ニューヨークに対応するパネルが点滅し、この場所に関する情報が漏れればパネルは透明になる、というわけです。
例えば、Google Nowを使って現在地の天気を調べようとしたら……
こんな風に場所に対応したパネル部分が透明になってしまうわけ。
一気に全てのパネルが透明になってしまうということはなさそうですが、いろんな場所で情報を垂れ流しすぎると大変なことになってしまいそうなところ。
なお、x.poseの制作風景はFlickrにて公開されています。
x.pose: making of - an album on Flickr
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