応用運動学に基づいて3Dプリンターで出力した服「Kinematics Bodice」
自然現象から得たインスピレーションをコンピューターにプログラミングし、3Dプリンター製のアクセサリーなどを制作しているサイエンスアートとテクノロジーを組み合わせたデザインスタジオが「Nervous System」。そんな彼らは「応用運動学」に基づいてプログラミングを行い、約1320個のナイロンヒンジパーツが組み合わさって継ぎ目のない一片の服になっている「Kinematics Bodice」を制作しました。3Dプリントしたパーツが可動したり、人体を3Dスキャンしてサイジングを行うなど、今までとは一線を画した服作りとなっています。
Kinematics Bodice | Nervous System blog
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3Dプリントした「Kinematics Bodice」を実際に着用しているところは以下のムービーで見られます。
Kinematics Bodice on Vimeo
Kinematics Bodiceはメッシュ加工が施された布のキャミソールのように見えますが、実際は小さな三角のナイロンパーツが全てつながって1着の服になっています。
手でたなびかせてみると、まるで布のように柔軟性があることがわかります。これは3Dプリントしたオブジェクトを折りたたんだり動かしたりと可動式にできる「4Dプリント」のシステムによって制作されているため。
この服はムービーに登場する女性デザイナーのジェシカ・ローゼンクランツさんの体を3Dスキャンして制作されています。プリンタから出力してすぐに着用可能とのこと。
ナイロンパーツはそれぞれがヒンジ(蝶番)となって連結しており、人の動きにフィットする仕組み。
1000個以上のヒンジが干渉せずに動作するには困難を極めましたが、エンジニアやサイエンスの分野ではあまりなじみのないOpen Dynamics Engineという物理エンジンに切り替えたことで、繊維のように折りたたむことができるエラーの出ないヒンジを一度にプリントできるようになったとのこと。
他にも「Kinematicsスカート」もデザインされており、3Dプリントで出力したオブジェクトを折りたたむことでサイズが87%も減少。
Kinematics Bodiceと同様にモデルを3Dスキャンして全身を覆うワンピース型のドレスの制作も計画しており、着用者が動く度にカーテンのようになびくようにデザインされています。
なお、立体的に動かすことのできる3Dプリンティング技術を使って作られたネックレスなどのアクセサリーが、すでにNervous Systemのウェブサイトで販売中です。
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