阪神・淡路大震災の被害をAR表示するアプリ「震災写真アーカイブマップ」
2014年1月17日は、阪神淡路大震災が発生してから19年が経過する日です。人口約150万人の街を襲った大地震は、消防庁による公式発表では死者6402人、約54万世帯が被害を受け、最大で32万人が避難生活を強いられるという大きな被害をもたらしました。街では復興が進み、当時の面影を残すものはほぼ何もない状態にもどりましたが、裏を返せば、それは震災の記憶が薄れて行っているということ。さまざまな震災の記憶を風化させない試みが続けられるなか、神戸市が開発したスマートフォンのアプリでは、実際の風景とコンピューターで作られた映像を合成するAR技術を用い、いま立っている地点の震災当時の風景を画面に表示してその記憶を継承するという試みが行われています。
スマホでみる阪神大震災「震災写真アーカイブマップ」
http://shinsai-ar.kobe-shashinkan.jp/
神戸市:震災写真アーカイブマップ
http://www.city.kobe.lg.jp/information/public/media/archive/archive_map.html
「震災写真アーカイブマップ」では、スマートフォンを利用して実際の風景に情報を合成してAR表示させるアプリ「junaio(ジュナイオ)」を使用しており、実際に街中で使用してみた様子はこんな感じです。
JR新長田駅西口、「ジョイプラザの前」
JR新長田駅の南、「若松町」
「国道2号線・阪神高速道路」
◆アプリのインストール
ARアプリ「junaio」はiOS版とAndroid版の2種類がリリースされています。
iOS版をインストールするには、以下のサイトにアクセス。
junaio Augmented Reality Browser on the App Store on iTunes
https://itunes.apple.com/us/app/junaio/id337415615
「インストール」→「開く」をタップするとアプリが起動します。
Android版のインストールには、Google Playの以下のサイトにアクセスします。
junaio ジュナイオ Augmented Reality - Google Play の Android アプリ
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.metaio.junaio
画面の表示に従い、「インストール」→「同意する」→「開く」とタップすればインストールが完了してアプリが起動します。
アプリが起動したら、写真などのコンテンツをダウンロードします。画面右上に「SCAN」と表示されているアイコンをタップして、「震災写真アーカイブマップ」のトップページに記載されているQRコードを読み取ります。
「震災写真アーカイブマップ」チャンネルのデータが読み込まれました。参照したいエリアの名前をタップすると、画面上に写真のある地点を示すアイコンがAR表示されるようになります。
「新長田南地区」を選択して実際に表示させてみたのがこちら。新しく架け替えられたJR新長田駅の高架部分に、震災で被害を受けた当時の写真がアイコン表示されているのがわかります。
アイコンをタップすると、当時の様子の説明が表示されます。「当時の写真をみる」をタップすると……
写真が拡大表示されます。
街の中心部あたりでは、このように数多くのアイコンが表示されることもありました。
実際にアプリを使用してみたのが以下のムービーです。現在の風景の中に、震災当時の写真の位置を示すアイコンが表示され、タップすると拡大写真が表示される様子がわかります。
「震災写真アーカイブマップ」アプリを操作 - GIGAZINE
「震災写真アーカイブマップ」のウェブサイトからは、対応している3エリアのルートマップをダウンロードすることができます。実際に「新長田 南地区」エリアを中心に歩いてみました。写真の番号は、マップ上の番号と対応しています。
スタート地点となるJR新長田駅。駅前の広場には噴水などが整備されていました。
◆1.JR新長田駅高架
◆2.JR新長田駅西口
◆4.ジョイプラザの前
◆7.若松公園
鉄人28号の等身大モニュメントが展示されています。
鉄人28号を横からみたアングル
◆9.大橋町
◆15.昭和筋商店街
◆24.大正筋商店街
◆25.大正筋商店街
神戸市は漫画「三国志」の作者である横山光輝氏の出身地であること、そして関羽を祀る「関帝廟」や、中華街「南京街」があることから、商店街の中には三国志ガーデンがありました。
関羽の像も置かれています。
平和な空気が流れる商店街で、コロッケを買ってみました。
お肉屋さんのできたてコロッケとメンチカツ。地元でも人気のあるお店だそうです。
こぼれたコロッケのかけらをつつきにくるハトの群れ。のんびりとした空気が流れ、もはや震災の爪あとを感じることはほとんどありません。そんな時代だからこそ、このようなアプリが必要になるのかもしれません。
◆37.JR新長田駅東口
◆「新長田 北地区」 4.西代筋商店街
いまだ東日本震災の被害が残る福島エリアの光景、そして近い未来に起こると予想される東南海地震など、日本は地震の被害と切っても切れない関係にあります。記憶を風化させないこと、そして日本は常にこのような災害と隣り合わせの国だという認識を忘れず、「災害は忘れた頃にやってくる」と被害に備えることが重要と、改めて感じさせてくれるアプリです。
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