メモ

空飛ぶ無人機の監視運用によって全国初の逮捕者が出る

by Gerald L Nino

ノースダコタ州で6頭の牛を盗んだとして一家6人が逮捕されましたが、その逮捕のきっかけになった証拠が無人機によって撮影されたものだったということで話題を呼んでいます。

First Man Arrested With Drone Evidence Vows to Fight Case - US News and World Report



Local cops used Predator drone to arrest North Dakota farm family for 'stealing 6 cows' | Mail Online



もともと軍事目的で開発された無人機ですが、今や警察や消防での運用も行われており、2015年には商業利用も解禁されることになっています。無人機の価格が従来用いていた警察車両と大して変わらず、ヘリと比べれば安価であり、また、火災現場の状況確認として運用したときに二次災害を防げるなどの理由もあって導入が進められています。

【鼓動】米無人機の非軍事利用、本格化へ+(1/7ページ) - MSN産経ニュース

事件が発生したのは2011年夏。ノースダコタ州のラコタという小さい町で、Brossarts一家が営む3000エーカーの牧場に3頭の雌牛と3頭の子牛が迷い込みました。近辺を担当するグランドフォークス警察のKelly Janke保安官らは牛を追いかけていましたが、Brossarts一家の牧場に牛が入ったことで追跡を諦めることになりました。このとき、牧場主のRodney Brossart容疑者は「牛は我々が持っていていいはずだ」と考え、2人の息子を伴ってライフルで保安官を追い払いました。


一方、保安官らは家畜が迷い込んだことを報告しなかったとしてRodney容疑者らを逮捕することに決定。すぐに近くのグランドフォークス空軍基地に連絡して無人機を手配してもらいました。グランドフォークス空軍基地ではアメリカカナダ国境のパトロールに無人機(MQ-9 リーパーか)を用いているのですが、グランドフォークス警察にはヘリコプターが配備されていないため、必要時には呼び出してOKということになっているそうです。

こちらのムービーで、実際にどのような無人機が使われているのか、どういった映像を撮影可能かといった事例が報告されています。

The Coming Drone Revolution: What You Should Know - US News and World Report


この無人機によって、Janke保安官は牧場内の様子を監視、Brossart容疑者らが武器を手放すまで待機していました。その間にグランドフォークス警察は捜査令状を手配、SWATチームを編成して牧場へと向かわせました。そして16時間後、SWATチームが牧場へ突入し、Brossart容疑者と3人の息子を牛の窃盗、および保安官に対する脅迫などの罪で逮捕しました(最終的には一家6人を逮捕)。

Brossart容疑者らは、このSWATチーム突入は無人機の利用による「明確な」違法行為だったと主張しています。一方で当局側は、無人機の使用は捜査令状が出されたあとで、SWATの突入と逮捕を安全に行うためのサポートだったと主張しています。

ブルッキングズ研究所で無人機による情報収集を専門としているJohn Villasenor氏は、あくまで無人機はヘリコプターと同じようなものであり、法廷がこの事件を棄却するようであれば「閉口する」とコメント、「この事件は無人機によって初めて逮捕されたケースかもしれないが、これが最後のケースということにはならないだろう」と続けました。

ちなみにBrossart一家は反政府主義者として地元でも知られる一家だったそうです。

政府は5月14日までに当局への無人機利用許可を出さねばならず、現時点でグランドフォークスのSWATチームを含む約300の当局機関や研究チームが一時利用許可証を保有しています。

凶悪犯への対応を考えるとこういった無人機による監視が有効なケースも考えられますが、プライバシー保護の観点から恣意的な運用を危惧する声も出ています。究極的には、高速道路の上空を無人機がびゅんびゅん飛び回り、速度監視装置が設置されていないような場所でスピード違反している車を摘発したりするようにもなるのでしょうか。

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in メモ,   動画, Posted by logc_nt

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