一生交換不要の心拍駆動型ペースメーカーが開発される

心臓の動きで発電して駆動するペースメーカーが開発されました。従来であれば交換か追加が必要なペースメーカーですが、今回のタイプは一生使える可能性があるとして期待されています。
Self-sustaining leadless intracardiac pacemaker powered by triboelectric nanogenerator | Science Advances
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.aef8903

Heartbeat-Powered Pacemaker Could Last a Patient’s Lifetime | Inside Precision Medicine
https://www.insideprecisionmedicine.com/topics/translational-research/heartbeat-powered-pacemaker-could-last-a-patients-lifetime/
従来のペースメーカーで一般的なのは「経静脈ペースメーカー」と呼ばれるタイプで、鎖骨付近にバッテリー駆動型のデバイスを植え込み、静脈から心臓までリードを通して拍動を促すものです。これに加え、近年では心臓に直接植え込む「リードレスペースメーカー」と呼ばれるタイプも使われています。ただ、いずれもバッテリーが7~10年しか持続せず、経静脈ペースメーカーではバッテリーの交換が、リードレスペースメーカーでは交換ができないため新規の植え込みが必要になります。
ウィスコンシン大学マディソン校のペンフェイ・チェン氏らが開発したのは、心臓の動きで電力を得ることで交換を不要にするリードレスペースメーカーです。
チェン氏らは互いに反対の電荷を持つ一対の電極板からなる振動子からエネルギーを回収する「ナノ発電機」を設計しました。これは、心臓の動きによって電極板が互いに近づいたり離れたりすることで発生する電荷を、ペースメーカーの電力供給に使用するか、小型のコンデンサーに蓄えることができる代物だそうです。

実験室での試験では、ナノ発電機がペースメーカーを動作させるのに十分なエネルギーを生成できることが示されました。その後、チェン氏らはこのデバイスをブタに1カ月間植え込み、有害反応を引き起こすことなく、心臓への刺激を正常に行えることを確認しました。

ただ、ブタの心臓内では、ナノ発電機が生成したエネルギーは実験室での試験よりも少なくなりました。軟らかい組織によって動きが減衰したほか、実験室環境で最大出力を生み出していた「真っすぐ上下に動くパターン」が心臓の複雑な動きによって妨げられたことが原因だと考えられています。
研究を監督したシュドン・ワン氏は「心臓の不規則な動きを効率的に変換する方法を明らかにしたいと考えています。これにより、心臓から十分かつ安定したエネルギーを生成できることを実証し、私たちの目標に近づくことができます」と述べました。

今回のペースメーカーはシンプルな設計で、比較的低コストで製造でき、生涯にわたって使用できる堅牢性も備えているとのこと。チェン氏は「何百万回、何千万回と振動し続けながら、動きを維持できるよう、安定性と柔軟性のバランスをどう取るかを考える必要がありました」と指摘。ワン氏は「今回の技術では、これまでのナノ発電機と比べて、1桁高い出力密度を実現しました」と語りました。
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in サイエンス, Posted by log1p_kr
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