無料で読める東日本大震災の実体験に基づく「災害初動期指揮心得」、発災後1時間・1日・1週間に指揮官が取るべき行動とは?

大規模災害が発生すると、災害対応を指揮する立場の人は事前に定めた防災計画で想定されていない事態についても発災直後から決断を迫られます。国土交通省東北地方整備局が東日本大震災で得た経験知を基に「発災後1時間・1日・1週間に指揮官が取るべき行動」をまとめた書籍「災害初動期指揮心得」がKindleで無料公開されています。
震災伝承館 災害初動期 指揮心得
https://www.infra-archive311.thr.mlit.go.jp/kokoroe.html

2011年3月11日に東日本大震災が発生した際、救援ルートの確保や被災自治体への支援、物資調達などの災害対応に当たった東北地方整備局は、そこで得た経験知を内部資料として整理し、地方整備局の各クラスの指揮官に向けた具体的な行動指針「災害初動期指揮心得」を作成しました。
2015年の東北地方整備局の記者発表(PDFファイル)によると、「災害初動期指揮心得」の紙の書籍は2013年8月から一般社団法人東北地域づくり協会が公益事業として有償で販売しており、2015年2月9日にはAmazonの協力で電子書籍化、日本語版と英語版の無料Kindle配信が始まりました。英語版は国際協力機構(JICA)によって作成され、地方整備局やJICAなどで危機管理の研修教材として使われているとのことです。
「災害初動期指揮心得」がまとめられた目的は以下の3つ。
・東日本大震災を実体験した人にしか分からない「経験知」を関係者で共有する
・防災計画に沿った復旧・復興が軌道に乗るまでの最初の1週間を乗り切るための指針とする
・首都直下地震や東海・東南海・南海地震などに備える地方整備局の各クラスの指揮官が心得ておくべき指針とする
東北地方整備局は「東日本大震災では過去の災害を研究して対策を立て、訓練していたことしか実際には役に立たなかった」と振り返りつつも、災害の様相は毎回異なるため、過去の教訓に精通した上で自由自在に応用する必要があると説明。「備えていたことしか、役には立たなかった。備えていただけでは、十分ではなかった」と記しました。

「災害初動期指揮心得」は全211ページ、以下の6章で構成されています。
◆第1章 地方整備局の使命
・第1節 災害に関する地方整備局の使命
・第2節 各クラス指揮官の使命
◆第2章 発災後1時間
・第1節 発災後1時間以内にとるべき行動
・第2節 初動体制の確立
第1項 参集者による最初の体制
第2項 不在幹部の復帰
第3項 職員全体の意識共有
第4項 災害対策本部
・第3節 初動の指示
第1項 情報収集(体制)
第2項 情報収集(管理施設)
第3項 防災ヘリコプターの活用
第4項 情報発信の準備
第5項 リエゾン派遣(県・自衛隊)
第6項 記録
◆第3章 発災後1日間
・第1節 発災後1日以内にとるべき行動
・第2節 救援ルートの確保準備
第1項 道路啓開の準備
第2項 航路啓開の準備
第3項 建設会社と機材の手配
・第3節 地域支援準備
第1項 リエゾン派遣準備(市町村)
第2項 避難民の保護
◆第4章 発災後1週間―作戦行動編―
・第1節 発災後1週間以内にとるべき作戦行動
・第2節 体制の確立
第1項 指揮命令系統の確立
第2項 状況に応じた体制の拡充
第3項 TEC-FORCEの派遣
・第3節 救援ルートの確保
第1項 道路啓開
第2項 航路啓開
第3項 緊急排水
・第4節 地域支援
第1項 リエゾン派遣(市町村)
第2項 災害対策機器の派遣
第3項 物資調達
・第5節 原子力発電所事故対応
◆第5章 発災後1週間―後方支援編―
・第1節 発生後1週間以内にとるべき後方支援
・第2節 ロジスティックス
第1項 通信確保
第2項 職員・家族の支援
第3項 資材・人員の輸送
第4項 食糧確保
第5項 燃料確保
・第3節 情報発信
第1項 記者発表・取材対応
第2項 国内外からの視察対応
第3項 インターネットの活用
・第4節 関係機関との連携
第1項 自衛隊との連携
第2項 海上保安本部等との連携
第3項 建設業界との連携
・第5節 迅速な復旧の準備
第1項 通常工事の一時中止
第2項 緊急随意契約
◆第6章 補足
・第1節 功労者の表彰
・第2節 体制の縮小
Kindle版は以下から無料で入手できます。
Amazon.co.jp: 東日本大震災の実体験に基づく 災害初動期指揮心得 電子書籍: 国土交通省 東北地方整備局: Kindleストア

以下はAmazon.co.jpに寄せられた「災害初動期指揮心得」のレビューを一部抜粋したものです。
東日本大震災の初動対応において、どのように対応し、何が成功し、何が反省だったのかを行政がまとめて整理した本。単純な災害対策の本として読むのではなく、有事に向けた平時の備え、組織論、緊急時の心構えなど参考になる部分も多い。個人的には、管理職をきちんととれ、部下に休息を取らせろ、食事に気を使え、同じ場所で飯を食え、といった点が、有事・平時にかかわらず普遍的に使える考え方だと感じた。
地域の防災を考える際の参考に入手しました。行政の現場を指揮する立場から、大震災が起こった際のリアルな対策・反省点を綴ってあり、参考になりました。写真や地図等も使ってあり、教訓を後世に伝えようとする著者の心意気が伝わってきました。
職場の総務担当者や安全担当の方は、一読しておいて損は無いと思います。書かれているのは基本的なことで、「言われなくても分かっている」ことなのですが、何を準備しておいて、どう行動すればよいのかを、順序だてて整理してあるので、とても分かり易いです。
余計な主観は込められておらず、事実と結果をもとに、適切な推論も交えて書かれており、非常に読みやすい。かと言って淡々と述べられているというわけでもなく、震災当時の焦りと混乱と決断の連続がひしひしと伝わってくる。
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in メモ, Posted by log1b_ok
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