アート

世界最古の物語「ギルガメシュ叙事詩」が刻まれた約3500年前の粘土板が盗掘品だったと判明

by Lucas

アメリカ連邦検察が、ワシントンDCの聖書博物館に展示する目的で美術商が購入した約3500年前の粘土板について、「イラクから盗まれた文化遺産」と述べ、イラクへの返還を求める訴えを裁判所に提出しました。

Gilgamesh complaint (FINAL 2020-May-7).docx
(PDFファイル)https://www.justice.gov/usao-edny/press-release/file/1277316/download


U.S. Authorities Say Hobby Lobby's Gilgamesh Tablet Is 'Stolen,' Must Go Back To Iraq : NPR
https://www.npr.org/2020/05/19/858605788/u-s-authorities-say-hobby-lobbys-gilgamesh-tablet-is-stolen-must-go-back-to-iraq


問題となった粘土板が以下。


訴状によれば、粘土板は古代メソポタミアに書かれた人類史最古級の神話「ギルガメシュ叙事詩」の一部が記述されたもの。粘土板の存在は2001年以前に明らかになっており、ヨルダンの古物商が中東から直接入手したのが最初の記録とのこと。

その後、アメリカのディーラーがくさび形文字の専門家に鑑定を依頼し、ヨルダンの古物商から粘土板を含むいくつかの美術品をおよそ5万ドル(約530万円)で購入。さらに2007年になって、45万ドル(約4800万円)で他の美術商の手に渡ることとなりました訴状によれば、この時すでに粘土板の出自証明書が偽造されており、「1981年のサンフランシスコのオークションで、青銅の箱の破片と共に出品されたもの」となっていたそうです。


さらに2013年、粘土板の所有者が大手オークション会社に連絡し、出品を希望。しかし、アメリカの骨董品ディーラーはオークション会社の担当者に対して「粘土板の出自が精査できないので、公開オークションには適さないだろう」と進言したそうです。そして、美術商のHobby Lobbyが2014年に大手国際オークションでおよそ160万ドル(約1億7000万円)で粘土板を落札。その後は聖書博物館に展示されていました。

しかし、2017年にHobby Lobbyが脱税で300万ドル(約3億2000万円)の罰金を科された際に、聖書博物館に展示されている美術品のいくつかがイラクにある未知の遺跡から盗掘されたものだったことが判明。今回の粘土板の他にもパピルスの断片5000点と粘土板6500点がイラクで盗掘されたものだったとわかりました。

by Ron Cogswell

聖書博物館の理事長であるスティーブ・グリーン氏は連邦当局に協力し、2019年に、移民・税関執行局のエージェントが粘土板を押収。記事作成時点ではニューヨークにある移民・税関執行局の倉庫に収納されているとのこと。

ニューヨーク州東部地区連邦検事のリチャード・ドノヒュー氏は「盗まれた文化財が見つかった場合、アメリカ政府は返還するなどして文化財の保存に全力を挙げます。今回の事例では、ある大手オークション会社が『イラクの重要な文化財の出所が捏造されている可能性、そして出所の信頼性を損なう購入者情報』によって売れなくなる懸念を最小限に抑えるため、義務を果たさなかったために起こった事件です」と述べています。

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in アート, Posted by log1i_yk

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