FBIが建設したサイバー攻撃をシミュレーションするための小さな町「Kinetic Cyber Range」の内部が公開される

FBIは2025年2月に、捜査官、分析官、鑑識専門家のデジタル捜査能力を高めるための街「Kinetic Cyber Range」を設立しました。設立以来1400人以上の訓練生を訓練してきたというKinetic Cyber Rangeの内部が2026年6月に初めて公開され、訓練の詳細などについてFBIが語っています。
Inside the FBI’s Kinetic Cyber Range — FBI
https://www.fbi.gov/news/stories/inside-the-fbis-kinetic-cyber-range
Inside the FBI's Kinetic Cyber Range - YouTube

FBIにおけるデジタル捜査は長年、机上でツールや技術を学んで現場で応用するのが通例となっていました。しかし、実際のシナリオでは住宅・ホテルの部屋・電力会社・病院といった施設や機器・ネットワークを事件・事案と結び付けて捜査する必要があります。
そこでFBIは2025年2月に、約2040平方メートルでバスケットボールコート約5面分の広さがある訓練環境施設「Kinetic Cyber Range」を開設しました。

Kinetic Cyber Rangeを管理するFBIのデイブ・ビーチボード氏は「これは、人々が現場に出る前に得られる、限りなく現実的な訓練です。以前はすべてが理論中心で、教室から出る必要は全くありませんでした。しかし、あるデータセンターでは200台以上のサーバーが稼働しており、Windowsで稼働しているサーバーもあれば、Linuxで稼働しているサーバーもあります。そのため、Kinetic Cyber Rangeで捜査シナリオを解決することで、訓練生はデータセンターを捜査するとはどういうことかを体験できるのです」と語っています。
そして、新たに公開されたKinetic Cyber Rangeの内部の様子が以下。家具付きの住宅が建設されており、例えばあるシナリオでは訓練生たちはインターネットに接続された機器が複数配置された家の中を歩き回り、何を押収して何を残すかを決定する訓練を実施しています。

そのほかには裁判所。

ホテル、ガソリンスタンド。

データセンターやビジネスセンター、ゲームセンターなどがあります。

ビーチボード氏によると、これらの施設は外観だけではなく、稼働しているシステムなども限りなく現実的なものにしているそうです。
現実に近い施設で具体的なシナリオの演習をこなすことで、技術的なスキルを習得するだけではなく、ストレスのかかる状況下でそれらのスキルを応用する能力、判断力、自制心などを鍛えることを目標としています。シナリオは過去の事例研究に基づいて、できる限り現実的なものになるよう努めているそうです。
サイバー訓練を運営する部隊を率いるステファニー・カシオッピ氏は「私たちの捜査や作戦の成功には、サイバー部隊を構成する様々な専門分野の職員が協力して働くことが不可欠です。あるシナリオでは、訓練生たちは経営者・役員・法務チームなどの役を演じるロールプレイング参加者とコミュニケーションをとり、自分たちの対応とその理由を説明する練習をします。また別のシナリオでは、模擬ランサムウェア攻撃によって病院のネットワークがロックダウンされ、技術的な問題と人的な問題の両方に対処することを強いられます。我々は訓練生にKinetic Cyber Rangeで失敗を経験してもらいたいと考えています。これは学習の機会です」と語りました。
Kinetic Cyber RangeはFBI専用の施設ではなく、NASAやアメリカ陸軍、複数の地元法執行機関などがこの施設で訓練を実施しています。
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