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国防総省がサプライチェーンリスクに指定したAnthropicにGoogle・Amazon・Microsoftが防衛関連以外で協力表明、一方「なぜ指定したのか」について国防総省のAI担当者が語る


AIの軍事利用を巡りアメリカ国防総省と意見が対立したAnthropicが「サプライチェーンリスク」に指定された問題で、複数のテック企業がAnthropicとの提携を継続すると表明したことが分かりました。

Microsoft says Anthropic’s products remain available to customers after Pentagon blacklist
https://www.cnbc.com/2026/03/05/microsoft-says-anthropics-products-can-remain-available-to-customers-after-security-risk-designation.html

Anthropicは政府機関向けに自社AI「Claude」のカスタムモデル提供しつつ、「国民の大規模監視」および「完全自律型兵器の開発」は明確に禁止していました。国防総省は規制の緩和を打診しましたが、Anthropicが拒否したため、国防総省は関係解消か制限撤廃の二択を迫ることになります。結果的にAnthropicが固持したことで国防総省は関係解消の道を選び、おまけにAnthropicを国内企業には適用したことがない「サプライチェーンリスク」に指定して政府機関での使用を制限する報復措置を執りました。

AI企業のAnthropicが「アメリカの国家安全保障に対するサプライチェーンリスク」に正式に指定される、Anthropicは法廷闘争を宣言 - GIGAZINE



国防総省がAnthropicをサプライチェーンリスクに指定したため、「軍と取引するいかなる契約者、サプライヤー、パートナーもAnthropicとのあらゆる商業活動を行ってはならない」と定められることとなります。しかし、Microsoft・Google・Amazonはそれ以外の業務で、Anthropicとの提携を継続すると表明しました。

例えばMicrosoftは自社ツールのアドオンとしてClaudeを統合し、さまざまな政府機関に提供しています。MicrosoftはClaudeを排除せず、広報担当者を通じて「当社の弁護士が検討した結果、Claudeを含むAnthropicの製品は、Microsoft 365、GitHubなどのプラットフォームを通じて、国防総省以外の当社の顧客に引き続き利用可能であり、当社は引き続きAnthropicと防衛関連以外のプロジェクトで協力できるという結論に達しました」との声明を発表しました。


Googleも、「国防総省の決定は、当社がAnthropicと防衛関連以外のプロジェクトで協力することを妨げるものではないと認識しています。同社の製品はGoogle Cloudなどの当社のプラットフォームを通じて引き続き利用可能です」と述べました。Amazonは「Amazon Web Servicesのお客様とパートナーは、国防総省に関連しないすべてのワークロードでClaudeを引き続きご利用いただけます」と述べています

Anthropic所属でClaude Codeのプロジェクトマネージャーを務めるNoah Zweben氏は、Microsoft、Amazon、Googleに言及しつつ「困難な時期は、本当の友だちが誰かを教えてくれる。ありがとう」と述べました。


ところで、国防総省はなぜAnthropicをサプライチェーンリスクに指定するまでに至ったのか、なぜAnthropicの安全措置を嫌って「AIのあらゆる合法的な使用」を求めたのかについて、国防総省のAI担当責任者であるエミール・マイケル氏が重要な事実を語っています。

Inside the Culture Clash That Tore Apart the Pentagon’s Anthropic Deal
https://www.piratewires.com/p/inside-pentagon-anthropic-deal-culture-clash

マイケル氏いわく、AnthropicのAI利用規約は複雑で、想定されるAIの利用方法についていちいちAnthropicにお伺いを立てるという状況が生じていたとのこと。

例えばマイケル氏が想定した状況が「ドローンの大群が襲いかかってきたが、人間には防御しようがなく、AIを活用した防衛システムなら対応できる」というものでした。Anthropicはこの状況で例外として使用を認めたそうです。

2つ目の状況が「極超音速のミサイルが迫っていて、90秒以内に行動しなければならず、AIでしか対応できない」といったものでした。これに対しAnthropicは「例外かもしれないが、そのときはいつでも電話してくれ」と言ってきたとのこと。もちろん実際にこのような状況が起きた場合、悠長に電話で確認することなどできるはずもありません。

マイケル氏はこのようなシナリオを繰り返し検討しましたが、Anthropicは常に「利用規約の範囲外の事案はAnthropicの判断に委ねられるべきだ」という姿勢を崩さなかったそうです。そのため、国防総省は「あらゆる例外を検討することはできない」として、「あらゆる合法的な使用」を認めるようAnthropicに求めたとのことです。


また、Anthropicが「国民の大規模監視と完全自律型兵器の開発」に焦点を当て、この点で国防総省と意見が対立したと発表したことについて、マイケル氏は「恣意的なものではないか」と疑問を感じているそうです。

いわく、国防総省は大規模監視など望んでいないにもかかわらず、まるで望んでいるかのようなレッテルを貼られたとのこと。マイケル氏は「我々はFBIでも国土安全保障省でもなく、大規模監視については我々の仕事ではありません」と主張しています。さらにマイケル氏は「インターネットから大規模にデータをスクレイピングして個人のプロファイルを構築するのはむしろAnthropicがやっていることでは」と付け加えています。

ただ、マイケル氏は完全自律型兵器の開発については否定していません。マイケル氏は「軍のゴールデンドーム構想」について言及し、「音速の5倍で飛行する物体をAIで検出し、宇宙空間から撃墜する」という仕組みを計画していると話しました。この点で、AIの完全自律化は不可欠で、Anthropicもそれに同意したとのことです。

マイケル氏は「国防総省が国民の大規模監視と完全自律型兵器の開発という恐ろしい目的を推進しているという説がメディアで繰り返し語られたため、これは情報作戦ではないか」という信念を抱くようになったそうです。


これらに加え、Anthropicと国防総省の交渉においては、何か議論するたびにAnthropicが議題を自社の「政治局」と倫理委員会に持ち帰るという行動を繰り返したため、マイケル氏は「面倒」だと感じていたといいます。

極めつけは、交渉が決裂すると思われた時期に、Anthropicから連絡もなしに一方的に「国防総省との交渉が決裂した。我々はAIのあらゆる合法的な使用を認めることはできない」というブログを投稿した一件でした。マイケル氏によれば、交渉の最中に行われたとみられるこのブログ投稿は、ドナルド・トランプ大統領とピート・ヘグゼス国防総省長官を激怒させたとのことです。この翌日、トランプ大統領は全ての連邦政府機関に対し、てAnthropicの技術の使用を6カ月かけて段階的に停止するよう命じました。そして、2026年3月6日にAnthropicをサプライチェーンリスクに指定しました。

Anthropicのダリオ・アモデイCEOがAI安全保障問題で国防総省の要求を拒否 - GIGAZINE


マイケル氏は「AnthropicのAIが、Anthropic自身の体質、精神、政策の好みに合わせてプログラムされるのではないかという、本物の恐怖がありました。たとえば、Anthropicが自社の政策目標とイデオロギーをモデルに組み込んで、『死んでほしくない人にはレーザーミサイルを作動させないようにする』といった動作にすればどうなるでしょうか?それはサプライチェーンのリスクです」と語りました。

ある専門家は、AIが核兵器と同等の威力を持つ兵器になると予想されることから、国防総省がAI企業に圧力をかけるのは「武力行使の独占権」を維持するためで、国民国家が存在し、その基本的な機能を遂行するためには必要不可欠なことだと指摘しています。

If AI is a weapon, why don't we regulate it like one?
https://www.noahpinion.blog/p/if-ai-is-a-weapon-why-dont-we-regulate

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in メモ, Posted by log1p_kr

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