Googleが地球環境マッピングAI「AlphaEarth Foundations」を発表、農作物や森林破壊などの状況を迅速にマッピング可能

Google DeepMindが、膨大な量の地球観測データを統合して地球規模の地図を作成できるAIモデル「AlphaEarth Foundations」を発表しました。また、AlphaEarth Foundationsによって作成されたデータを「Satellite Embedding V1」としてデータセットにまとめ、Google Earth Engineで公開しています。
AlphaEarth Foundations helps map our planet in unprecedented detail - Google DeepMind
https://deepmind.google/discover/blog/alphaearth-foundations-helps-map-our-planet-in-unprecedented-detail/
AI-powered pixels: Introducing Google’s Satellite Embedding dataset | by Google Earth | Google Earth and Earth Engine | Jul, 2025 | Medium
https://medium.com/google-earth/ai-powered-pixels-introducing-googles-satellite-embedding-dataset-31744c1f4650
Satellite Embedding V1 | Earth Engine Data Catalog | Google for Developers
https://developers.google.com/earth-engine/datasets/catalog/GOOGLE_SATELLITE_EMBEDDING_V1_ANNUAL?hl=ja#description
毎日、人工衛星は情報豊富な画像や測定データを取得し、科学者や専門家にほぼリアルタイムの地球の姿を提供しています。しかし、人工衛星で取得できるデータは複雑で、多様な形式で構成されており、そして更新頻度もバラバラ。そのため、1つのデータセットとしてまとめるのは難しいという問題がありました。
Google DeepMindが発表したAlphaEarth Foundationsは、仮想の人工衛星のように機能する新しいAIモデルです。このAIは、光学衛星画像、レーダー、3Dレーザーマッピングといった数十種類もの公開ソースから得られる膨大な地球観測データを統合し、「埋め込み(embedding)」と呼ばれる単一のデジタルデータに変換します。これにより、地球全体の陸地と沿岸水域の状況を10メートル四方の高解像度で正確かつ効率的に分析し、時間経過に伴う変化を驚くべき精度で追跡することが可能になります。

以下は、エクアドルの衛星写真から農地の情報をマッピングした写真。AlphaEarth Foundationsの埋め込みフィールド64次元のうち、3次元に赤・緑・青を割り当てています。

以下はAlphaEarth Foundationsで生成した南極大陸の地表。衛星画像が不規則なため、従来の技術だと南極大陸の地表は画像化が困難とされていたそうですが、この写真では地形が見事に立体的に描かれています。

さらに、AlphaEarth Foundationsは、各区画の情報を他のAIシステムと比べて16分の1という極めてコンパクトなデータに要約でき、地球規模での分析コストを大幅に削減します。これによって、データ過多や情報の一貫性の欠如といった従来の課題が解決され、科学者たちは森林破壊、食料安全保障、都市の拡大といった重要な問題を監視するために、詳細で一貫性のある地図をオンデマンドで作成できるようになります。
そして、AlphaEarth Foundationsを搭載したGoogle Earth Engineの「Satellite Embedding V1」は、年間1兆4000億を超える埋め込みフットプリントを誇る、この種のものとしては最大級のデータセットです。この年次埋め込みのコレクションは、国連食糧農業機関、ハーバード大学、地球観測に関する政府間会合、MapBiomas、オレゴン州立大学、スタンフォード大学といった世界中の組織によってすでに活用されているとのこと。
特にブラジルでは、MapBiomasがSatellite Embedding V1をテストし、国全体の農業および環境の変化をより深く理解しようとしています。この種の地図は、アマゾンの熱帯雨林のような危機に瀕した生態系における保全戦略や持続可能な開発計画に、重要な情報を提供するそうです。
Google DeepMindは、「私たちはこのモデルを使って年次埋め込みを生成していますが、将来的にはGeminiのような汎用的な大規模言語モデル(LLM)エージェントと組み合わせることで、さらに有用性が高まると信じています。私たちは、地球が抱える最も重要な課題に取り組むための地理空間モデルとデータセットのコレクションであるGoogle Earth AIの一環として、このモデルの時間軸に基づいた能力を応用する最善の方法を引き続き探求していきます」と語りました。
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in AI, ソフトウェア, サイエンス, Posted by log1i_yk
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