取材

和紙や紙幣の原料・ミツマタが咲き誇るという三重県津市の新名所「ミツマタ群生地」に行ってきた


2006年に行われた「平成の大合併」によって、三重県では10市町村が参加する大型の合併が行われ、新たな「津市」が誕生しました。このとき合併された津市美杉町(元・美杉村)には、和紙や紙幣の原料であり、春に黄色い花をつけるミツマタの群生地があります。1950年代中頃から植えられていたものですが、2012年に行われた間伐が大規模なものだったことからミツマタの数が一気に増えたという「新名所」だとのことで、どんなところなのか見に行ってきました。

美杉の新名所「ミツマタ群生地」へようこそ | 津市
https://www.info.city.tsu.mie.jp/www/sp/contents/1517810351164/index.html

公共交通機関での到達を目指して、松阪駅にやってきました。


美杉町へ向かうにはJR名松線を利用します。伊勢奥津方面へ向かう列車は1日7本で、このほかに早朝にある途中の家城行きは、家城駅で伊勢奥津行きに連絡します。今回はこの家城行きに乗車しました。


名松線は雲出川(くもずがわ)沿いをどんどんと山の方へと向かっていきます。


家城駅で、向かいのホームに停車している伊勢奥津行きに乗り換えます。なお、家城行きは2両編成でしたが、伊勢奥津行きは1両編成でした。


家城駅の近くに白山高校があって、学生が多数降りていきました。


ほとんどが観光客という風情の人々を乗せて、車両は美杉町エリアへ入っていきます。


名松線は2009年10月の台風18号で大きな被害を受け、特に家城駅から終点の伊勢奥津駅までの区間は実に6年半にわたりバス代行となっていました。復活したおかげで、ミツマタを公共交通機関だけで見に行けるようになっています。

台風被害で5年近く不通のJR名松線の現状はどうなっているのか見てきた - GIGAZINE


再び車窓から見えた雲出川。


比津駅に着くと、他の席から「ミツマタが咲いている」との声。外を見ると、確かに樹が花をつけています。


この下の方、フェンスに近いところにあった黄色い花がミツマタ。まさか群生地に着く前に見られるとは思いませんでした。


比津駅の次が伊勢奥津駅。終点です。


ミツマタシーズンの土曜・日曜・祝日は、おおむね列車に合わせるようにして津市コミュニティバスの臨時便が運行されます。朝は列車が8時59分に到着して、バスが9時5分に出るというピッタリの乗り継ぎでした。

津市 - 津市コミュニティバスの運行について
https://www.info.city.tsu.mie.jp/www/contents/1613350325498/index.html

ミツマタ群生地に最寄りの下垣内までは5分ほど。運賃は200円、ICカード類は使えません。バスはこの先10分ほどのところにある、奈良県御杖村の敷津まで行きます。


大きな案内図があるので、これに従って歩いて行きます。車で来たとしても、ここから先は生活道路で幅が狭いため、案内図の裏にある臨時駐車場に車を止めて歩くことになります。


ミツマタ群生地まで、下垣内のバス停から1000m。


道なりに進んでいくと、左への矢印と「あと900m」という看板がありました。分岐にはこの矢印が用意されていたので、迷うことはないはずです。


看板をすぎてすぐのところ、進行方向右手側に少しだけミツマタが生えていました。


少しきつめの坂を上っていくと「あと850m」との表示。


ほどよく汗ばむぐらいの歩きを続けて「あと450m」に。


ずっと舗装路が続いてきたのですが、このあたりで道が非舗装になります。


非舗装になってからはしばらく分岐はなく、「ようこそ、ミツマタ群生地へ」という看板に到達。この左手側が階段状になっていて、上ると群生地の遊歩道につながっています。右は引き続き同じような非舗装路があって、展望デッキに続いています。展望デッキへの道の方が広いので、今回は直進しました。


すぐに道路が分岐して、左は舗装路で急な上り坂に、右は非舗装路でなだらかな上り坂になっていました。ここは左がミツマタ群生地への道で、右は津市美杉町と奈良県御杖村にまたがる学能堂山(がくのどうやま)登山道入口への道となっています。


坂を上ると東屋があります。


東屋の向かいにある低木がミツマタ。これは……。


間伐したところに植えられているということで、日当たりがいいところのものはつぼみがふくらんでいましたが、まだ「咲いている」とまではいかない状態。


東屋のところから少し上へ進むと展望デッキがあります。


展望デッキからミツマタ群生地を見回すとこんな感じ。来る時期が早すぎて、まだまだ咲くのはこれからというところ。

津市美杉町のミツマタ群生地を2025年3月中旬に訪問した様子 - YouTube


そこここに、小さなつぼみがまさに開こうとしている姿が見られました。


群生地の中を通るように遊歩道が設けられているのですが、満開のシーズンだと通れるのでしょうか……?


ぐるっと遊歩道を歩いてきて、先ほど「ようこそ、ミツマタ群生地へ」という看板が出ていた地点の上まで戻ってきました。切り株の上に忘れられた水筒、無事持ち主の元へ帰れるとよいのですが。


なお、下垣内のバス停に向かって下っていく途中も、複数のミツマタが見られました。


周りに遮蔽物がなく日当たりがいいこともあって、かなり黄色く色づいていました。


下垣内のバス停まで戻ってきました。通常のコミュニティバスはいずれも平日の曜日限定運行で、土日に訪れた際に利用することはできません。


臨時バスは伊勢奥津駅で名松線と接続できるダイヤになっているのですが、今回は名松線で松阪に戻るのではなく、バスを乗り継いで「名松線」の名前のもとになった名張へ抜けることにしました。しかし、乗り継ぐバス停である敷津へ向かう津市コミュニティバスも、敷津から名張駅前へ向かう三重交通のバスも本数がそう多くありません。下垣内から敷津まではバスだと10分ほどですが、歩くと1時間以上かかる上に、結局敷津から乗るバスは同じになるということで、いったん近い伊勢奥津駅まで戻って時間調整することにしました。

下垣内から伊勢奥津駅方面に進んですぐ、道はバスが走ってきた国道(左)と伊勢本街道(右)に分かれます。


伊勢本街道にはこのように、常夜灯などが設けられています。


伊勢本街道はいったん国道に合流し、奥津の集落のところで再び右に分かれます。


このあたりの家々の玄関には「伊勢本街道奥津宿のれん街」として、かつての屋号を掲げたのれんが掲げられています。


駅前通りの正面にある「ぬしや」のところまで戻ってきました。「ぬしや」は日用雑貨やタバコなどを扱うよろず屋でした。


正面、道路の突き当たりが伊勢奥津駅です。


駅の手前に大きな空き地がありました。ここは「奥津劇場」という映画館の跡だそうです。


駅構内に入ると、ミツマタ群生地のパンフレットと、「ミツマタ ミニ写真集」が置かれていました。


ミニ写真集と名乗るとおり、美杉町の境光司さんが撮影した写真をまとめたリーフレットです。境さんは自分のサイトでミツマタ群生地三多気の桜の開花情報を更新しています。境さんの情報によれば、先ほど忘れられていた水筒は、少なくとも3月15日からあるようです……。


駅構内に掲示されていた過去の伊勢奥津の写真。


名張駅前行きの三重交通のバス。2014年の訪問時には朝の1本だけに減っていましたが、その後、2021年3月末で廃止されています。このバスがあれば名張への移動は楽だったのですが、わざわざ名張へ抜けようとする人はそう多くなかったものとみられます。


駅周辺をうろうろ。駅の西側にある給水塔は、かつて蒸気機関車が運行されていたときに使われていたものです。


駅西側に隣接する観光案内交流施設「ひだまり」。前回の訪問から10年以上が経過し、外観に渋みが出てきました。


ひっそりと「祝・全線復旧 名松線 2019年3月26日 松阪ー伊勢奥津」のヘッドマークが置かれていました。


時間が来たのでバスに乗り、敷津へ向かいます。「美杉循環ルート」はワゴン車での運行でした。


敷津に到着。バス停の周囲をぱっと見てもランドマークはありませんが、そのまま進んでいくと「道の駅 伊勢本街道御杖」があります。


農産物直売所の「街道市場みつえ」のほか、温泉施設「みつえ温泉姫石の湯」も併設されていて、さらに温泉施設横には食事ができるセルフコーナーうぐいすが設けられていて、多少の待ち時間が発生しても問題なし。なお、火曜日はお休みです。


これは「鹿カルビ焼肉丼」。みそ汁、冷ややっこ、厚揚げと青菜の煮物、漬物がついて1500円。


厚みのある鹿フライを使った「鹿フライカレー」はサラダ付きで1300円。ごはん大盛のものもありますが、ノーマルでもかなりごはんは多めでした。


三重交通の敷津から名張駅前までの便は平日が1日6便、土休日は1日4便。今回はおよそ3時間待って、名張駅前行きのバスに乗車。


出発地点の敷津は奈良県御杖村ですが、出発してすぐ、再び三重県津市美杉町の太郎生地区に入ります。名松線は雲出川沿いを走っていましたが、このバスは名張川沿いを走っていくことになります。

比奈知ダムで形成された「ひなち湖」。


バスは湖のうち3辺を回り込んで、比奈知ダムの横を下っていきます。


敷津から名張駅前までは54分でした。

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in 取材,   動画, Posted by logc_nt

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