サイエンス

大きな鳥だからといって必ずしも「知能が低い」とは限らないとの実験結果、ただしダチョウは壊滅的


カラスやオウムは非常に知能が高いことで有名な一方で、飛べないか、または飛ぶのが上手ではない大型の鳥は賢くないというイメージを持たれがちです。しかし、「世界で最も愚かな鳥」と呼ばれてきたエミューなどの地上性の鳥にパズルを解かせる実験により、こうした比較的原始的な鳥類にも学習により知識を拡張する「イノベーション能力」が備わっていることが確かめられました。

Palaeognath birds innovate to solve a novel foraging problem | Scientific Reports
https://www.nature.com/articles/s41598-025-88217-8

February : Big bird intelligence | News and features | University of Bristol
https://bristol.ac.uk/news/2025/february-/big-bird-intelligence-.html

Palaeognath Birds are Capable of Technical Innovation, Study Shows | Sci.News
https://www.sci.news/biology/palaeognath-birds-technical-innovation-13694.html

「カラスやオウムは問題解決力が高いことが多くの研究で示されていますが、これらの鳥類はすべて同じ系統である新顎(しんがく)類に属しています。問題は、これらの鳥類の実験を繰り返せば繰り返すほど知識の『エコーチェンバー』が作られ、他の種の鳥は知能が低いという誤った印象が与えられてしまうことです」と指摘するのは、イギリス・ブリストル大学のフェイ・E・クラーク氏です。

賢いともてはやされることが多い新顎類に対し、主に飛べない鳥で構成されている古顎(こがく)類は一般的に「鳥頭(bird-brained)」と呼ばれ、知能が低いとみなされてきました。しかし、新顎類と古顎類の知能についての研究の数には大きな偏りがあり、単に古顎類にも知能があることが判明していないだけの可能性もあります。

より祖先に近く、恐竜(鳥類型恐竜)の認知モデルを理解する上でも重要な古顎類の知能について調べるため、研究チームはイギリスのノアズ・アーク動物園で暮らす「エミュー」「レア」「ダチョウ」の3種の鳥類にパズルを解かせる実験を行いました。

実験の内容は、回転するホイールでフタをされた透明な容器のポケットにエサを入れ、ホイールに1つだけ開いた穴とポケットの位置を合わせてエサを入手させるというもの。


シンプルなパズルですが、被検体となった鳥たちにとってはまったく新しい経験なので、この課題は動物が柔軟な認知力に基づく「革新(イノベーション)」の能力を持つかどうかを評価するものだと位置づけられています。

エミュー3羽、レア2羽、ダチョウ4羽の合計9羽にこのパズルを解かせたところ、3羽のエミューと1羽のレアがホイールを回すというイノベーションを発揮し、90%のケースで最も効率的な方向、つまりエサと穴が最も近い方向にホイールを回すことができました。

by Fay Clark

また、1羽のレアは中央のボルトを外してパズルを破壊し、エサを一気に入手するという予想外の行動を2回も見せましたが、研究チームはこれを「2番目のタイプのイノベーション」と評価しています。

以下の動画を再生すると、パズルに挑戦している鳥たちの様子を見ることができます。

Emu solves puzzle - YouTube


ホイールの穴とエサが入ったポケットの位置がずれているので、そのままではエサを食べることができません。


くちばしでホイールを回転させて、見事に大好物のレタスをゲットしました。


パズルを解体するという荒技を見せた個体もいました。この個体も、後できちんとパズルを解いたそうです。


なお、ダチョウは4羽ともこのパズルを解くことができませんでした。

実験結果について、クラーク氏は「私たちは古顎類のイノベーションを、カラスやオウムに見られるイノベーションほど複雑ではない、低レベルもしくは単純なものに分類しています。それでも、これは非常に重要な発見です。なぜなら、これまで古顎類がイノベーションを見せたことは報告されておらず、古顎類は愚かな鳥類だという見方が一般的だったからです。私たちの研究により、それは真実ではなく、鳥類におけるイノベーションの能力はこれまで考えられていたよりはるかに早く進化した可能性があることを示唆しています」と話しました。

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in サイエンス,   生き物,   動画, Posted by log1l_ks

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