「週末に手術を受けると死にやすい」といううわさは本当だということが判明

医師といえど人間なので、週末の予定やレジャーの計画で頭がいっぱいになると手元がおろそかになってしまうかもしれませんし、連休が近づくと医師たちが休みをとってしまって優秀な人材が不足するかもしれません。週末に治療を受けた患者の転帰が悪い傾向があるという「週末効果」を検証した新しい研究により、華の金曜日や大型連休の直前に手術を受けた患者は、週明けに手術を受けた患者に比べてあからさまに予後が悪いことが判明しました。
Postoperative Outcomes Following Preweekend Surgery | Surgery | JAMA Network Open | JAMA Network
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2830842
Do weekends really affect surgical outcomes?
https://medicalxpress.com/news/2025-03-weekends-affect-surgical-outcomes.html
カナダを中心とした複数の病院の医師らによる研究チームは、アメリカ医師会が刊行する医学雑誌・JAMA Network Openに掲載された今回の研究で、2007年1月1日から2019年12月31日までの間にカナダのオンタリオ州で外科手術を受けた患者42万9691人の術後の経過を調査しました。
手術日を金曜日または長い連休の直前である「週末前」と、月曜日または連休明けである「週末後」にわけて、短期(術後30日)・中期(術後90日)・長期(術後1年)の転帰を評価したところ、週末前に手術を受けた患者は合併症を患ったり、再入院を余儀なくされたり、死亡したりする確率が有意に高いことが判明しました。

具体的には、週末前に手術を受けた患者は週末後の患者に比べて死亡、合併症、再入院を経験する可能性が、評価期間にかかわらず5~6%高かったとのこと。特に死亡リスクは時間がたつにつれて悪化していき、30日後では9%、90日後では10%、1年後では12%も高くなりました。
手術の内容を踏まえた分析では、予定日が決まっていた手術や、緊急性が高くない手術を週末前に受けた患者は、術後の転帰が悪くなりがちだということがわかっています。そのため、いつ手術を受けるか選べる場合は、なるべく月曜日や連休明けにしたほうがいいかもしれません。
その一方で、週末前に緊急手術が行われた場合、週末後よりもわずかに転帰が良好だったこともわかりました。逆に言うと、緊急性が高い場合は週末後の方が転帰が悪いということです。これは、緊急手術が週末前にできず週末後まで延期されるようなケースの影響が考えられることから、研究者らは「即座の介入は緊急来院した患者にとって有益です」と指摘しています。
また、オペに臨む医師の傾向も手術のタイミングによって若干異なっており、週末前に手術を行った外科医の年齢の中央値が47歳であったのに対し、週末後では48歳でした。また、開業してからの年数の中央値は週末前が14年だったのに対し、週末後は17年でした。つまり、週末後に手術をする医師の方がやや経験豊富な傾向が見られました。

なぜ金曜日に手術をすると患者が死ぬ可能性が高くなるのかはまだはっきりとは確認されていませんが、今回の研究結果は週末効果に関する他の類似研究とおおむね一致しています。
研究チームは論文に「さまざまな国の複数の医療システムで広く週末効果が見られるということは、原因が多様であることを物語っており、おそらく人員配置、サービスの可用性、ケアの調整における障害といったシステムレベルの要因がその一因となっているのでしょう」と記しました。
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in サイエンス, Posted by log1l_ks
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