AIで労働者を監視し奴隷のように搾取する動画がディストピアすぎて大炎上

ベンチャーキャピタルのY Combinatorが支援するスタートアップ「Optifye.ai」が「AIを使って工場労働者のパフォーマンスを監視するシステム」を開発しています。Y Combinatorがこのデモ映像をソーシャルメディアで公開したところ、大きな批判を受けたため、デモ映像を撤回しました。
Y Combinator deletes posts after a startup's demo goes viral | TechCrunch
https://techcrunch.com/2025/02/25/y-combinator-deletes-posts-after-a-startups-demo-goes-viral/
AI for sweatshops? YC startup flamed for deleted product demo
https://sfstandard.com/2025/02/25/ycombinator-startups-surveillance-backlash-garrytan/
Y Combinator Supports AI Startup Dehumanizing Factory Workers
https://www.404media.co/optifyeai-ycombinator-startup-ai-factory/
Y Combinator deletes video promoting AI factory worker monitoring startup - San Francisco Business Times
https://www.bizjournals.com/sanfrancisco/news/2025/02/25/y-combinator-deletes-ai-video-optifyeai.html
Y Combinator backtracks from controversial AI factory surveillance startup - Gazetteer SF
https://sf.gazetteer.co/y-combinator-backtracks-from-controversial-ai-factory-surveillance-startup
Optifye.aiはデューク大学でコンピュータサイエンスを専攻するKushal Mohta氏とVivaan Baid氏が設立したスタートアップです。Mohta氏とBaid氏は両方とも、インドに住む家族が製造業を営んでおり、幼い頃から工場の製造ラインに触れてきたとのこと。Mohta氏は「家族がさまざまな産業で複数の製造工場を経営しており、15歳の頃から製造ラインに無制限にアクセスしていました」と述べています。
Optifye.aiが開発しているのは、AIと監視カメラを組み合わせることで、工場労働者のパフォーマンスをリアルタイムで追跡するシステムです。製造ライン上に設置されたAI搭載カメラが工場労働者の動きを監視し、誰が働いていて誰が働いていないかを現場監督にリアルタイムで通知します。Mohta氏とBaid氏は、「このシステムが製造工場が抱える最大の問題である労働生産性の低下を解決し、生産責任者に頼る必要性を排除するのに役立つ」と主張しました。
Y Combinatorは2025年2月25日に、Optifye.aiが開発するシステムのデモ映像を、自身の公式X(旧Twitter)アカウントとLinkedInアカウントに投稿しました。この映像はY Combinatorの2025年冬期支援プログラムに参加するスタートアップを紹介する目的で公開されたものです。
YC Sweatshop AI Tracking startup || YCombinator || Optifye.ai - YouTube

工場の上司(演:Mohta氏)がシステムの画面を見て、工場の6番ラインの効率が37%に落ちていることに気付きます。

工場の上司は、すぐに現場監督(演:Baid氏)に連絡します。

現場監督がシステムをチェックすると、工場にある監視カメラの映像から、6番ラインの17番にいる労働者が足を引っ張っているとAIが推測しました。

この推測を受けて、現場監督が「17番!どうしたんだ?」と声をかけると、17番の労働者は「一日中働いています」と回答。

しかし、システムをチェックすると1時間当たりの生産量がノルマに到達しておらず、効率がわずか11.4%だったことが判明。そのため、現場監督が「一日中働いていた?これはひどいぞ」と注意します。

この映像を受けてソーシャルメディア、特にXでは「SaaS (Sweatshops-as-a-Service、サービスの搾取工場)」「コンピュータービジョンで搾取するソフトウェア」「これは文字通り、労働者から最後の一滴まで絞り出すために設計された搾取ツールだ」などの批判するユーザーが続出。また、Y Combinatorが運営するソーシャルニュースサイトのHacker Newsにも、Optifye.aiのシステムを批判するコメントが集中しました。
批判はテクノロジー業界や投資家からも挙がっており、ベンチャーキャピタルであるLitquidityの創設者でインフルエンサーとしても知られるHank Medina氏は「Y Combinatorの投資プログラムで最初に目立ったのは間違いなく、搾取と奴隷労働の生産性を最適化するAIプラットフォームを開発したOptifye.aiだ」とコメントしています。
An early standout from the latest YC batch is definitely Optifye, the AI platform for optimizing sweatshops & slave labor output pic.twitter.com/JfD01TfVev
— litquidity (@litcapital) February 25, 2025
批判が集まったことを受けて、Y CombinatorはOptifye.aiのデモ映像を投稿したポストをXとLinkedInから削除しましたが、デモ映像はすでに複数のアカウントによって保存されており、ソーシャルメディア上で拡散されています。
なお、TechCrunchをはじめとするメディアは、YcombinatorとOptifye.aiの両方にコメントを要請しましたが、いずれも返答はなかったとのことです。
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in ソフトウェア, ネットサービス, 動画, Posted by log1i_yk
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