人間は恥ずかしい時にはAIとの対話を好むが怒っている時は他の人間との対話を好むという研究結果

近年はカスタマーサポートや社内の技術サポートなどで、人間ではなくAIのチャットボットが導入される事例が増えています。アメリカのカンザス大学の研究チームが行った実験では、人間は恥ずかしい問題に対処する時にAIのチャットボットを好む一方、怒りを覚えている時は人間との対話を望むことが判明しました。
Consumers’ Emotional Responses to AI-Generated Versus Human-Generated Content: The Role of Perceived Agency, Affect and Gaze in Health Marketing: International Journal of Human–Computer Interaction: Vol 0, No 0 - Get Access
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/10447318.2025.2454954

Study finds people prefer AI chatbots when discussing embarrassing health info — but humans when they are angry | KU News
https://news.ku.edu/news/article/study-finds-people-prefer-ai-chatbots-when-discussing-embarrassing-health-info-but-humans-when-they-are-angry
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックでは、ワクチンやソーシャルディスタンス、その他さまざまなトピックについて情報が入り乱れ、人々の怒りや恥ずかしさといった感情を喚起しました。
たとえば、政治的な分断やワクチン接種の義務化といった社会的圧力、日常生活の混乱、ワクチンの安全性や有効性に対する疑念などが、一部の人々に怒りを感じさせました。一方、自身の知識不足や誤った情報を信じてしまった経験、周囲がワクチン接種した中で自分だけ接種していない不快感、ワクチン接種状況を申告する時の気まずさなどにより、恥ずかしさを覚えたという人もいます。
今回カンザス大学の研究チームは、被験者に怒りや恥ずかしさを感じさせる動画を見せた後、ワクチンについてAIまたは人間と話し合わせる実験を行いました。論文の筆頭著者であり、ジャーナリズムとコミュニケーションを研究しているVaibhav Diwanji助教は、「私は、AIまたは人間が提供する情報が、人々の意思決定にどのように影響するのかに興味があります。COVID-19のパンデミックは、この問題を考えるのに理想的だと思いました。残念なことにパンデミックは非常に政治的なものとなり、多くの誤報や偽情報が出回っていました。また、人々はこの話題について怒りや恥ずかしさを抱く傾向がありました」と語っています。

研究には100人の被験者が参加し、まずはCOVID-19のワクチン接種およびブースター接種についての態度が調査されました。その後、家庭内暴力を取り上げた「怒りを喚起する動画」や、エロティックなシーンを映した「恥ずかしさを喚起する動画」、そして自然を撮影した「中立的な動画」のいずれかを見せられました。
この際、被験者の視線はアイトラッキングソフトウェアで追跡され、人々が動画のどこに注目しているのか、どのような表情を浮かべているのかが測定されました。Diwanji氏は、「アイトラッキング技術は、人々がどのように感じているかを口頭で表現しにくい場合に、明示的に尋ねることなく人々の感情を追跡する優れた方法です」と述べています。
その後被験者は、Diwanji氏が設計したAIチャットボットか人間の研究者にランダムで割り当てられ、COVID-19のワクチン情報について話しました。最後に被験者は、「ワクチンに関する情報を得るために、AIと人間のどちらを使用したいと思うか」という質問に答えました。

実験の結果、動画の影響で恥ずかしさを感じていた被験者は人間ではなくAIチャットボットを好むと答え、怒りを感じていた被験者は人間を好むと回答しました。この研究結果は、AIと人間のどちらにも利点があり、被験者の感情に基づいてアプローチを変えた方が効果的であることを示唆しています。
Diwanji氏は、「AIチャットボットには偏見がないと認識されており、人々は恥ずかしいと感じている時にチャットボットを好むと答えています」「デジタル化が進んで感情への意識が高まった世界では、研究者やマーケティング担当者はテクノロジーと感情的洞察を融合させる必要があります。怒りや恥ずかしさといった感情を理解し、それに対応して活用する能力は、消費者満足度を向上させるだけでなく、消費者と長期的な関係を築く人間味のある体験を生み出すでしょう」と語りました。
・関連記事
AIはわずか2時間の対話で人間の性格をコピーできる - GIGAZINE
ChatGPTやGeminiのようなAIチャットボットとの会話に共感を覚えてしまう言語トリックをコミュニケーションの専門家が解説 - GIGAZINE
学校のカウンセラー不足を解消するために「AIと人間のハイブリッドチャットボット」の導入が進んでいる - GIGAZINE
AIの方が人間より陰謀論者の説得が得意、ChatGPTとの会話で陰謀論への信念が永続的に揺らぐとの研究結果 - GIGAZINE
ChatGPTのアクティブユーザーが週当たり4億人に到達 - GIGAZINE
人々はAIが生成した物語に本能的な嫌悪感を持っており人が書いた物語より没入できないことが判明 - GIGAZINE
シェイクスピアかChatGPTか?人間は本物よりもAIの詩を好むことが研究で判明 - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in ソフトウェア, ネットサービス, サイエンス, Posted by log1h_ik
You can read the machine translated English article Research reveals that people prefer to t….