Xのコミュニティノートは新型コロナワクチンに関しては97%が正確だった、コミュニティノートの利点と課題とは?
Metaのマーク・ザッカーバーグCEOが、Metaが運営するFacebookやInstagramにコミュニティノート機能を取り入れる予定だと2025年1月に発表し、話題となりました。ロンドン大学で衛生熱帯医学を研究するアダム・クチャースキ教授が、X(旧Twitter)での事例をもとにコミュニティノートの可能性と課題について考察しています。
Facebook Without Fact-Checkers Will Put Truth to the Test - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-01-17/facebook-without-fact-checkers-will-put-truth-to-the-test
近年、ソーシャルメディア上でのファクトチェック介入は、新型コロナウイルス感染症の脅威によって加速し、強化されています。もちろんファクトチェックによって削除された投稿の多くは、根拠のない陰謀論や非科学的で危険な主張など、誤情報と呼ぶにふさわしいものでした。しかし、中にはエビデンスがあって正確性の高い情報までも誤ってチェックされてしまうこともありました。
2021年8月4日、Instagramのファクトチェッカーはイベルメクチンに関する投稿を削除しました。この投稿は、医学研究を収集・要約する非営利団体のコクランによるもので、「入手可能なデータを徹底的に検討した結果、イベルメクチンが新型コロナウイルス感染症の治療薬として有効であることを裏付ける証拠は見つからなかった」というものでした。
コクランはInstagramの決定に異議を申し立てましたが、削除からおよそ1年が経ってから「該当の投稿はコミュニティガイドラインに違反している」という通知が送られてきたとのこと。この間、コクランのアカウントはシャドウバンされていたため、他のユーザーからのメンションが一切なかったそうです。
一方、X(旧Twitter)では、SNSプラットフォームではなくユーザーコミュニティがファクトチェックを行う「コミュニティノート」が採用されています。
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「コミュニティノート」は、一部のユーザーが投稿に対してノートを書き、それを他のユーザーが役立つか否かを評価するという点が特徴。さらにこのシステムでは、ユーザーがノートを「役立つ」または「役立たない」と評価し、その評価が最終的な全体の判断と一致した場合にポイントを獲得します。逆に、「役立たない」と評価したノートが最終的に「役立つ」とされた場合は1ポイントを失い、「役立つ」と評価したノートが最終的に「役立たない」とされた場合は2ポイントを失うというルールになっています。
実際にコミュニティノートの効果について、2024年の研究によると、専門家が新型コロナウイルスワクチンに関するコミュニティノートをランダムに205件抽出して評価したところ、97%が正確であることが判明。また、そのおよそ半数が科学論文などの質の高い情報源を引用していたことが分かったとのこと。
クチャースキ教授は、コミュニティノート機能を成立させるためには「賢い群衆」が必要であり、そのためには「他者の影響を受けることのない評価の独立性」と「参加者の視点や知識の多様性」が求められると指摘。その上で、Xにおけるコミュニティノート機能は、基本的にこの条件を満たしており、多様なユーザーからの合意が必要とされることで、体系的な偏りが軽減されていると述べています。
しかし、コミュニティノートは基本的に独立した評価と多様な視点を重視していますが、同じトピックに関する他の投稿の影響を受ける可能性があります。また、普段は多様な意見を持つユーザーであっても、特定のトピックについては偏った評価をしてしまう可能性があるとクチャースキ教授は指摘しています。
また、クチャースキ教授によれば、誤った情報を含む投稿を発見して数時間以内にノートを付けても、その時点では既にユーザー全体からの投稿への関心が薄れており、十分な数のユーザーから評価を得られないケースが多かったとのこと。その結果、投稿が訂正されないまま放置されてしまうという課題もあります。
さらに、クチャースキ教授は、新型コロナウイルスワクチンに関するコミュニティノートで97%という高い正確性が達成されているものの、数百万人のユーザーが危険な情報に晒される可能性がある中で、この数字は十分といえるのかを疑問視しました。加えて、正確性の判断が難しいコンテンツへの対応も課題として挙げています。
クチャースキ教授は、コミュニティノートが持つ可能性を認めながらも、タイミング、評価の質、精度の基準、複雑な内容への対応など、複数の課題を抱えていると指摘しました。
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in ネットサービス, Posted by log1i_yk
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