TikTokがルーマニア大統領選挙を扇動し国を危機に陥れた極右選挙活動ネットワークを解体したと欧州議会に報告
ルーマニアで行われている大統領選挙において、ショート動画アプリ・TikTokの干渉により、極右・親ロシア派・無所属の候補が得票率1位を獲得するという事態が起きています。これを受け、ルーマニア当局は国内でのTikTokの一時停止を要請していたのですが、TikTokは欧州議会に対して選挙に悪影響をおよぼしたネットワークの解体に成功したと報告したことが明らかになりました。
TikTok tells European Parliament that it dismantled networks of accounts targeting Romanian audience | Romania Insider
https://www.romania-insider.com/tiktok-european-parliament-accounts-targeting-romanian-audience-2024
Audierea TikTok în Parlamentul European: Reprezentanții companiei susțin că a fost destructurată săptămâna trecută o rețea de 78 de conturi care țintea publicul român / 66 de mii de conturi false, închise din septembrie
https://www.g4media.ro/audierea-tiktok-in-parlamentul-european-reprezentantii-companiei-sustin-ca-a-fost-destructurata-saptamana-trecuta-o-retea-de-78-de-conturi-care-tintea-publicul-roman-66-de-mii-de-conturi-false-inc.html
TikTok removed 3 influence campaigns during Romania’s elections – POLITICO
https://www.politico.eu/article/tiktok-removed-3-influence-campaigns-during-romania-elections-european-parliament/
2024年11月24日から始まったルーマニアの大統領選挙において、第1回投票で極右・親ロシア派・無所属の候補であるカリン・ジョルジェスク氏が得票率1位を獲得しました。これを受け、ルーマニアの国家通信管理規制局(ANCOM)が、選挙プロセスの操作に関する国家機関による調査が完了するまで、ルーマニア国内におけるTikTokの一時停止を要求していることが報じられています。なお、この投票結果を受けて、同国の憲法裁判所は票の再集計を命じました。
「TikTok動画が選挙結果に与える影響が大き過ぎる」としてルーマニア規制当局がTikTokの一時停止を要求、大統領選挙で親露・極右の無所属候補がTikTokで扇動し1位になったため - GIGAZINE
EUでは2024年2月17日にデジタルサービス法(DSA)が施行されています。DSAはソーシャルメディアや電子商取引サイトなどのデジタルサービスプロバイダーに対して、違法コンテンツ、オンライン偽情報、その他の社会的リスクに対抗するための厳格な義務を課すものです。DSAに基づき調査および制裁を課す権限を持つ欧州委員会(EC)は、いくつかの大規模オンラインプラットフォームがこれらの義務をどのように果たしているかを調査しています。
特に、ルーマニアで行われている大統領選挙では、情報操作や第三者によるデータアクセスに関して、TikTokの採用しているリスク管理プロセスが疑問視されていました。そして現地時間の2024年12月3日、欧州議会の域内市場・消費者保護委員会は、ヨーロッパ、特にルーマニアでの大統領選挙における状況を鑑み、TikTokがEUのデジタル規則をどのように施行しているのかについて、TikTokの代表者に質問しました。
これに対して、TikTokの代表者は「選挙に関するコンテンツでルーマニアの視聴者をターゲットにしていた複数のアカウントを削除した」と欧州議会に返答したことが明らかになっています。具体的には、ルーマニアの有権者をターゲットにした2つのキャンペーンと、ロシア政府が支援するメディアである「スプートニク」と過去に関連があったことが確認されている既知のキャンペーンを削除したと報告したそうです。
TikTokによると、ルーマニア国内で展開された2つのキャンペーンでは、78のアカウントと1781人のフォロワーを持つひとつのネットワークがカリン・ジョルジェスク氏を宣伝しようとしており、12のアカウントが別の無所属候補であるミルチャ・ジョアナ氏を宣伝しようとしていたそうです。さらに、スプートニクが関与するキャンペーンでは、14万人近いフォロワーを持つ11のアカウントが含まれていた模様。なお、スプートニクのアカウントはTikTok上で禁止されていますが、新しいアカウントが定期的に開設されているそうです。
現地メディアのG4Mediaによると、TikTokの信頼性と透明性に関するグローバル製品責任者を務めるブリー・ペガム氏は、欧州議会に「9月から昨日までの間に、6万6000件の偽アカウントと複数の偽フォロワーを削除しました。政治家になりすました偽チャンネルもあります。26万件のスパム投稿もブロックし、偽情報の拡散防止と可能な限り正しい情報の確保に常に努めています」と語っています。
なお、ペガム氏はルーマニア大統領選の候補者全員がTikTokによる監視の対象となったと主張しており、「TikTokのシステムは政党を持つ候補とそうでない候補を区別しなかった」と語っています。
TikTokの公共政策ディレクターを務めるキャロライン・グリア氏は、「インフルエンサーが政治的なコンテンツを宣伝するために報酬を受け取ることは当社の規則に違反するものです」と語りました。また、グリア氏はTikTokがルーマニア大統領選の数カ月前からルーマニアの規制当局と連絡を取り合い、選挙妨害に対処するための措置を講じてきたと明かしています。
グリア氏によると、TikTokでは95人のルーマニア人コンテンツモデレーターが働いており、他のプラットフォームよりも圧倒的に現地人モデレーターを多く雇用しているとして、自社の大統領選へのアプローチを擁護しました。なお、TikTokは2024年10月にルーマニア大統領選に無所属候補として出馬したミルチャ・ジョアナ氏を調査するよう要請を受けたことも明かしています。
ダリア氏は「TikTokは選挙管理局や政党などとの会議も行いました。ダブリンの事務所にルーマニア政府の代表団を迎え入れたこともあります。我々は当局との対話を続けており、今後も継続します」と語っています。
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