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「TikTok動画が選挙結果に与える影響が大き過ぎる」としてルーマニア規制当局がTikTokの一時停止を要求、大統領選挙で親露・極右の無所属候補がTikTokで扇動し1位になったため


2024年11月24日から12月8日まで大統領選挙が行われるルーマニアで、極右・親ロシア派・無所属の候補が第1回投票で得票率1位だったことを受けて、ルーマニアの国家通信管理規制局(ANCOM)が、選挙プロセスの操作に関する国家機関による調査が完了するまで、ルーマニア国内におけるTikTokの一時停止を要求したと報じられています。

ULTIMA ORĂ Vicepreședintele ANCOM cere suspendarea TikTok pe teritoriul României | PROFIT.ro
https://www.profit.ro/stiri/politic/ultima-ora-vicepresedintele-ancom-cere-suspendarea-tiktok-pe-teritoriul-romaniei-21850361

Romania regulator calls for TikTok suspension amid vote interference fears | Romania | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2024/nov/27/romanian-regulator-tiktok-suspended-cyber-interference-election-georgescu

TikTok CEO summoned to European Parliament over role in shock Romania election – POLITICO
https://www.politico.eu/article/elections-tiktok-ceo-eu-parliament-romania-election-fake-accounts-pro-russia-calin-georgescu-nato-shock-victory/

2024年11月24日に開催されたルーマニアの大統領選挙の事前世論調査では、連立与党の中道左派で現職首相であるイオン=マルチェル・チョラク氏が首位。次いで極右ルーマニア統一同盟のジョルジュ・シミオン氏が有力候補となっていました。

しかし、選挙の最終結果は、投票者数が946万5257人で、投票率は52.55%で、首位は得票率22.94%のカリン・ジョルジェスク氏でした。なお、過半数の票を獲得できなかったため、12月8日に決選投票が行われる予定です。

by UN Geneva

ジョルジェスク氏は、事前世論調査だと支持率がわずか5%でしたが、政党によるバックアップを受けていないことから、TikTokを中心に選挙運動を展開。教会に通う様子や柔道をする様子、ポッドキャストで論じる様子をムービーで公開し、のべ160万件のいいね!を集めています。

ジョルジェスク氏は極右・親ロシア派の支持を集めている無所属の候補で、EUに対して懐疑的な姿勢を示しており、TikTokでも「NATOは世界で最も弱い同盟」「ルーマニアに設置されるNATOの弾道ミサイル防衛システムは外交の恥」「ロシアから攻撃されても、NATOは加盟国を一切守らないだろう」「ルーマニアが前進するためには『ロシアの英知』を取り入れ、ウクライナに対するルーマニアの援助を停止するべき」などと主張しています。


11月24日の最終結果を受けて、ANCOMのパベル・ポペスク副長官は「選挙プロセスの不正操作に関する証拠に基づいて調査を行い、この調査が完了するまでルーマニア国内でのTikTokの停止を要請しました」とコメントし、ルーマニアの常設選挙管理局を通じてTikTok側に一時停止を要請したことを明らかにしました。

実際、TikTokにはジョルジェスク氏の肖像をアイコンに設定したボットが大量に出現しているという指摘があります。


また、「ジョルジェスク氏は宣伝用のアカウントで組織化されたネットワーク、そして有料広告であることを示さずに間接的に政治家をアピールするインフルエンサーのグループを政治運動に利用し、他の候補者が11カ月で築いた知名度をわずか2カ月で集めた」と指摘されており、同時に無所属で党のバックアップを受けていないジョルジェスク氏がどこからそんな資金を捻出したのかが疑問視されています。


ルーマニアの国家防衛評議会は「選挙プロセスを支えるインフラに対する国家および非国家のサイバー主体の行動によって生じる国家安全保障への潜在的なリスクを分析する」と述べています。さらに、国家視聴覚評議会もTikTokの役割を調査するように欧州委員会に求め、「世論操作」と「特定候補者を支持する投稿のアルゴリズムによる増幅」が疑われるとしています。

チョラク首相は「ジョルジェスク氏のTikTokでの政治活動への資金提供は見直す必要があります。どの程度合法なのかはわかりませんが、TikTokというシステムがどのように使われたかは理解しています。私の意見では、資金源は追跡されるべきであり、お金の流れを追うべきです」とコメントしました。

こうした騒動を受け、EUからは「ルーマニアのケースは警鐘だ。TikTokにおける過激化と偽情報は欧州全土で起こり、有害な結果をもたらす可能性がある」という意見が挙がっており、EUの有力議員が「TikTokの周受資CEOを欧州議会に召喚すべき」と主張しています。

なお、TikTokは「一連の報道は不正確で誤解を招くものです。ジョルジェスク氏は他のデジタルプラットフォームでも選挙活動を行っていました」と述べ、世論調査とアルゴリズムによる増幅についての疑惑を否定しています。

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in ネットサービス, Posted by log1i_yk

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