カナダ当局がGoogleをオンライン広告での反競争的行為で提訴し広告ツール売却や罰金支払いを求める
カナダの競争局が2024年11月28日、Googleがオンライン広告市場における優位性を違法に乱用したとして、競争審判所(Competition Tribunal)に提訴したと発表しました。競争局はGoogleに対し、広告技術(アドテク)ツールの売却や罰金の支払いなどを求めています。
Competition Bureau sues Google for anti-competitive conduct in online advertising in Canada - Canada.ca
https://www.canada.ca/en/competition-bureau/news/2024/11/competition-bureau-sues-google-for-anti-competitive-conduct-in-online-advertising-in-canada.html
Canada's antitrust watchdog sues Google alleging anti-competitive conduct in advertising | Reuters
https://www.reuters.com/technology/canadas-antitrust-watchdog-sues-google-alleging-anti-competitive-conduct-2024-11-28/
Canada’s competition watchdog suing Google over advertising
https://www.thestar.com/politics/federal/canadas-competition-watchdog-sues-google-over-online-advertising/article_33a787ce-adcb-11ef-aa23-0b28f36e2247.html
Googleは検索市場だけでなくオンライン広告市場でも強い存在感を放っており、近年は徐々にシェアを減らしているものの、2024年の時点でも検索広告市場のシェアの約50%を維持しています。すでにアメリカでは、Google広告に関する反トラスト法訴訟の裁判が2024年9月からスタートしています。
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by Thomas Hawk
カナダ競争局は新たな声明で、「競争局はカナダのオンラインアドテクサービスにおける反競争的行為について、Googleに対する法的措置をとっています」と述べ、Googleに対してアドテクツールの売却や罰金の支払いを求めることを発表しました。
ユーザーがウェブサイトにアクセスした際に表示されるオンラインウェブ広告は、ウェブサイトを運営するパブリッシャーの重要な収益源になっています。デジタル広告枠は高度なプラットフォームを通じた自動オークションで売買され、これらのプラットフォームは「アドテクツール」、売買プロセス全体で使用されるツールスイート全体は「アドテクスタック」と総称されます。
カナダ競争局の調査により、カナダではGoogleがアドテクスタック全体で最大のプロバイダーであり、市場支配力を維持することを目的として支配的な地位を乱用していることがわかりました。カナダ競争局が問題視している点として、「市場支配力を維持するために、さまざまなアドテクツールを違法に結びつけたこと」「自分たちのツールに広告在庫を優先的に割り当てたこと」「ライバルに不利になる特定の状況で赤字の売買を行ったこと」「自社のパブリッシャーがライバルのアドテクツールと取引する際の条件を規定したこと」が挙げられています。
カナダ競争局は、「私たちの主張はこれらの反競争的行為により、Googleはその優位性を確固たるものにし、ライバルの競争を防ぎ、イノベーションを阻害し、広告費を膨らませ、パブリッシャーの収益を減らしたというものです」と述べました。
カナダ競争局は競争審判所に対し、以下の命令を実行するように求めています。
・Googleに2つのアドテクツールの売却を命じる。
・競争法の順守を促進するため、Googleに罰金の支払いを命じる。
・Googleが反競争的行為を継続することを禁止するよう命じる。
競争局のコミッショナーであるマシュー・ボズウェル氏は、「競争局による広範な調査の結果、Googleがカナダのオンライン広告における支配的な地位を乱用し、市場参加者を自社のアドテクツールの使用に閉じ込め、競合他社を排除し、競争プロセスをゆがめていることが判明しました。Googleの行為は、競合他社が自分たちの提供するメリットで競争するのを妨げ、カナダの広告主、パブリッシャー、消費者に不利益をもたらしています」と声明で述べました。
これに対しGoogleのグローバル広告担当ヴァイスプレジデントを務めるダン・テイラー氏は、競争局の主張は広告の買い手と売り手が持つ多くの選択肢と激しい競争を無視していると主張。「当社のアドテクツールは、ウェブサイトやアプリがコンテンツに資金を提供し、あらゆる規模の企業が新規顧客に効果的にリーチできるよう支援しています」とコメントしました。
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