物議を醸したWindows 11の「Recall」機能のテストがついにスタート
2024年5月にMicrosoftが発表した操作履歴検索AI「Recall」は、セキュリティやプライバシーの観点から懸念の声が相次いだことを受け、Microsoftは2024年6月18日のCopilot+ PCリリース時点での搭載は見送り、2024年10月から試験的に配信する予定でしたがこれも見送り、2024年12月のリリースを目指すと宣言していました。そして2024年11月22日、MicrosoftはようやくWindows Insider向けにRecallのプレビュー版をリリースしました。
Previewing Recall with Click to Do on Copilot+ PCs with Windows Insiders in the Dev Channel | Windows Insider Blog
https://blogs.windows.com/windows-insider/2024/11/22/previewing-recall-with-click-to-do-on-copilot-pcs-with-windows-insiders-in-the-dev-channel/
You can now try Microsoft’s Recall AI feature on a Copilot Plus PC - The Verge
https://www.theverge.com/2024/11/22/24302947/microsoft-recall-windows-insider-testing-dev-channel-click-to-do
Microsoftは2024年5月21日に、PCにAIを統合した「Copilot+ PC」という新たな製品カテゴリを発表し、その目玉機能として「Recall」を搭載することを明かしました。Recallは、ユーザーによるPC上の操作を定期的にスクリーンショット撮影し、光学式文字認識(OCR)でスキャンしてデータベースに保存することで、ユーザーが後から操作履歴を確認できるようにするという機能です。
MicrosoftがWindows 11の新AI機能「Recall」を発表、PCで見たもの行ったことをすべて記録しあとから検索できるパワフルすぎるAI検索機能 - GIGAZINE
しかし、Recallによってユーザーが入力したパスワードや銀行口座番号などの機密情報が保存され、ハッキングによる情報漏えいのリスクがあることから、イギリスのデータ監視機関が調査に乗り出すなど、世界中でRecallのリスクに関する議論が行われ、これを受けてMicrosoftはRecallのリリース延期と機能の見直しを行うことを発表していました。
その後、「スクリーンショットなどのRecall関連の情報は常に暗号化される」「暗号化キーはTPMで保護され、特殊な仮想化ベースのセキュリティ空間でのみ操作可能」などのセキュリティ対策やプライバシー対策について公開したMicrosoftは、2024年10月からWindows Insider向けに試験的にRecallをリリースすることを発表しました。
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そして2024年11月22日に、MicrosoftはWindows Insider向けに「Windows 11 Insider Preview Build 26120.2415(KB5046723)」をリリース。この更新プログラムでは、Copilot+ PCにおいてRecallが利用可能になっています。
Recallを起動すると、初回実行エクスペリエンスが表示され、スクリーンショットの保存にオプトインを求めるほか、Windows Helloへの登録が求められます。そのほか、BitLockerとセキュアブートの有効が必要です。
初期設定が完了すると、スクリーンショットの撮影頻度を調整できるほか、撮影の一時停止、詳細なステータス情報の表示が可能になります。
Recallの機能の1つである「Click to Do」では、撮影したスクリーンショット内のテキストをクリップボードにコピーできたり、選択したテキストを好みのアプリケーションで開いたりすることなどが可能。また、スクリーンショット上のURLをブラウザで開く機能や、認識したメールアドレスにメールを送信する機能、スクリーンショット上の画像をコピー、保存、他のユーザーと共有、好みのアプリケーションで開くこともできます。さらに、写真アプリを使用して画像の背景をぼかしたり、不要なオブジェクトを消去したりすることも可能です。
Microsoftによると、Recallではクレジットカードの詳細やパスワード、個人識別番号などの機密情報は自動的に検出され、スクリーンショットが撮影されないとのこと。また、Microsoftは「この機能は引き続き改善を行っています。お客様が使用する言語や地域に応じて、除外する必要がある機密情報が見つかった場合は、Microosftにフィードバックをお寄せください」と述べています。
Microsoftは「Recallの最初のプレビュー版をWindows Insiderコミュニティにリリースできることをうれしく思います。Recallは、PCで見たことや行ったことを安全に検索できるまったく新しい方法です。Copilot+ PCのAI機能により、コンテンツを説明するだけで、アプリやウェブサイト、画像、ドキュメントを素早く見つけてさかのぼることが可能になりました。Windows Insider参加者の皆さまには、是非Recallをお試しいただき、フィードバックや問題、改善の提案をエクスペリエンス内のリンクなどから共有してください」と語りました。
なお、今回のプレビュー版RecallはSnapdragonを搭載したCopilot+ PCでのみ利用可能で、AMDとIntel製CPUを搭載したCopilot+ PCでは「近日公開」とのことです。
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